ドンキGBA互換機の実力は40点!? 10本の刺客ソフトで性能を徹底チェック

ドンキGBA互換機の実力は40点!? 10本の刺客ソフトで性能を徹底チェック

数年前にドン・キホーテで売られていたゲームボーイアドバンス互換機の『HOME BOY 88』。すっかりその存在を忘れていましたが、最近中国の大手通販サイトを覗いているときに、そのまんま同じ物が売られているのを発見しました。

実は、以前「GBAエミュ&互換機の能力を暴く10本の刺客ソフト――ダメダメエミュ&ハードをあぶり出せ!!」という企画をしたときに、様々なゲームボーイ互換機を集めていろいろなテストを行ったときがあったのですが、こちらのマシンもその候補に挙げていました。しかしそのときは残念ながら入手することができず、諦めています。

ということで、今さらながらですが本機の中古をメルカリで入手。これは中国の大手サイトで売られているものではなく、実際にドンキで売られていたものです。今回はこのマシンを使って、徹底的にテストを行っていきたいと思います。

エミュレーションが難しい10本のソフトでGBA互換機の性能をテスト

そもそも何のテストなの? という部分から触れておくと、きっかけとなったのは最も正確なゲームボーイアドバンスエミュレーターを謳い文句にした『SkyEmu』が登場したことでした。こちらでテストが行われていたのが、最もエミュレーションするのが難しいといわれる10本のゲームボーイアドバンスのソフトだったのです。

●エミュレートが困難なゲームボーイアドバンスのカートリッジ
https://github.com/skylersaleh/SkyEmu/blob/main/docs/Accuracy.md

そこでこの10本のソフトを実際に集めてテストを行ったというのが、前回の企画でした。

この10本のソフトの種類とテスト項目についても、軽くご紹介しておきます。

●AGSエージングカートリッジ

『AGSエージングカートリッジ』は、任天堂が作ったプログラムでハードウェアの経年劣化をチェックするために使われていたといわれています。このソフトが注目を浴びたのは、ほとんどのゲームボーイアドバンスエミュレーターがこのテストをクリアすることができないというところでした。

AGSエージングカートリッジ
▲すべてのテストに合格したときの表示。
AGSエージングカートリッジ
▲こちらがAGSエージングカートリッジ。

●ハローキティコレクション ミラクルファッションメーカー

イマジニアより2001年に発売された、コスチュームコーディネートアドベンチャーゲームの『ハローキティコレクション ミラクルファッションメーカー』。エミュレーションが難しいゲームの1本に上げられており、エミュレーターや互換機によってはゲームが起動すらしない場合があります。

ハローキティコレクション ミラクルファッションメーカー
▲ゲーム画面が表示されるかどうかテスト。
ハローキティコレクション ミラクルファッションメーカー

●Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones

海外でのみ発売された『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』。本作のチェックポイントは、ゲームスタート後におなじみのテーマソングと共に流れるオープニングロールのテキストです。うまく処理できないソフトやハードでは、一部のテキストが切れた状態で表示されます。

Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones
▲「Solar Systems~」のテキストに線が入ったように見えてしまうかチェック。
Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones

●千年家族

任天堂から2005年に発売された家族観察シミュレーションゲームの『千年家族』。内蔵時計機能を利用して、ゲームをプレイしていない間もカウントされ時間が進むというのがウリですが、それがエミュレーターや互換機では扱いが難しいようです。

こちらのソフトのチェックポイントは2ヵ所。ひとつは起動時で、うまく処理できない場合は「時計機能がこわれている可能性があります」というメッセージが表示されます。また、ゲーム自体が起動してもRTC(リアルタイムクロック)機能に対応していない場合、ゲームプレイ中しか時間が進みません。

千年家族
千年家族

●The Legend of Zelda – Classic NES Series

日本では、『ファミコンミニ05 ゼルダの伝説1』として任天堂より2004年に発売されたソフトですが、その北米版の『The Legend of Zelda – Classic NES Series』がチェックソフトのひとつとしてあげられています。日本版は問題なく動く場合も、なぜか北米版は起動できないということがあるようです。

The Legend of Zelda – Classic NES Series
The Legend of Zelda – Classic NES Series
▲写真左が日本版のファミコンミニ05 ゼルダの伝説1』。今回取り上げられているのは、その北米版の『The Legend of Zelda – Classic NES Series』(写真右)です。

●James Pond Codename Robocod

2003年にMillennium Interactiveより発売された、日本未発売のソフト『James Pond Codename Robocod』。こちらもソフトやハードによっては、起動すら出来ないものがあるようです。

James Pond Codename Robocod
James Pond Codename Robocod
▲ちなみに、今回日本のアマゾンで購入したものは未開封でした。ただし、到着までひと月ほど掛かっています。

●Pinball Tycoon

海外のみで発売されたピンボールソフトの『Pinball Tycoon』。本作のチェックポイントは、ゲーム中に表示される画面下部の電光表示。ソフトやハードによっては、この部分が黒いままの状態になっているなど、うまく表示できないものがあります。

Pinball Tycoon
▲「5000」と表示されている電光表示板のような部分が、うまく表示できているかチェックをします。
Pinball Tycoon
▲こちらも日本のアマゾンで注文して、未開封の状態で届きました。

●沈黙の遺跡~エストポリス外伝~

対象となっていたのは、北米で発売された『Lufia – The Ruins of Lore』というゲームでしたが、その日本版である『沈黙の遺跡~エストポリス外伝~』も同様のチェックが行えるところからピックアップしています。

チェック項目は電源を入れた後に流れるデモの文字。正常の場合はグラデーションが掛かったように表示されますが、うまく表示できないソフトやハードが存在しています。

沈黙の遺跡~エストポリス外伝~
沈黙の遺跡~エストポリス外伝~
▲海外ソフトを入手するのは何かとめんどいのですが、日本版でも同様のチェックが行えてひと安心。

●Iridion 3D

海外でのみ発売されたシューティングゲームの『Iridion 3D』。こちらのテスト項目は、ゲームオーバー時の表示。3Dでぐるぐると回転する演出になっていますが、そのときの表示がうまくできないソフトやハードが存在しています。

Iridion 3D
Iridion 3D
▲ゲームオーバー画面を出さなければいけないので、非常に検証が面倒だったソフト。残機が5機くらいある上に、シューティングゲームでわざと死ぬのも、意外と時間が掛かることを思い知らされました。

●Digimon Racing(EU版)

日本でも『デジモンレーシング』として発売されたソフトですが、対象となるのはそのヨーロッパ版の『Digimon Racing』です。日本版や北米版では問題ないものの、なぜかヨーロッパ版のみロゴが表示された後でゲームが進まなくなるソフトやハードが一部存在しています。

Digimon Racing(EU版)
▲このロゴマークが表示された後に、フリーズするものがあります。
Digimon Racing(EU版)
 ▲最初間違えて北米を買ってしまったものの、必要なのはEU版だったことを知り買い直したソフト。型番に「EUR」や「USA」と書かれており見分けがつきます。

ドンキGBA互換機こと『HOME BOY 88』をチェック

実際に10本の刺客ソフトテストを行う前に、まずドンキGBA互換機こと『HOME BOY 88』についてチェックしておきたいと思います。パッケージの中身は、本体のほかコントローラーがひとつに電源用のアダプターとUSBケーブル、AVケーブル、マニュアル類となっています。

本機は以前ご紹介してきたファミコン互換機と同じように、本体に88本のゲームが内蔵されており、マニュアルとは別にそちらのゲームの簡単な紹介分が書かれた説明書も付属していました。

ドンキGBA互換機
▲ドンキGBA互換機のパッケージ。
ドンキGBA互換機の中身
▲こちらがドンキGBA互換機の中身。

本体上部にはカセットの差し込み口と電源ボタン、内蔵ゲームとGBAの切り替えボタンが設置されています。ここで特徴的なのが切り替えボタンです。カセットをさしていない状態でもゲームが遊べるほか、カセット側で遊ぶときはこのボタンを押すことで切り換えることも可能です。

ちなみに内蔵のゲームは、タイトルやクオリティも含めてこれまでファミコン互換機で紹介していたものとだいたい同じでした。特にゲームボーイアドバンス用に作られているというわけではなさそうです。

ドンキGBA互換機の上部
▲ドンキGBA互換機の上部。
ドンキGBA互換機の内蔵ゲーム
▲ドンキGBA互換機の内蔵ゲーム。
ファミコン語描きに内蔵されているタイトルと同じ!?
▲ファミコン語描きに内蔵されているタイトルと同じ!?

背面側はAVケーブル用のポートと電源用のUSBポートが設置。正面側には、コントローラーポートが設置されています。付属のコントローラーは若干ボタンがしょぼい作りになっていますが、このコントローラーポート自体はスーパーファミコンのものとコンパチになっているので、スーパーファミコン用のコントローラーやそちらと互換性のあるものを利用することもできます。

ドンキGBA互換機の背面側
▲ドンキGBA互換機の背面側。
ドンキGBA互換機のコントローラーポートはスーパーファミコンと互換性があり
▲ドンキGBA互換機のコントローラーポートはスーパーファミコンと互換性があり。
▲コントローラーの作りは安っぽく、正直微妙。

ドンキGBA互換機を10本の刺客ソフトでテスト

少々前置きが長くなりましたが、今回の本題であるドンキGBA互換機の性能をチェックしてみることに。結論からいうと、テストにパスしたのは10本中4本にとどまりました。これまでいろいろとテストしてきたなかでは、まーまー悪い部類に入ります。

まず、全く問題が無かったタイトルは、『千年家族』、『The Legend of Zelda ― Classic NES Series』、『James Pond Codename Robocod』、『Digimon Racing(EU版)』の4本のみにとどまりました。しかし、『千年家族』は絶対コケると思っていたものの問題なく動いたことに少々驚きました。

▲意外なことに『千年家族』はまったく問題なく遊べました。

『AGSエージングカートリッジ』は「KEY INPUT」の項目以外すべて失敗。『ハローキティコレクション ミラクルファッションメーカー』は起動せず、『Iridion 3D』はタイトルは出るものの、ゲームに入った瞬間にフリーズしてしまいます。

AGSエージングカートリッジ

『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』と『沈黙の遺跡~エストポリス外伝~』は、どちらも文字の表示がおかしく、『Pinball Tycoon』は電光板が表示されません。

▲『Star Wars: Episode II: Attack of the the Clones』はタイトル後のスクロールテキストの表示が乱れます。
▲『沈黙の遺跡~エストポリス外伝~』もテキストの表示に問題あり。
▲『沈黙の遺跡~エストポリス外伝~』もテキストの表示に問題あり。
『Pinball Tycoon』は電光板が表示されません。
▲『Pinball Tycoon』は電光板が表示されません。

それ以外のソフトもチェック

番外編として、他のソフトもチェックしてみました。まず試したのが、マルチカートリッジの『EverDrive』です。ファミコン互換機ではまったく動かなかったものの、こちらは電池エラーが表示されましたが一応メニューにたどり着くことはできました。

ゲームはうまくロードすることができないものもありましたが、『240p Test Suite』は起動することができたので、タイトルによっては遊べるかもしれません。

▲『EverDrive』から『240p Test Suite』を起動。
▲『EverDrive』から『240p Test Suite』を起動。

次に通常のソフトも起動してみることに。まずは『逆転裁判』。こちらは、ゲームその物はプレイ可能であるものの、キャラクターの表示が縦に欠けるシーンが散見されました。また、『MOTHER3』は、オープニングの後ゲームが始まったところでフリーズします。

キャラに線が入ったように絵が欠ける『逆転裁判』。
▲キャラに線が入ったように絵が欠ける『逆転裁判』。
『MOTHER3』はオープニング後にフリーズ。
▲『MOTHER3』はオープニング後にフリーズ。

『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』と『ファイナルファンタジーV アドバンス』、『マリオカートアドバンス』に関しては、まったく問題なし。しかし、これはすべてのゲームに共通しているものですが、正直にいってサウンドはあまりよくありません。

『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』
▲『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』。
『ファイナルファンタジーV アドバンス』
▲『ファイナルファンタジーV アドバンス』。
『マリオカートアドバンス』
▲『マリオカートアドバンス』。

ひと通りこのドンキGBA互換機こと『HOME BOY 88』の性能をチェックしてきましたが、まーまー、事前に予想した感じの結果となりました。なにやらアマゾンなどでは2万円超えで取引されていることもあるようですが、そこに価値を見いだすことができるかはあなた次第といったところですね!?

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