『Terraonion MODE』でドリームキャストをSSD化して良かったところと微妙なところ【俺的最強のレトロゲーム環境をつくる:ドリームキャスト編】

『Terraonion MODE』でドリームキャストをSSD化して良かったところと微妙なところ【俺的最強のレトロゲーム環境をつくる:ドリームキャスト編】

前回に引き続き、「俺的最強のレトロゲーム環境をつくる:ドリームキャスト編」の続きとしてお届けするのが、ドリームキャストのSSD化です。購入したのは、『Terraonion MODE』というアイテム。セガサターン用と同時にふたつ注文したのですが、発送から10日ほどで到着しました。もし、今からふたつ注文する人がいたら、受け取り時に税関代3600円が別途必要になるので注意しましょう。

『Terraonion MODE』でドリームキャストをSSD化して良かったところと微妙なところ【俺的最強のレトロゲーム環境をつくる:ドリームキャスト編】

『Terraonion MODE』ってなに?

そもそも『Terraonion MODE』ってなに? という人もいると思うので、少しだけご紹介しておきます。こちらは、セガサターンとドリームキャストのドライブを置き換えるためのサードパーティ製の機器で、SSDやHDD、MicroSDカード、USBメモリーなどに入れたゲームのデータから起動できるようにするためのリプレイスユニットです。

正確なデータ転送速度を実現するために、話題のFPGAを活用。すべてのセガサターンの機種と、VA0とVA1のドリームキャストに対応しています。

SDカードに入れたゲームを起動できるようにする改造アイテムのひとつに『GDEMU』がありますが、こちらはVA1基板のドリームキャストにしか対応していません。しかし、『Terraonion MODE』では、VA0とVA1の両方に対応しているというのもメリットのひとつです(※ドライブが本体に固定されているVA2には非対応)。

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セットアップは簡単だが手順を間違えるとハマる!?

『Terraonion MODE』でドリームキャストをSSD化して良かったところと微妙なところ【俺的最強のレトロゲーム環境をつくる:ドリームキャスト編】
▲こちらがパッケージの中身。スペーサーはやや多めに入っています。赤いケーブルはセガサターン用なので、ドリームキャストでは使用しません。

今回は、すでに『GDEMU』が搭載されているドリームキャストを置き換えるので、作業自体は非常に簡単です。基本的には裏蓋のネジ4本を外して、『GDEMU』の代わりに『Terraonion MODE』を載せればOKという感じになります。

・・・・・・が、ここから若干このプロダクト自体の微妙なところが見え隠れしてきます。まず、『Terraonion MODE』自体の安定性を保つために、両面テープ付きのスーペーサーを取り付けるのですが、これがよく見ると雑に切り分けられており、サイズもピッタリ合いません。仕方がないので、むりやり切り込んでサイズを小さくする必要がありました。

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ちなみに、いろいろメンテナンス性を含めて何があるかわからないため、両面テープは剥がさずに、載せた状態で設置しています。もうひとつの罠が、SSDのネジ止めです。付属品には、『Terraonion MODE』に取り付けたSSDを固定するためのネジが付属しています。何も知らずに作業を進めてしまうと、通常はこちらもネジ止めしてしまうかもしれません。

しかし、そこが大きな落とし穴です。実は、『Terraonion MODE』は他のメディアなどからSSDにデータをコピーする手段がありません。そのため、データ自体はSSDをPCに接続して行う必要があるのです。つまり、データをコピーするために、毎回SSDを取り外さなければいけないということですね。

サポートフォーラムを眺めていると、ここに引っかかってしまったユーザーを見かけました。先ほどの両面テープも合わせて、ネジ止めする場合はもうこれ以上データを動かす必要がないという段階になってからということになりそうです。

ファームウェアは出荷時点で最新版の状態に

『Terraonion MODE』は、出荷時点で最新のファームウェアが入れられています。新たなファームウェアのアップデートがあった場合は、公式サイトから入手が可能です。ちなみに、同社の他の製品とも共通していますが、ファームウェアは公式サイトにユーザー登録をしなければ入手ができないので注意しましょう。

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このアップデートは、MicroSD経由のみで行えるのですが、これがまた面倒そうな感じなのです。ドリームキャストのネジを締めてしまったあとでは、このMicroSDカードのスロットにアクセスするのがかなり困難です。蓋を外した状態でも出し入れがしにくいので、このあたりもプロダクトの微妙さが出ています。

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▲そもそもMicroSDカードの出し入れがしにくい上に、ケースを開けないとアクセスしにくい。

搭載したSSDについて

ちょっと話しが前後しますが、今回購入したのはウェスタン・デジタルの500GBのSSDです。アマゾンの表記上は『WDS500G2B0A-EC』と書かれていますが、実際に届いたのは前モデルの『WDS500G2B0A』にシールを貼っただけのもののようです。このあたりを他のレビュワーにも突っ込まれており、本物かどうかすら怪しい商品となっていますが、とりあえず使っている感じでは不具合はありません。

あらかじめPCでフォーマットを行うのですが、今回はMBR形式でexFATで行っています。他のフォーマットにして認識しないという投稿も見かけたので、どうもうまく認識されないというときはフォーマットを疑ってみるといいでしょう。

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『Terraonion MODE』用のデータを準備

『Terraonion MODE』の使い方自体はシンプルで、使用するメディアのルート(今回の場合はSSD)に「Dreamcast」というフォルダを作り、その中にcueファイル付きのゲームをリッピングしたファイルをフォルダごと入れていきます。

ためしに、『GDEMU』用に作成したデータをそのまま入れてみましたが、何の問題なく起動することができました。そのため、フォルダ名自体はゲームの起動には影響しないようです。

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▲『GDEMU』で使用していたデータをそのまま入れてみたところ。

アートワーク表示は意外なことにかなり快適

SSDなどに入れたゲームは、リスト表示以外にもアートワークを表示させることができます。こちらは下記のサイトにアクセスして、アカウントを作った後、ページ上部にある緑色のリンク「Download Dreamcast MODE Database」をクリックしてファイルを入手します。ダウンロード後、ファイルを解凍してそれをメディアのルートにコピーしておきましょう。

●::Games manager::
https://gamedb.terraonion.com/

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アートワークの表示に着替えたいときは、フォルダのリストが並んでいるところでAボタンを長押しして、表示されるメニューウインドウから「Scan Current Folder」を選択してスキャンします。次に、Xボタンを押してオプションメニューを表示させ、「Game List Mode」を「List」から「Covers」にすればOKです。

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▲「Scan Current Folder」でフォルダ内のゲーム情報を取得します。
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▲「Game List Mode」を「Covers」にすると、アートワークが表示されます。

アートワークで表示させるときに気になるのが、検索パフォーマンスの低下でしょう。たとえば、『EverDrive』や『MiSTer』などのフォーラムを覗いていると、アートワーク化を望む声は少数派のように見えます。その理由は、やはりどうしても画像を表示させる分、動作がもっさりしてしまうなどストレスが貯まることが原因です。

しかし、この『Terraonion MODE』では、この点に関してはほぼストレスフリーです。基本的にアルファベット順にゲームが並んでおり、矢印キーの下を押すと高速でページが切り替わり検索することができます。その間、もっさり表示されることもないので快適にブラウジングができます。

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▲アートワークを表示したところ。

強制VGAモードもあり。『Terraonion MODE』で選べるオプション項目

先ほどのアートワークの表示以外にも、『Terraonion MODE』には様々なオプション項目があります。

「Auto Region Patch」は、自分の地域以外のゲームを遊べるようにするパッチのオン・オフです。これにより、海外ゲームも日本のドリームキャストでプレイ可能になります。

「Auto VGA Patch」は、VGA非対応のゲームを強制的に480pモードで表示するモードです。いわゆる強制VGAモードといわれるものですね。チェックしたところ、『人生ゲーム for ドリームキャスト』や『エアフォースデルタ』は音しか出ませんでしたが、『サクラ大戦』や『サクラ大戦2』、『トゥームレイダー4』などは問題なくプレイ可能でした。

ちなみに『Sega Dreamcast PACKAPUNCH RGB 480p SCART cable』を使用している場合は、スイッチを切り替えることですべてのゲームの映像出力ができます(ただし再起動する必要はあり)。

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▲すべてのゲームには対応していないものの、VGA非対応のゲームも強制的に480pで出力可能。

「GDROM Seek Time」は、実機のディスクのデータ検索をするときのシミュレーションに関するモードです。ONにすることで読み込みが遅くなる代わりに、互換性は高くなります。

「GDROM Read Speed」は、GD-ROMドライブが異なる速度でデータをロードするのをシミュレートしています。ノーマル、ミディアム、マキシマムの3段階で設定が可能。タイトルによっては、同期を確保するために低速に設定しておいたほうがいいでしょう。

複数枚ディスクがあるゲームの設定

ゲームのディスクは必ずしも1枚とは限りません。しかし、ゲームの互換性を保つには、ひとつのゲームとしてまとめておく必要があります。

『Terraonion MODE』では、複数ディスクのゲームに対していくつかの対応方法が用意されています。

①すべてのゲームイメージファイルを、ひとつのフォルダ内に入れておくことで、プレイ中にそれらをキューに並べ変えてくれます。

②Aボタンを長押ししてメニューを表示させ、「ADD DISC TO QUEUE」を選択。2枚目以降のディスクを選択していきます。やりなおしたいときは、「CLEAR DISC QUEUE」を選べばOKです。

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▲キューを設定しておくことで、起動時にどのディスクで始めるか選択が可能に。

SSD/HDDとSDカードの切り替え

SSDやMicroSDカードに入れたゲームは、同時に表示されません。コントローラーのYボタンを押すことで、それぞれのデバイスを切り替えて表示させることができます。いまのところお気に入りなどの項目はメニューに内容なので、あえてメディア側で分けておくことで頻繁に遊ぶゲームを見つけやすくするときなどにも利用出来そうです。

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▲ためしに、MicroSD側に2本だけソフトを入れてみたところ。アートカバーを表示する場合は、こちら側でもスキャンをしておく必要があります。動作自体はまったく問題ありませんでした。

使い勝手が悪いところもあるがパフォーマンスはまずまず

ドリームキャストをSSD化するとものすごく便利そうだなという印象を持ちますが、ぶっちゃけ『GDEMU』と比較すると、メディアの出し入れが面倒などメンテナンス性はかなり劣ってしまいます。たしかに機能的な要件は満たされているのですが、不便さと便利さがトレードオフになる部分もいくつか出てきてしまいます。

しかしながら、独自のライブラリーが完成したら、まさに最強の環境にすることができそうなイメージも湧いてきました。もしこれから購入を検討しているならば、ご自身のプレイスタイルを考えてから選ぶようにするといいでしょう。