昨年はほぼ毎月のように新たな携帯エミュレーター機をリリースしていた、Anbernic。今年はややスロースタートでしたが、続々と新たなマシンの情報が入ってきました。そうした中で、2025年6月10日19時より発売が開始されるのが『RG35XXPro』です。
価格は7499円で、セール期間中は750円OFFの6749円で購入できます。
●RG35XXProストアページ
https://jp.anbernic.com/products/rg35xxpro?sca_ref=2102588.WgMVvjuMPv
こちらは3.5インチのIPS液晶にデュアルスティックを搭載した縦型のゲーム機で、セガサターンやPS2は遊べませんが、ドリームキャストやPS1、PSPなどのゲーム機までならある程度問題なくプレイすることができます。
リリースに先駆けて、こちらのマシンのサンプルを同社提供してもらったので、今回はそのレビューをお届けします。
CPUはH700系でOSはLinux 64bit
本機に付属している同梱物は、本体の他、充電用のUSBケーブル、マニュアルの3つだけという超シンプル構成です。残念ながらスクリーンプロテクターなどは付属していないので、気になる方はちょうどいいサイズのものを見つけて貼っておくといいでしょう。
今回はこの本体に加えて、専用のケースも送っていただきました。こちらはケースの中に本体だけではなくケーブル類もしまっておくことができるので、普段使いするときにかなり役に立ちそうです。
●専用ケースのリンク(1599円)
https://jp.anbernic.com/collections/parts/products/rg-35xxpro-bag?sca_ref=2102588.WgMVvjuMPv


スペック的には、少し前にリリースされた『RG34XXSP』にほぼ似ています。CPUはH700 quad-core ARM Cortex-A53(1.5GHz)、GPUにはdual-core G31 MP2を搭載。メモリーはLPDDR4 1GB。ディスプレイは、640×480ピクセルで表示可能な3.5インチのIPS液晶を採用。OSはLinux 64bitが採用さています。
カラーバリエーションは、ホワイトとブラック、クリアティールの3色が用意されています。今回は、クリアティールを送っていただきました。本体の重量は198g。サイズは縦128mm×横81×奥行き22mmとなっています。


カラーバリエーション | ホワイト、ブラック、クリアティール |
CPU | H700 quad-core ARM Cortex-A53、1.5GHz周波数 |
GPU | dual- core G31 MP2 |
ディスプレイ | 3.5インチ IPS全視野角、OCAフルラミネーション / 640×480 |
メモリー | LPDDR4 1GB |
OS | Linux 64-bit |
microSDカード | デュアルカードスロット、最大512GBまで対応 |
バッテリー | ポリマーリチウムバッテリー 3200mAh、最大7時間連続稼働 |
付属品 | Type-C充電ケーブル、説明書 |
本体サイズ | 128mms×81mm×22mm |
重量 | 198g |
価格 | 7499円 |
液晶の表示はバッチリ。コントローラーの操作も違和感なし
本機に搭載されているディスプレイは3.5インチのIPS液晶ですが、こちらはサイズも大きすぎず小さすぎず。視認性もよく携帯ゲーム機でプレイするにはちょうどいい感じになっています。ボタン類は、上部に定番の十字キーとBAYXボタン、下側に2本のアナログスティックが並んでいるという配置です。


背面側にはR1R2とL1L2ボタンが並んでいます。エミュレーターによっては、この背面側のボタンを押すことで表示が切り替えられるのですが、間違って押してしまうこともあるかもしれません。

本体左側面側には、ボリュームとメインのmicroSDカードスロットがあり、こちらにデフォルトでmicroSDカードが入れられています。反対側の右側面側には電源ボタンとリセットボタン、予備のmicroSDカードスロットが用意されています。


本体上部には、電源供給用のUSB Type-CポートとminiHDMIポート、オーディオジャックが設置されています。これは個人的な意見ですが、可能ならオーディオジャックは下側にあるほうが、ケーブル類が上から伸びるよりもスッキリしてて良かったと思いました。
ちなみに下側底面にもスロットっぽい穴が空いていますが、本機では使われていないようです。


それほどパワフルというわけでもないため、本体自体も多くの熱を持つような作りになっていません。そのためあまり意識することも無いと思いますが、一応サーモグラフィで熱をチェックしてみました。
これで見る限り、概ね液晶ディスプレイのあたりに熱源が集中しているようです。手で触る部分でもないため、それほど熱も感じない作りになっていますね。

おなじみのランチャーで簡単セットアップ&ゲーム起動
OSがLinuxであることのメリットは、Androidよりもパフォーマンスがいいとかなんとかいろいろとありますが、なによりもセットアップが楽ちんということにつきます。メインのmicroSDカード内のRomsフォルダのなかに、ズラリとゲーム機ごとのフォルダが並んでいるので、その中にお気に入りのROMを入れて再起動するだけでOKです。

『RG35XXPro』を起動すると、いつものようにランチャーが起動します。この中でゲーム向けのものは「ゲームルーム」と「RAゲーム」がありますが、後者はRetroArchになっています。「ゲームルーム」の存在意義がいまいちわかりにくいのですが、パフォーマンス的には「RAゲーム」から起動したほうが優れている場合が多いので、そちらを利用することをオススメします。



ちなみに、「RAゲーム」で起動するとオーバーレイも一緒に表示されます。これは、余白などを活用してオリジナルのゲーム機の雰囲気を再現するというものですが、特に良かったのがゲームボーイアドバンスでした。このオーバーレイの表示自体は好みによりますが、気になる人はRetroArchのメニューを呼び出して消すことも可能です。



このランチャーは、ゲーム以外にも音楽やビデオプレイヤーなどを収録した「アプリケーションセンター」やショートカットの「お気に入り」、履歴が見られる「歴史」、「探す」などがありますが、中でも重要なのが「設定」です。
デフォルトでは英語表記になっているので、まずはこの「設定」でランゲージを日本語に変更しておくといいでしょう。


30種類のレトロゲームエミュレーターに対応!
ということで、いくつかのエミュレーターのパフォーマンスをチェックしてみました。……といっても、以前紹介したH700系をのCPUを搭載したマシンと、ほぼパフォーマンスは変わりません。また、エミュレーター自体も大きく進化していないため、バグってグラフィックがおかしくなってしまうものはそのままでした。
これらはあくまでもデフォルトに近いの状態で動かしたものなので、細かくチューニングをしたり別のエミュレーターを選ぶことで解消できる可能性もあります。
NINTENDO64
NINTENDO64のエミュレーターは、ゲーム自体はそこそこの速度で動いているものの、グラフィックの表示が若干怪しく感じるところがありました。例をあげると『ファミスタ64』でバッティングのシーンになると背景が真っ黒になるとか、『スーパーマリオ64』などの表示全般です。
しかし、ゲームのパフォーマンスはそれほど悪くなく、タイトルによっては問題なく遊ぶことができそうです。

ファミコン
ファミコンのエミュレーターはかなり快適に遊ぶことができます。ROMを入れる場所は別ですが、ディスクシステムにも対応しているので、ある程度遊びたい作品がプレイ出来るのではないかと思われます。今回はど定番の『スーパーマリオブラザーズ』と『エキサイトバイク』をプレイしましたが、どちらも素晴らしい動きでした。
ちなみに余談ですが、せっかくデュアルスティックになっているのでファミコン版の『クレイジークライマー』が遊べるのでは? と思い、いろいろと設定してみたもののうまくいかず、今回は諦めてしまいました。


ドリームキャスト
ドリームキャストのエミュレーターは、『ジェットセットラジオ』と『デッド オア アライブ』をプレイ。、『ジェットセットラジオ』は、音も含めてゲームプレイはまったく問題なし。『デッド オア アライブ』は、若干音切れは発生するものの、ゲームプレイそのものには大きな影響はなく遊ぶことができました。


PlayStation
比較的厚めに動作チェックを行ったのが、PlayStationのエミュレーターです。こちらでは、『コリンマクレー ザ・ラリー』に加えて、『幻想水滸伝』、『鈴木爆発』、『ゼビウス3D/G』をプレイしましたが、アナログスティックも含めてまったく問題なくゲームを遊ぶことができます。




ゲームボーイアドバンス
先ほどオーバーレイのところでも触れましたが、このゲーム機と相性がいいと感じたのはゲームボーイアドバンスのエミュレーターです。今回は『ゲゲゲの鬼太郎 危機一髪!妖怪列島』と『逆転裁判』をプレイ。グラフィックの表示も素晴らしく、実機で遊んでいるかのような感覚に浸ることができます。



ゲームボーイカラー
ゲームボーイカラーのエミュレーターでは『ミスタードリラー』をプレイ。こちらもオーバーレイと画面の再現度が素晴らしく、オリジナルのゲーム機の雰囲気がかなり出ていました。また、ゲームプレイ自体も全く問題なく遊ぶことができます。
便利なところが、R2ボタンを押すことで早送りができるところ。飛ばせないイベントシーンなどが登場するゲームがありますが、そうしたときに活用できそうです。

スーパーファミコン
スーパーファミコンのエミュレーターでは、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』をプレイ。映像、サウンド、コントローラーによる操作など、すべてにおいて満点に近く快適にゲームを遊ぶことができます。

ニンテンドーDS
オリジナルは2画面のゲーム機ですが、背面側のL1L2、R1R2ボタンを押すことでいろいろと表示を切り換えながら遊べるのがニンテンドーDSのエミュレーターです。今回はためしに『いただきストリートDS』をプレイしてみましたが、こちらも慣れると結構快適にプレイすることができます。

PSP
PSPのエミュレーターは、最初にアスペクト比がオリジナルに近くなるように拡大の設定をオフにしてからプレイしました。今回試したのは、『勇者のくせになまいきだ。』と『クライシスコア』ですが、どちらもまったく問題なく遊ぶことができます。


目的のゲームが遊べるならオススメの1台
ひと通りこちらの『RG35XXPro』の動作をチェックしてきましたが、もはやゲーム機の作りとしてはこなれた感があり、むしろ安心してゲームが遊べるようなマシンに仕上げられていました。
パフォーマンス的にもう少し上位機種が欲しいというわけでないならば、選択肢のひとつに加えるのもありです。少しでも気になったならば、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください!
●RG35XXProストアページ
https://jp.anbernic.com/products/rg35xxpro?sca_ref=2102588.WgMVvjuMPv