Analogue Pocketレビュー!オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機

Analogue Pocketレビュー!オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機

日本時間でいうと、2021年12月14日あたりから出荷が開始されたAnalogueの新型携帯ゲーム機『Analogue Pocket』。すでに日本でも手に入れた方が多数いるが、例によって筆者のことろはそうしたサイクルよりも1週間ほど到着が遅いうというのが、すっかり恒例の行事となりつつある。今回も18日に最初の出荷関連のメールが届いたのだが、結局日本に到着したのは12月22日であった。

▲当初は12月21日の18時着と表示されていたが、ステータスがまったく動かないことに業を煮やし、サポートにメールしたところ、こうなった。
【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
▲過去最大サイズの箱で届く。中身はしっかりと梱包されていた。
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▲こちらが中身。でかいのが本体かと思ったら、Dockだった。
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▲「Accessory」や「Pocket」、「Dock」などの表記もあり。

その間ヒマを持て余していたということもあり、本機について徹底的に調査を実施。その結果、あの周辺機器も必要だ、あのソフトも検証用にいるなどなど……散財を尽くしてしまった結果、1回のレビューでは収まりきれないほどのコンテンツのボリュームになってしまったため、数回にわたり本機のレビューをお届けしていきたいと思う。初回は、ベーシックに本体の基本的な機能と性能、その特徴的なポイントについて触れていく。次回以降は、主に周辺機器と特殊なソフトについて調査を行い、そのレポートをお届けする予定だ。

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▲Analogueファミリーが勢揃い!

本体はいつも通りシンプルかつクール

スティーヴ・ジョブスが1997年にアップルに復帰後、パッケージをシンプル化していらい、他社も含めて最近のプロダクトの多くがゴテゴテとしたマニュアルは付けずに、必要最低限のものだけが入れられるようになった。Analogueの製品もそれに習っている感じで、『Analogue Pocket』の中身も本体と充電用のUSB Type-Cケーブル、簡易マニュアルとステッカーというシンプルなものとなっている。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
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▲強化ガラスのスクリーンプロテクターも一緒に購入。質感はいいのだが、気泡を取るのにちょっと苦労した。

ちなみに、Dockも一緒に購入したのだが、こちらにも充電用のUSB Type-Cケーブルとアダプターが付属しているため、本体の方のケーブルは使わずにしまっておくことにした。Dockにはこのほか、HDMIケーブルも同梱されている。

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▲こちらが『Dock』の中身。少なくとも、これがあれば急速充電USB-Cアダプターはダブるので購入する必要はない。

主にインターフェイスまわりは、本体下側側面に集中している。左側面には、緑色の電源ボタンとボリューム、右側面にはmicroSDカードがさせるようになっており、これを利用してファームウェアのアップデートが行われる。

余談だが、これまで発売されてきたAnalogueのハードはほとんどがジェイルブレイクされて、SDカードからゲームが起動できるように改造することができるようになっている。もちろんメーカーが推奨しているわけではないのだが、遅かれ早かれこの『Analogue Pocket』もハッカーの餌食になるのかもしれない(記事を書いている時点でそうしたものが出回っているかは未確認)。

背面側には、カートリッジを差すスロットと、ショルダーボタンが配置されている。この場所にボタンが配置されているのも、なかなかユニークな感じがする。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
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【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機

初代ゲームボーイとサイズ感的はほぼ同じだが、厚みは34パーセント薄くなっている。たしかに比較してみると出っ張りが無くなった感じだ。しかし、約13パーセント薄くなったというゲームボーイポケットとはほとんど差が無い感じだ。

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▲初代ゲームボーイと比較すると、約34パーセント薄くなっている。
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▲ゲームボーイポケットとの比較は約13パーセント薄くなっているそうだが、実際に比べてみたところあまり差が感じられなかった。

最初に手にしたときの印象は、「なんか思ったよりもずっしりしているな」というものだった。それもそのはず、手元にあるゲームボーイやゲームボーイアドバンスと比較してみても、初代ゲームボーイに次ぐ283.5グラムもの重量があった。そのため、携帯性も含めたお手軽さという点では、IPS液晶に改造したゲームボーイアドバンスなどのほうが、やや分があるかもしれない。

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▲重量は携帯ゲーム機としてはやや欠点か。
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▲いずれもソフトなしで電池を入れた状態。ゲームボーイアドバンスはIPS液晶化&充電バッテリー化してあるが、それでもこれぐらいの重量だ。

ちなみに、ローンチ時点でのファームウェアはv1.0だが、到着した端末はv0.9だった。そのため、まずは公式サイトからファームウェアをダウンロードしてアップデートする必要がある。やりかたは簡単で、microSDカードのルートにダウンロードしてきたファイルを入れて本体に差し込むだけだ。ついでにDockのファームウェアも公開されていたので一緒に『Analogue Pocket』の本体のmicroSDカードに入れたのだが、こちらは間違いだった。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
▲ファームウェアアップデート中の画面。

Dockのファームウェアをアップデートするときは、『Analogue Pocket』のmicroSD経由ではなく、USB Type-AのスロットにUSBメモリーを差し込んで行うことになる。なお、事前にいろいろとアナウンスがあった 『Analogue Pocket』 の多くの機能は、次のv1.1以降で搭載されていく予定だ。

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ゲームプレイ中に電源ボタンを押すことで、スリープ状態にすることができる。再び電源ボタンを押せば、その続きからすぐにプレイが可能だ。その機能とは関係ないが、ときおりスリープから戻るときに「ブゥィーン」という大きな音が鳴ることがあり、驚いてしまった。それ以外の操作をしていときにもこの音が鳴ることがあるのだが、不具合なら今後のアップデートなどで改善してもらいたいポイントである。

また、一応ベータ版の機能としてセーブステート機能も利用することができる。やりかたは簡単で、「Analogueボタン+上キー」でセーブ、「Analogue+下キー」でロードだ。セーブステートは今のところひとつしか利用できないが、こちらはアップデートで改善される予定である。

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オリジナルの10倍の解像度を誇る低温ポリシリコン(LTPS)ディスプレイを搭載

『Analogue Pocket』の特徴のひとつが、LCDディスプレイに低温ポリシリコン(LTPS)を採用しているところだ。ゲームボーイやゲームボーイポケット、ゲームボーイライト、ゲームボーイカラーの解像度は160×144ドットだが、 『Analogue Pocket』 ではその10倍の1600×1440ドットという解像度で映像を表示することができる。

3.5インチLCDという、比較的大きめのディスプレイが搭載されているということもあり、視認性はかなりいい。また、フルHDのモニターが1920×1080ドットということを考えると、このサイズでこの解像度を実現しているのは携帯ゲーム機としてはかなりすごいことだといえるだろう。

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▲ゲームボーイカラー(左)とAnalogue Pocket(右)との比較。

映像に関しては、ゲームボーイ、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンス、ゲームギアといった機種ごとに分かれて表示モードが用意されている。本体中央下の「Analogueボタン」を押して「System」を選び、GB、GBC、GBA、GGからそれぞれ設定することが可能だ。

GB>Video>Display Modeで、ゲームボーイのソフトを遊ぶときの色味の違いが選べる。「Analogue GB」はピクセルパーフェクトで表示できるモードだ。初代ゲームボーイの雰囲気を楽しみたいときは「Original DMG」を選択すればいい。また、ゲームボーイポケットやゲームボーイライト風のものや、バーチャルボーイのようなレッドディスプレイ風の映像に切り替えることもできる。

さらに、GB>Video>Color Palettesで、カラーパレットを変更することもできる。現在のバージョンでは5色の中から選べるが、将来的にはカスタムカラーなども選択できるようになる予定だ(今は選択できないグレーの文字で表示されている)。

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GBC>Video>Display Modeで、ゲームボーイカラープレイ時のディスプレイ表示も選択可能だ。「Analogue GBC」はピクセルパーフェクトの映像が表示でき、「Original GBC」はオリジナルのゲームボーイカラーに近い表示が行える。

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▲オリジナルのゲームボーイカラーに近い表示ができる 「Original GBC」。

ゲームボーイ、ゲームボーイカラーのソフトは元が160×144ドットであるため、純粋に10倍の整数スケールで表示することができる。そのため、クッキリとした映像も楽しむことができるのがメリットだ。しかし、ゲームボーイアドバンスは元の解像度が240×160ドットであるため整数スケールで表示することができず、補間でスケーリングされる。

整数スケールで無い場合、画面の表示が甘くなっているところがあるように感じることがあるが、『Analogue Pocket』ではそれを感じさせないシャープな映像だ。また、ゲームボーイアドバンスでは、サウンド面でも「High Quality」のオプションが選択可能だ。こちらはそれほど大きな違いは感じなかったので、好みで選んでも問題ないだろう。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機

表示モードについては、これ以外にもいくつかの要素があるが、今回は割愛する。

ゲームボーイカラーでは不具合が発生するゲームに対応した「GBモード」……のハズだが謎挙動!?

ユニークな機能のひとつが、 GB> Hardware>Force GB Modeで選べる「GBモード」だ。他の設定は主に画面の表示に関するものだが、こちらは強制的に初代ゲームボーイと同等の環境にしてゲームを起動するというものである。

『Analogue Pocket』は、デフォルトの状態ではゲームボーイカラーとして起動する。しかし、一部のゲームはゲームボーイカラーでプレイすると不具合が発生してしまうことがあるのだ。たとえば、『ザードの伝説』は、ゲームボーイカラー以降の機種ではタイトル画面で止まってしまう。

ということで、実際にこちらのソフトを入手して『Analogue Pocket』で試してみたところ、オリジナルの実機とは異なり、どのモードでプレイしても問題なくタイトル画面を表示させることができた。ただし、Dock利用時はタイトル画面で音が途切れ気味になることがあった。こちらはどのモードでも発生したが「GBモード」は起動時以外はやや安定してる印象だ。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機

ちなみに、マニュアルでもこのゲームなどを遊ぶために用意されたモードであると書かれている『ブライファイター』だが、日本版の『ブライファイターDX』ではオリジナルのゲームボーイカラーでプレイすると、1面のボスが出現するときに突然死してしまうという不具合がある。そこで、『Analogue Pocket』でもそれが再現できるのか試してみたのだが、なぜかこちらも同じような動きは発生せず、「GBモード」であるかどうかにかかわらずすべてのモードで普通にプレイできた。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
▲1面のBOSSが出現しても、普通にプレイ可能!?

これらの結果から、よほど不具合などが起きない限り「GBモード」にする必要があるかについては、あまり気にする必要はなさそうだ。

現時点でDockでできることはあまり多くない

『Analogue Pocket』の映像をHDMIでディスプレイに出力したいときに必要となるのが、オプションで販売されているDockだ。こちらでは、外部コントローラーを接続してゲームが遊べるというメリットもある。このDockには、最大4つのコントローラーをワイヤレスで接続することができるので、複数人で遊ぶゲームにはもってこいかもしれない。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
▲外部コントローラーは最大4つまで接続できる。

しかし、現時点で対応しているコントローラーの種類は限られており、8bitDoが3種類とPS4のDUALSHOCK 4、Nintendo Switch Proコントローラーの5種類のみだ。ファームウェア1.1では、より多くの8Bitdo製品やXBOX Oneコントローラーにも対応予定となっている。

ためしにDUALSHOCK 4とNintendo Switch Proコントローラーを有線で繋いでみたのだが、特に何の設定もなく利用することができた。いくつか残念なポイントもあるのだが、そのうちのひとつはコントローラーの操作で利用出来るのは十字キーのみでアナログスティックは利用することができないところだ。もうひとつの残念ポイントについては、次回触れる予定である。

現時点のバージョンでは、多くの機能が封印されたままの状態になっている。ビジュアルの出力モードも、一部以外はグレーの文字になっており選択ができないと行った感じだ。この辺りは、今後のアップデートを待つしかなさそうである。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
▲Dockでは、まだ一部の機能しか利用することができない。
【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機
▲出力モードは5種類。基本はデフォルトの1080p/60hzのままで問題ないだろう。

オマケ:ふたつのFPGA搭載も利用価値は未知数

ツイッターなどを見ていると、『Analogue Pocket』について「ふたつのFPGAでCPUを再現している」という、表現を見かけた。しかし、これは少し語弊がありそうだ。本機はたしかにエミュレーターではなく、FPGA(Field Programmable Gate Array)と呼ばれる、論理回路の構造を繰り返し再構築できる半導体チップを採用して、オリジナルのハードウェアの構造を再現している。

このFPGAを利用することのメリットは、エミューレーターのようなラグがなく、再現性も高いというところだ。厳密に言うとこのふたつの違いはそれほど大きな差としては感じないが、Analogueの製品全般が、このFPGAでレトロゲーム機を再現しているというのがウリになっている。

『Analogue Pocket』でメインに使われているFPGAは、Alteraの『Cyclone® V』(メーカー番号:5CEBA4F23C8N)だ。それとは別に、開発用のFPGAチップとして『Intel Cyclone ® 10』が搭載されている。今後発売が予定されているPCエンジンの変換アダプター(TurboGrafx-16アダプター)などのようなものを作って、独自のハードを動かしたい開発者向けに用意されたものだそうだが、 『Intel Cyclone ® 10』 はわずか16000LEしか使用することができないため、どれぐらい有用なのかは不明である。

ちなみに、『DE10-Nano』(MiSTerで使用しているFPGAボード)に搭載されている5CSEBA6U23I7ではハードCPUが利用できるが、メインFPGAの5CEBA4F23C8NではハードCPUが利用できない。そのため、『Analogue Pocket』でMiSTerを動かすというのは無理な話ということになる。

【Analogue Pocketレビュー①:本体&Dock編】オリジナルのゲームボーイの10倍の解像度を実現。欠点もあるが所有感を満たしてくれるハイエンドな携帯ゲーム機

●Analogue Pocketに採用されているFPGA
FPGAは「5CEBA4F23C8N」。

5C = Cyclone® V
E =ハードCPUなし
B =ハードPCIeまたはメモリコントローラーなし
A4 = 49Kの論理要素
F23 = FineLine BGAパッケージ、484ピン
C =商用温度範囲(0~85C)
8 =最も遅いファブリック
N =鉛フリー包装

●MiSTerで利用しているDE10-Nano
DE10-Nanoでは「5CSEBA6U23I7」を使用。

5C = Cyclone® V
SE =ハードCPU
B =ハードPCIeまたはメモリコントローラーなし
A6 = 110K論理要素
U23 = Ultra FineLine BGAパッケージ、672ピン
I =工業用温度範囲(-40~100°C)
7 =中速ファブリック

(参考元:redditのr/fpgagaming

進化の途中だがポテンシャルは現時点でも高め

というわけで、いろいろとソフトや周辺機器を集めすぎたこともあり、この中には収まり切れないほどのボリュームであるためそちらについて次回でレビューしていく予定だ。とりあえず本体と周辺機器については、まだまだ進化の途中ではあるものの、現時点での完成度はなかなか高いレベルにあり、手に入れた人の多くが満足度が得られるものとなっていることは間違いない。

頭文字Dではないが、現時点ではそのポテンシャルは封印された状態にあるため、今後のアップデートで、いったいどのように化けているのかも楽しみなところである。

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。