Anbernicより、2023年3月28日より発売が開始された新型中華エミュ機の『RG405M』。そちらに合わせて、本機をレビュー用に提供していただきました。ひと通りいじり回した後でわかったことや気が付いたことについて、こちらでレポートしていきます。
●Anbernic RG405Mの販売ページ
定価:2万3299円+送料。
所有感を満たしてくれる重厚なアルミ合金ボディ
まずは基本的なスペックについて触れておきましょう。同梱物は、いつもの通り本体に加えて保護シートとそのサポート用シート、マニュアル、UBSケーブルとかなりシンプルな内容となっています。
マニュアルは英語と中国語で書かれていますが、それほど詳しい情報は載っていないため、キー操作など軽くチェックするレベルの内容だと思っていいでしょう。
カラーバリエーションはブラックとグレーの2色が用意されていますが、今回はグレーを選択しています。しかし、この本体カラーですが、グレーというよりは、やや抑え気味のメタリックブルーといった色合いです。
サイズ感としてはiPhone 14 Proと比較するとやや大きい程度といった感じです。それにしても、このiPhoneといい『RG405M』といい、ふたつ並べるとどちらもめたりっくからーなので、なにか懐かしい遠い昔の記憶が蘇ってきそうな……。こんな感じの色合いのおもちゃが合ったような気がしますが、男の子ってこういうの好きなのかもしれませんね!?
この『RG405M』の特徴のひとつが、初のCNC加工を採用したアルミ合金のボディを採用しているところです。金属製だけのことはあり、重さもそれなりにありますが、実際に測ってみたところ261グラムとなっていたので、まぁ、持ち歩くには許容範囲といえそうです。
操作系のボタン配置はいつもの感じといったところ。本体前面左下にあるのは、リターンキー兼ホームキーです。右下には、セレクトボタンとスタートボタンが並んでいます。背面側もいつものようにゴムクッションが付いており、本体を机の上などに置いたときにもある程度保護する役割をはたしてくれそうです。
本体上部側面には、電源ボタンとボリュームボタン、電源供給やデータ通信が行えるUSBポートなどが並んでいます。反対側の下部側面には、ふたつのステレオスピーカーとヘッドフォン端子、miroSDカード用のスロットが並んでいます。
肝心なボタン操作は、特に可も無く不可も無くといったところ。従来までの同社の製品と比較しても大きな違いは感じることはありませんでした。右側のボタンのカラーリングは、スーパーファミコンのコントローラーのボタンとまったく同じ配色になっているのは面白いところですね。
Anbernic RG405Mのスペック表
カラーバリエーション | ブラック/グレー |
ボディ材質 | アルミ合金 CNC加工技術 |
ディスプレイ | 4インチIPSタッチスクリーン、解像度640*480 |
CPU | Unisoc Tiger T618 64-bit cota-core 2*A75@2.0GHz+6*A55@2.0GHz |
GPU | Mali G52@850Mhz |
メモリー | 4GB LPDDR4X@1866Mhz |
ストレージ | 128GB eMMC |
WiFi/Bluetooth | 2.4/5G WIFI 802.11a/b/g/n/ac,Bluetooth 5.0 |
OS | Android 12 |
対応エミュレーター | PS2、WII、NGC、3DS、PSP、DC、SS、PS1、NDS、N64、CPS1、CPS2、CPS3、FBA、NEOGEO、GBA、GBC、GB、SFC、FC、MD、SMS、GG、MSX、PCE、WSC、N-Gageなど20種類以 |
スピーカー | 高品質のデュアル スピーカー |
バッテリー | リチウムポリマーバッテリー、容量4500mAh、充電2時間フル電力、連続使用時間7時間可能 |
TFカード | 最大2TBまでのmicroSDカード拡張に対応 |
その他の機能 | ホールジョイスティックと6軸ジャイロセンサーを内蔵、OTAワイヤレスアップグレード、オンラインマルチファイティング、ストリーミング、ワイヤレススクリーンミラーリング、振動モーターに対応されて、3.5mmステレオイヤホン、省エネ設定、輝度ディスプレイ、その他の機能特性の設定に対応 |
付属品 | USB充電ケーブル、ボックス、説明書、スクリーン プロテクター |
ボックスサイズ | 長さ21.5cm×幅10cm×高さ3cm、重量0.413kg |
本体サイズ | 長さ16.3cm×幅7.6cm×高さ1.59cm×重量0.260kg |
初期設定はいくつかのステップが必要
箱から本体を取り出して電源を入れると、まずセットアップ画面が表示されます。英語または中国後の選択肢かありませんが、「English」を選んで進めていけばいいでしょう。初期セットアップが終わると「Configuration setup is done,please click」の文字が表示されます。
デフォルトではAndroidのホーム画面が表示されます。プリインストールされているアプリは4画面分に分かれているので、まずはそちらをチェックしてみることをオススメします。ちなみに2ページ目に主なエミュレーターのアプリが並んでいます。
また、4ページ目にある『FOTA Update(もしくはアップデート)』を起動することで、本体のファームウェアを最新版に更新することが可能です。ただし、本機種にはネットワーク自体にいろいろと問題があります。
付属のマニュアルはペランペランでほぼ何も書かれていませんが、それを補足する『Guide』と呼ばれるアプリもインストールされています。といっても、PDFのように情報が見られるといったシンプルな内容です。
システムメニューはデフォルトでは英語表記ですが、日本語に変更することも可能です。「設定」を開いて「System」の中にある「Language & input」を選択しましょう。そこにある「Languagees」で日本語を追加し、一番上に設定しておきます。
開発者向けオプションを有効化
本機では、通常のAndroid端末同様に電源ボタンと音量のマイナスボタンを同時に押すことでスクリーンショットを撮ることが可能です。そのデータをPCに移動するときはUSB経由が楽ですが、初期設定ではPCで認識されません。そこで、必要に応じて「開発者向けオプション」を有効化しておきましょう。
やり方は簡単で、「設定」の「デバイス情報」の一番下にある「ビルド番号」と書かれているところを、数回タップするだけです。途中から残り回数も表示されるので、有効になるまでタップをつづけましょう。
本体をPCに認識できるようにするには、「USBデバッグ」をONにする必要があります。またそれだけでは認識されないため、「デフォルトのUSB設定」を選び「ファイル転送」にチェックを入れて切り替えます。転送が終わったら、USBで充電ができるようにするために、「充電」に戻しておきましょう。
『RG405M』で使えるネットワーク接続はWi-Fiの一択のみ!?
こうした中華エミュ機では技適マークが取得されていないため、Wi-Fiなどは利用することができません。厳密にいうと、こうしたマシン自体を使うことができないという話もあるようですが、とりあえずその回避策として、USBのLANアダプターを利用するという手があります
……が、実は本機ではこのLANアダプターを利用したネットワークには対応してないことがわかりました。そのままUSBでLANアダプターを接続しても何も反応せず。機内モードに切り替えてもやはり同じ状況です。
先ほど「デフォルトのUSB設定」の画面が出てきましたが、USBのLANアダプターに対応している場合は、この中に「RNDIS」の項目があります。しかし、本機ではそちらも見当たりません。そこで、Anbernicの技術者に問い合わせてもらったのですが、やはり対応しているのはWi-Fiのみであることがわかりました。
つまり、基本的にはネットワークを利用した機能は使えないということになってしまいます。
エミュレーターのランチャーの起動方法
ボタンを押したら簡単にエミュレーターのランチャーが起動するのかと思いきや、そうした設定にはなっていませんでした。また、プリインストールされているアプリの中にも見当たらず最初は戸惑いましたが、画面トップをスワイプしてメニューを出した後に、さらに下にスワイプすることで「Normal」と書かれたランチャーのマークを発見しました。
上記のボタンをONにしてホーム画面に戻ると、エミュレーターのランチャー画面が表示されます。デフォルトのランチャー画面はモダンUIっぽい感じのデザインになっていますが、こちらはいくつかのプリセットに変更することも可能です。
UIを変更したいときは、セレクトボタンを押してメニューを表示しましょう。大きく分けて「Theme 1」と「Theme 2」に分かれており、それぞれ4つのスタイルに分類されています。テーマとスタイルを選んだ後、「Confirm」ボタンを押すとそのデザインが適用されるといった感じです。
ROMの設定等は概ねいつもと同じといった感じなので、今回は割愛します。
各エミュレーターのパフォーマンス
20種類以上ものエミュレーターに対応しているということで、それらひとつひとつをチェックしていくのは大変ということで、ここではハイエンド寄りの機種をピックアップしてパフォーマンスをチェックしてみました。
なお、いずれもパフォーマンスはデフォルトの設定のもので、最適化などは特に行っていません。そのためあくまでも参考程度にしてください。
PlayStation 2
エミュレーターとしては荷が重そうなPlayStation 2ですが、今回は『Rez』と『ドラゴンクエストⅧ』をチョイスしてみました。どちらもゲーム自体はまーまー遊べるといった印象ですが、まったくカクツキがないものを期待していると、もうひとつパフォーマンスが欲しいといった感じになるかもしれません。
しかし、RPGなどそれほどプレイに負荷が掛からない作品ならば、十分に実用的に使用することができます。
ドリームキャスト
タイトルによってはゲームが起動すらしないこともある、ドリームキャストのエミュレーター。今回は他機種で動かなかった『ジェットセットラジオ』をチョイス。また、いつもテストプレイで使用している『セガラリー2』も選んでいます。
どちらも想像以上に快適に動いており、エミュレーターとしては特に不満を感じることはありませんでした。もしかしたらタイトルによっては動かない場合もあるかもしれませんが、もう少し調査してみたいところです。
ニンテンドー3DS
今回テストしたエミュレーターの中では、最もパフォーマンスがいまいちだったのがニンテンドー3DSです。プレイしたのは『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』でしたが、音が途切れがちになり、プレイするのがややつらいといった印象でした。その点さえ考慮すれば、ゲームその物はギリギリ遊べるといった感じです。
NINTENDO 64
NINTENDO 64のエミュレーターとして動作チェックを行ったのが、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』です。このゲームをエミュレーターで起動すると、アクションシーンはそこそこ動くもののカットシーンでは音が途切れるといったものが多い印象ですが、この『RG405M』ではそうしたこともなく、かなり快適に遊ぶことができます。
なによりもゲームをセーブせずにそのまま終わらせた場合でも、次回起動したときにその続きからプレイ出来るというのもありがたいところです。
エミュレーターゲーム機としてのパフォーマンスは大満足
2万円台前半で購入できるエミュレーターゲーム機としては、かなり良好なパフォーマンスを発揮することができるといった印象です。ステレオスピーカーを本体に搭載していることもあり、小さいながらも立体感のあるサウンドが楽しめるところも素晴らしいポイントといえます。
ネットワーク回りは少し残念なところもありますが、トータルでは価格に見合うだけのマシンに仕上げられています。
そろそろ新しいゲーム機が欲しいと思っている人は、こちらもチェックしてみることをおすすめします!
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定価:2万3299円+送料。