運動音痴のため自分ではほとんどプレイしなかったものの、見るのは大好きだったプロ野球。当時はジャイアンツに夢中で、毎日行われる試合も欠かさず見るほどでした。当然ながらその追体験をゲームでもしたいと思い遊んでいたのが、任天堂から発売されていたファミコン向けゲームの『ベースボール』です。
ゲーム自体は野球盤やLSIゲームを進化させた程度といった感じの内容でしたが、シンプルさゆえにイマジネーションが要求される部分も多く、それなりに楽しんでいました。そんなさなか、ゲーム屋で見かけたのが『NAMCOT NEWS(19)』というチラシです。
そこに掲載されていた『プロ野球ファミリースタジアム』(以下、ファミスタ)というゲーム、見た目はまんま野球中継のような画面になっており、『ベースボール』にはなかった、選手に名前も付けられています。……こ、これは! と震えながらそのチラシをにぎりしめ、自宅で何度も読み返し発売日を指折り数える日が続きました。
発売日からどっぷりハマった!
そして発売日当日の1986年12月10日。徹夜をして並んだかまでは覚えていませんが、なんとか本作を入手。事前にちらしで仕入れていた情報通りというか、期待以上のできのタイトルでした。まず音楽が素晴らしい。バッティングやピッチングのときの軽快なメロディ。ランナーが出たときの、緊張感溢れるミュージック。そして講習が変わるときの音楽。どれもこれも完璧としかいいようがありません。
ピッチングや打撃に加えて監督としての采配も重要に
この『ファミスタ』が野球ゲームの歴史的な作品となったのは、そのゲーム性を大きく進化させた点にあります。単純に選手に個性が出たとことで、技巧派や速球派、あるいはアンダースローなどのピッチングやバッティングの駆け引きが楽しめるようになったほか、重要な場面での選手交代など監督としての采配も問われるようになりました。
ゲームの中のキャラクターへの思い入れが強い!
今回久々に初代『ファミスタ』を遊んでみましたが、この時代の巨人はもろにドスライク世代ということもあり、思っていた以上に感情移入してしまいました。たとえば、篠塚(ゲーム中はしのすか)は流し撃ちがうめぇな~とか、あ、原(たつのり)が打った! というように、ゲームのキャラクターではなく、まるで実際の選手が試合をしているかのような感じで遊んで(笑)。
当時の選手が昔と同じように、一同に顔を合わすことは実際にはあまりありません。しかし、ゲームの中ならいつでもその時代に戻れてしまうというのも、考えてみれば素晴らしいことですよね。
この初代『ファミスタ』発売から30年以上がたち、シリーズ累計50作品以上、シリーズ累計販売本数はなんと1500万本を突破するという人気定番IPにまで成長しました。今後も、初期の頃の楽しさを維持しつつ、時代にあった作品を発表し続けてもらいたいですね!
text.レトロゲームライター 高島おしゃむ