棚からぼた餅方式でモトリー・クルーのゲームになったメガドラ用ピンボールゲーム『クルー・ボール』レビュー

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ListenNowTweeterを使ってiTunesで流している曲をツイートすることがあるのですが、たまたまモトリー・クルーの「Home Sweet Home」を流していたときにフォロワーから「Crue Ball!」と言われ、なんのことか分からず検索してみたところ、発見したのがメガドライブで発売されていた『クルー・ボール』というピンボールゲームでした。まったく知らなかったので、早速アマゾンで注文してみることに。

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▲ヘヴィメタル警察に怒られそうな、「ヘビーメタルピンボール」という表記がカセットに!
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▲黄色い部分は特に何に使い分けでもなさそう。
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▲パッケージ背面。

メガドラにしてはやや厚めのパッケージと、カセットに謎に黄色い部分が取り付けられていますが、特段それらは意味はなさそうです。発売は1993年12月26日ということで、ボーカルのヴィンス・ニールが解雇され、グランジ全盛期でバンド自体も低迷期だった頃に発売されたもののようですね。

ちなみにモトリー・クルーは、1982年にメジャーデビューを果たしたヘヴィメタルバンドです。当時日本ではLA出身のメタルバンドのことを「LAメタル」と呼んでいましたが、RATTと合わせて若手2大LAメタルバンドとしてブームを牽引しました。

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この『クルー・ボール』では、デビューアルバム『華麗なる激情』のオープニング曲である「Live Wire」と、3rdアルバム『シアター・オブ・ペイン』から「Home Sweet Home」、5thアルバム『ドクター・フィールグッド』から同名曲の「Dr.Feelgood」の3曲がゲーム中に使用されています。

「Live Wire」は、日本では伊藤正則氏が新宿のツバキハウスで、まだ無名時代の彼らのこの曲をかけまくっていたことでも有名ですね。一応、ゲームのメニューから「Music Demo」を選ぶことで、この3曲のアレンジを聴くことができます。

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▲「Music Demo」から、曲だけを聴くことも可能。といってもオリジナル音源ではないので、やや微妙。

Twisted Flipperからクルー・ボールへ

実はこのゲーム、元々モトリー・クルーを意識して作られた作品ではありませんでした。そのためもあってか、ゲーム中には彼らの楽曲以外にはほとんどモトリーらしさを感じられる部分はあまりありません。ちなみに、プロトタイプのときに付けられていたのは、『Twisted Flipper』というタイトルです。当時の雑紙にも、このタイトルでゲームの紹介が行われていました。

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▲『クルー・ボール』の開発中の名前である『Twisted Flipper』として、雑紙に紹介。

その後、ゲームプロデューサーのリチャード・ロビンス氏は『Headbangers Ball』というタイトルを付けたいと考えていました。ちなみに、この『Headbangers Ball』とは1987年からMTVで放送されているヘヴィメタル系音楽番組の名前です。その前番組は日本でも深夜に月1ぐらいで放送されていた『Heavey Metal Mania』でしたが、そのときにMCを務めていたのが、トゥイステッド・シスターのボーカルであるディー・スナイダーでした。

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『Heavey Metal Mania』の日本版のMCを務めていたのは、マイケル富岡。この番組から彼のことを知りましたが、オジーオズボーンの発音が良すぎて「味一番」にしか聞こえなかったのが、当時の高校生の間で話題に。

つまり、当初名付けられていた『Twisted Flipper』というゲームタイトルは、もしかしたらトゥイステッド・シスターを意識して付けられていたものなのかもしれません。

その後MTVがライセンスを手放し、ゲーム開発後半にモトリー・クルーのゲームとして要素が追加されたそうです。こうした経緯をみると、やや棚からぼた餅方式でそうなった感もあります。

▲トゥイステッド・シスターといえば、映画『レディ・プレイヤー1』の総攻撃時に流れるこの曲!

ゲームは全9つのレベルをクリアしていくオーソドックスなスタイル

ゲームというより音楽談義のようになってしまいましたが、肝心のゲーム部分ですが、こちらはオーソドックスなピンボールゲームとなっています。ユニークな点は、最大4人でプレイ出来るところ。こちらは同時プレイではなく、交互に遊んでいくスタイルになっています。

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画面は上・中・下の3つのステージで構成されています。各レベルで特定の要素をクリアすることで、ボーナスステージに行くこともできます。それぞれのレベルをクリアすると次にレベルに行けるのですが、このクリア条件は、各レベルによって異なります。

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たとえばレベル1では、3匹のドレッド・ヘッドを倒し「HEAD」の文字に当てた後で「BANGER」の文字に当てることでトップゲートが開きます。上スクリーンにボールを持っていくとクライグが出現。さらに壁を壊して中央の通路にボールを打ち上げ、矢印の付いている棚にボールを入れるといった感じです。

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マニュアルにはレベル4までの攻略方法が書かれていますが、最後はこの言葉で締められていました。

棚からぼた餅方式でモトリー・クルーのゲームになったメガドラ用ピンボールゲーム『クルー・ボール』レビュー

アーティストに関係なく、結構ピンボールゲームとしてプレイしていて楽しいため、ついつい遊んでしまうタイプの作品でした。そのため、モトリーのファンはもちろんのことアーティスト自体に興味がなくても、まったく問題なくゲームを堪能できると思います!

ABOUT US
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。