注文からやくひと月の船旅を終えて、ようやく『EverDrive N8 PRO』を入手することができました。こちらは、ファミコン/NES用のマルチゲームカートリッジで、以前にご紹介した『EverDrive N8』の上位モデルにあたります。
『EverDrive』はX3、X5、X7、PROといった感じでランク分けがされており、このPROが現状は最上位モデルと位置づけられています。ということで、今回はこちらのレビューをお届けします。
パッケージを開けて真っ先に驚いたのが、なんとほかのものには無かったマニュアルが入っているところでした。さすが最上位モデル! といいたいところですが、どうやら最初の頃は入っておらず、ネットでPDFが公開されていただけのようです。
前モデルとの比較
前モデルと比較して、パワーアップした項目は以下の通り。中でも注目のポイントは、SDのオペレーション速度が早くなったところとセーブステートの数、これまでなかったインゲームメニューに対応したところでしょう。USBポートに関しては、OSアップデート以外はあまり使い道は多くなさそうです。細かな点としては、SDカードのフォーマットにexFATが追加されています。
・FPGAに『Cyclone IV』を採用
・16MBのROMメモリ。PRG用に8MB、CHR用に8MB
・保存用に256KのバッテリーRAMを搭載
・保存の日付と時刻を記録するためのリアルタイムクロック(RTC)
・高品質の6層PCBを採用
・SDカードとUSB操作を高速化するためのARMベースの32ビットI/Oコプロセッサーを採用
・フォルダごとに最大1024ファイルまで対応。ファイルの並べ替えが無効の場合は無制限
・ゲーム内メニューを搭載。リセットすることなく、ゲームの保存ができるほかシステムメニューに戻ることが可能
・セーブステートは最大100個に増加
・開発およびシステムアップデートのためのUSBポート
・オペアンプによるオーディオミキシング回路の改善
・FDSディスク側をスワップ、または[状態を保存]メニューを呼び出す代替方法として使用する専用ボタンをカセットに搭載
・拡張チップをサポートする組み込みNSFプレーヤー(VRC6、VRC7、Sunsoft-5b、Namco-163)
・バッテリー電圧監視。電池はすぐに交換可能
・低消費のバッテリー。推定バッテリー寿命は25年
・サポートされている幅広いマッパー
・NES 2.0サポート
・Game Genie cheatsに対応
ただSDカードを入れただけでは何も動かないので、公式サイトにアクセスして最新のOSをダウンロードしましょう。解凍後にできた「EDN8」というフォルダをSDカードのルートにコピーしておきます。あとは、ゲーム単位でフォルダを作りわかりやすく管理して、ROMデータを入れておくといいでしょう。
ゲームを選択するとファイルメニューが表示されます。内容は以下の通り。
Select And Start・・・・・・ゲームを選択して起動します。
Select Only・・・・・・ゲームを選択しただけの状態にします。その後スタートボタンを押すとゲームが起動します。
Cheats・・・・・・ゲームのチートコードが使用できます。
Rom Info・・・・・・ゲームロムのマッパーや対応しているかといった詳細情報が見られます。
Hex View・・・・・・16進数で表示できます。
Delete・・・・・・ファイルを削除するときに使用します。
ゲームのリストを表示している画面でセレクトボタンを押すと、メインメニューを表示することができます。
Options・・・・・・オプションメニューを表示。
Recently Playerd・・・・・・プレイしたことがあるタイトルの履歴を表示(選択してプレイも可能)。
Cheats・・・・・・ゲームのチートコードが使用できます。
Device Info・・・・・・デバイスの情報を表示。
Diagnostics・・・・・・『EverDrive』の状態を診断します。
About・・・・・・開発者の情報や操作方法について見ることができます。
In-Game Menu・・・・・・3種類のインゲームメニューが選択できます。
STD:プレイ中、コンボボタン(デフォルトはスタートキー+↓キー)でメニューが表示
QSS:プレイ中、コンボボタンでセーブステートとロードステートが行えます。
OFF:インゲームメニューを使用しません。
Cheats・・・・・・ゲームのチートコードのON/OFFを切り替え。
Reset Delay・・・・・・OFFではリセット後メニューに戻ります。ON時は短い時間リセット押すと再起動、リセット1.3秒間押すとメニューに戻ります。
File Sorting・・・・・・並べ替えを有効にすると、最大1024までのファイルを並べ変えて表示。無効では無制限でファイルを入れることができます。
Swap A/B・・・・・・デフォルトではAボタンが選択、Bがキャンセルですが、逆に変更することができます。
FDS Auto Swap・・・・・・ディスクシステムのゲームは自動でディスクが切り替わりますが、一部のゲームでは正しく機能しない場合があります。そのときはこちらをOFFにして、カートリッジ側のボタンでディスクを入れ替えることが可能です。
Boot Last Game・・・・・・最後にプレイしたゲームを自動で起動します。
[In-Game Combo]・・・・・・セーブステートとロードステートのキーの割当を変更できます。
[Audio Balance]・・・・・・様々なコンソールのリビジョンで、適切な音量レベルの変更ができます。
[RTC Setup]・・・・・・リアルタイムクロックの時間を合わせます。
ゲームプレイ中、いつでもスタートキー+↓キーを押すことで、インゲームメニューを呼び出すことができます。プレイ状況を途中でセーブしたりロードしたり、スロットの変更も可能。Exit Gameでそのままゲームを終了し、メニューに戻ることもできます。
大きな違いはなさそうだが操作の快適さは格段にアップ
一見すると、前モデルの『EverDrive N8』との大きな差はなさそうに感じます。しかし、ファイルを移動するときの速度やインゲームメニューの追加など、操作性に関しては格段に進歩しており、一度こちらに慣れてしまうともう元に戻ることはできません。
現状ウクライナからの荷物は、日本に届くまで30日~45日ほどかかると言われていますが、待った甲斐はある満足度でした。