実はその存在を知ったのはつい最近だったのですが、ニンテンドーDS向けのソフトとして『多湖輝の頭の体操』が発売されていることを知り、良い機会だと思って入手してみることにしました。ゲームの元になったのは、光文社のカッパノベルズから発売されてた大ベストセラーのクイズ本『多湖輝の頭の体操』。小学校のときこの本を愛読しており、いろいろな意味で衝撃を受けた記憶があります。
この『多湖輝の頭の体操』という本で学んだことは、「自分の中で勝手に決めつけていた常識に捕らわれずに考える」ということでした。単行本のどの巻に収録されていたかは覚えていませんが、特に印象に残っているのが以下のような問題です(※文面は紙面からの引用ではなく内容を表したもの)。
これがかなり悩んだのですが、ページをめくって答えを見てみると以下のようなものだということがわかりました。
なんなんだよ、はみ出してるなんてインチキじゃん!!
……と、小学生だった筆者は当時思ったわけですが、問題自体には枠からはみ出してはいけないとは一切書かれておらず条件だけが記載されています。つまり、枠の中に収まらなければいけないと勝手に思い込んでいたのは自分だったのです。
基本的にこの『多湖輝の頭の体操』に記載されているパズルやクイズは、一見理不尽に感じる問題が多数収録されているのですが、凝り固まった考え方をほぐしたり、まったく新しい見方を考えるきっかけを与えてくれるような本だったのです。
レイトン教授シリーズでふたたび注目を集める?
小学生の時に書籍を愛読していた頃から月日が流れ、多湖輝という名前もすっかりと忘れていた頃に登場したのが、レベルファイブのニンテンドーDSソフトの『レイトン教授と不思議な町』です。本作はレイトン教授と助手のルーク少年が様々なナゾトキに挑んで事件を解決していくといったストーリーになっているのですが、その問題として出題されているのが、まさに『多湖輝の頭の体操』的なものでした。
それもそのはず、ナゾトキの監修を務めていたのが多湖輝氏だったというわけです。多湖氏自身は2016年に亡くなっていますが、その間に発売されたレイトン教授シリーズはいずれも監修で参加しています。
4本のソフトにわけて1500問以上を収録
シリーズの1作目となる『レイトン教授と不思議な町』の大ヒットから2年後、同じレベルファイブから2009年に発売されたのが今回ご紹介するニンテンドーDSソフト版の『多湖輝の頭の体操』です。全部で4本のソフトに分けて発売されましたが、そのには書籍からピックアップされた1500以上の問題が収録されています。
ユニークなところは、単純に問題を収録しているだけではなく、それぞれのソフトごとにテーマが決められているところです。例えば第1集では豪華客船の旅、第2集では銀河を横断する壮大な冒険に出かけるといった感じです。問題の合間にはストーリーも楽しめるようになっており、ただの問題集とは少し異なる味付けが行われているところも特徴となっています。
このソフトが少し変わっているところは、ニンテンドーDS本体を横持ちではなく本のように縦持ちするところです。そういえば、当時のニンテンドーDS用ソフトってこんなのが多かったな~ということを思い出させてくれます。
ちなみに4択とかのクイズとは異なり、答えに多様性がありそうな『多湖輝の頭の体操』をゲーム化するってどんな感じなんだ? と思っていたのですが、この部分に関してはかなりシンプルな作りになっていました。
ちなみに4択とかのクイズとは異なり、答えに多様性がありそうな『多湖輝の頭の体操』をゲーム化するってどんな感じなんだ? と思っていたのですが、この部分に関してはかなりシンプルな作りになっていました。問題が出題されて文章を読んだ後、「こたえ」を押すことで解答を見ることができます。その前に「助言をもらう」というボタンを押して、ヒントをもらうことも可能です。
答えを見た後で、「みごと正解した」、「残念ながら間違えた」、「全く思いつかなかった」のいずれかを自分で判断して選択。問題に関する評価を5つの★を付けて次の問題に進んでいくといった感じです。そうしたこともあり、ゲームというよりもオリジナルの書籍版を読んでいるかのような体験をすることができるようになっていました。
今回4本のソフトを集めましたが、さすがのボリュームといった感じで、まだまだ楽しめそうです。問題自体も若干時代を感じさせるモノも混ざっていますが、概ね現代でも通用するモノばかりとなっています。その昔書籍を楽しんだ人なら、あの懐かしい感じのクイズに本作でふたたび挑戦してみてはいかがでしょうか?