最近『ポケモンミニ』というゲーム機を入手しました。皆さんご存じでしたか? こちらは2001年12月14日にポケモンから発売された携帯ゲーム機で、世代でいうと『ポケットステーション』や『ワンダースワンカラー』、『スワンクリスタル』、『ゲームボーイアドバンス』などと同じ第5世代になります。
本体に同梱される形で『ポケモンパーティミニ』というゲームがリリースされたほか、全部で10本のゲームがラインナップされています。
今回入手したのは『ポケモンミニ』と、それに付属する『ポケモンパーティミニ』。そして『ポケモンピンボールミニ』と『ポケモンショックテトリス』です。また、購入後に気が付きましたが、本体に『ポケモンそだてやさんミニ』というゲームが刺さった状態になっており、全部で4種類のゲームを入手することができました。
このまま遊んでもいいのですが……それじゃ面白くない! ということで、ROMのデータを吸い出してAnalogue Pocketでも遊べるようにしてみることに。
最強ROMチューチューシステム『オープンソースカートリッジリーダー V3-ALTER』
というわけで、レトロゲームの吸い出しに欠かせない最強のROMチューチューシステムがSave the Hero Buildersから発売されている『オープンソースカートリッジリーダー V3-ALTER』です!
しかし、これだけでは『ポケモンミニ』のカートリッジを吸い出すことが出来ません。そこで入手しておきたいのがそれに対応したアダプターの『Pokémon mini adapter [only PCB board]』です。これ自体は1200円ほどと高くはないのですが……ひとつ落とし穴があり、このままでは利用することが出来ないのです。
実は販売されているのはPCBボードのみで、スロット部分は自分で用意して取り付ける必要があります。しかもこのスロット部分は一般的に販売されていないため、必然的に既存の『ポケモンミニ』本体から取り外して再利用するような形になります。
つまり、すでに持っているものとは別に、ジャンクなどを入手してパーツを取り出して活用するといった感じですね。
ちなみに『ポケモンミニ』の本体を開けるには、少し特殊な形をしたネジを外す必要があります。そちらに対応したドライバーもあらかじめ用意しておいたほうがいいでしょう。
『ポケットミニ』に対応したファームウェアV12.8 Betaにアップデート
この記事を執筆している2023年8月5日現在、『ポケットミニ』の対応は正式には対応して折らずベータ版のみとなっています。そこで、最新のバージョンであるV12.8 BetaをGitHubから入手して本体に適用します。
●V12.8 Betaの入手先
https://github.com/sanni/cartreader/releases
ファイルを解凍したら、V12.8_Portable>V12.8_Portable>Arduino IDE Portableの中にあるarduino.exeを起動。タブから「Config.h」を選択します。その中にある「Choose your hardware version:」のところにある「define HW3」の部分のコメント「//」を削除して適用するハードウェアのバージョンを指定します。
その下にある「define enable_POKE」の前に付いているコメント「//」を削除して、メニューからスケッチ>マイコンボードに書き込むを選びましょう。
ファームウェアの更新が完了したら、さっそく吸い出してみることに。ここで注意しなければいけないのが、スロットを挿す場所です。実は最初はそのサイズから一番手前のスロットに差し込んでしまったのですが、正解はスーパーファミコンと同じ一番奥のスロットになります。
また、この『ポケモンミニ』を吸い出すときは、『オープンソースカートリッジリーダー V3-ALTER』の電圧を3.3Vに設定しておく必要があります。本体右側面のディップスイッチの一番左端にあるスイッチを、左側に切り替えておきましょう。
実際に吸い出す方法は簡単で、メニューから「Pokemon Mini(3V)」を選び、「Read ROM」を選択するだけ。あとは、吸い取り完了まで待てばOKです。
『オープンソースカートリッジリーダー V3-ALTER』で吸い出した『ポケモンミニ』のファイルは、すべて「POKEMINI.min」というファイル名になります。そのため、後で管理しやすいようにゲームの名前に変更しておいた方がいいでしょう。
Analogue Pokcetで動作を確認
Analogue PocketのopenFPGA用コアとして『ポケモンミニ』のコアがリリースされています。まずはそちらをAnalogue Pocketにセットアップしておきましょう。個別でファイルを落としてもいいですが、今は便利なアップデートツールがいくつか用意されているので、それらを利用した方が便利です。
●『ポケモンミニ』コアのダウンロードはこちら
https://github.com/agg23/openfpga-pokemonmini/releases
●Analogue PocketのopenFPGAのコア用アップデートツールのひとつ『pocket-sync』
https://github.com/neil-morrison44/pocket-sync
使い方は簡単で、Analogue PocketのSDカード>Assets>poke_mini>commonフォルダの中に入れておくだけでOKです。この手のゲーム機を動かす場合は、別途BIOSなども必要な場合がありますが、『ポケモンミニ』ではとくにそうしたものはなく、そのままROMを選択するだけでゲームを遊ぶことができます。
Analogue Pocketで『ポケモンミニ』の特殊機能は利用できるのか?
この『ポケモンミニ』では、ゲームによって複数の機能を利用することができます。たとえば『ポケモンショックテトリス』のパッケージ裏を見てみると、「赤外線通信」「ショックセンサー」「振動機能」「バックアップメモリ」「時計機能」といった感じで、5つの機能が使えることが分かります。
このうち「バックアップメモリ」と「時計機能」は置いといて、気になるのがその他の3つの機能がAnalogue Pocketで利用できるのか? ということです。
軽くチェックしてみたところ、RTCにはコアが初回リリースの時点から対応していたため「時計機能」が利用出来ることは分かりました。
しかしながら、「ショックセンサー」や「赤外線通信」などは機能としては盛り込まれていないようで、どちらも利用することはできませんでした。
ここまで少し残念な結果となりましたが、昨年11月13日にリリースされた0.2.0で「振動機能」に対応していることが発表されました。そこで用意したのが『DS振動カートリッジ』です。こちらはニンテンドーDS用ゲームの『メトロイドプライム ピンボール』に同梱されていた振動ユニットで、ゲームボーイアドバンスのカートリッジと同サイズで振動機能を利用できるというものです。
ということで、『ポケモンピンボールミニ』で確かめてみたところ……ま、たしかに「ぶっ」といった感じでか弱い振動がしているような気がしないでもないですが、まぁ、ぶっちゃけなくてもいいかも? といった感じのレベルでした(笑)。
いろいろと試してきましたが、とりあえず『オープンソースカートリッジリーダー V3-ALTER』を利用して『ポケモンミニ』のROMを吸い出し、Analogue Pocketで遊んでみるという当初の試みはとりあえずうまくいくことが分かりました。
しかし実際にこれらを実現するためには、『ポケモンミニ』本体を1台潰す必要があります。そうして作りあげたアダプターは最大でも10本のゲームを吸い出すためにしか使わないため、費用対効果は必ずしもいいとはいえません。
そもそもこうした遊び自体が酔狂の世界ではあるため、興味がある人は挑戦してみてください!
●『オープンソースカートリッジリーダー V3-ALTER』
https://savethehero.builders/en-jp/collections/build-service