Android端末でPlayStation 3のゲームを動作させる非公式エミュレーター『ARMSX3』のバージョン1.5が、2026年10月29日(UTC、日本時間では10月30日)に公開されました。今回は、PS3のグラフィックス処理を再現する仕組みが大幅に刷新されたほか、新たにOpenGLでの描画にも対応しています。
当サイトでは10月26日にバージョン1.4を紹介しましたが、今回の1.5は描画処理の基盤そのものに手が加えられた大型アップデートとなっています。
●ARMSX3 1.5
https://github.com/ARMSX2/ARMSX3/releases/tag/1.5
●ARMSX3
https://github.com/ARMSX2/ARMSX3

PS3のグラフィックス処理を大幅に刷新
『ARMSX3』は、PC向けのPS3エミュレーター『RPCS3』をベースに、Android/ARM64環境での動作を目指して開発されているプロジェクトです。
PS3には『RSX』と呼ばれるグラフィックスチップが搭載されています。今回の更新では、このRSXの動作を再現する仕組みが大幅に作り直されました。元になっている『RPCS3』では、約2年をかけてRSX周辺の設計が見直されており、『ARMSX3』1.5も新しい構成を採用しています。
具体的には、ゲームから送られる描画命令の処理、画面表示の管理、実際の描画を担当するレンダラーなどが分離されました。ゲーム側が認識するPS3のグラフィックス状態と、Android端末側で実行する描画処理も整理されています。
これにより、今後『RPCS3』側で行われるグラフィックス関連の修正を『ARMSX3』にも取り込みやすくなりました。従来のフレーム生成やリモートプレイ、カスタムGPUドライバー、Multithreaded RSXといった機能も新しい構成へ移行されています。ただし、今回の刷新によって対応作品がどの程度増えたかなど、具体的な効果はまだ明らかになっていません。

OpenGLに初対応! Vulkan以外の描画方法が選択可能に
もうひとつの大きな変更点が、OpenGLレンダラーの実装です。これまでの『ARMSX3』にもOpenGLの設定項目は存在していましたが、実際には利用できませんでした。バージョン1.5からは、従来のVulkanに加えてOpenGLを選べるようになっています。
OpenGLは、端末標準のグラフィックスドライバーを利用する方法のほか、『ANGLE』を経由する方法にも対応しています。ANGLEでは内部的にVulkanを使って描画するため、端末によってはドライバー由来の問題を避ける手段となる可能性があります。開発チームは、Maliなど一部のGPUで描画に問題が生じる場合の代替手段として案内しています。
もっとも、OpenGLに変更すれば必ず動作が改善するわけではありません。開発チームによれば、一般的にはVulkanよりも低速で、基本的にはVulkanとカスタムドライバーの組み合わせを推奨しています。また、Android版でレンダラーやドライバーを変更する場合は、設定を適用して再起動する必要があります。

『WET』の動作改善やゲーム別の修正も追加
ゲームごとの修正も行われています。『Ratchet & Clank』シリーズのフリーズ対策をはじめ、『Burnout Paradise』や『Splatterhouse』などに関連する修正パッチが、パッチデータベースを別途ダウンロードしなくても適用されるようになりました。
また、開発チームは『WET』について、起動してゲームをプレイできる状態になったと報告しています。ただし、最後まで問題なく遊べることを保証するものではありません。

更新前に注意! 1.4.xのセーブステートは読み込めない
バージョン1.4.xから更新する際に、特に注意したいのがセーブステートの互換性です。
今回のRSX刷新に伴って内部状態の保存形式も変わったため、1.4.xで作成したセーブステートは1.5では読み込めません。 セーブステートだけを頼りにゲームを進めている場合は、更新前にゲーム内の通常セーブを作成しておく必要があります。
セーブステートはエミュレーターがゲームの実行状態を丸ごと保存する機能で、ゲーム本来のセーブ機能とは異なります。開発チームも、アップデート前に通常セーブを行うよう呼びかけています。

『ARMSX3』1.5の入手方法
『ARMSX3』1.5は、開発チームのGitHubで公開されています。Android/ARM64端末向けの非公式エミュレーターであり、ソニー・インタラクティブエンタテインメントによる公式のPS3互換環境ではありません。また、PS3のゲームデータやシステムソフトウェアが同梱されているわけではないため、利用する場合は別途用意する必要があります。
前回の1.4で追加されたオンライン機能や仮想ポータルなどについては、当サイトの紹介記事で確認できます。また、セーブステートに関する過去の更新はバージョン1.0.5の記事でも紹介しています。




















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