PS2版『GTA: サンアンドレアス』をPSPで動かす変換ツール「PS2RC」が登場! 他作品向けの開発支援キットも公開

PS2版『GTA: サンアンドレアス』をPSPで動かす変換ツール「PS2RC」が登場! 他作品向けの開発支援キットも公開

PlayStation 2(PS2)向けに発売された『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』を、携帯ゲーム機のPlayStation Portable(PSP)で動かすという興味深いプロジェクトが登場しました。開発者のSandstoneDev氏は、2026年10月14日に非公式変換ツール「PS2RC」の初版となるv0.1.0をGitHubで公開。同日には不具合を修正したv0.1.1もリリースしています。

さらに10月15日には、ほかのPS2作品をPSPに移植する開発者を支援するAIエージェント向けのツールキットも紹介されました。10月17日には開発者本人がRedditで一連の取り組みを改めて紹介しており、今後の展開も気になるところです。

●PS2RC(GitHub)
https://github.com/SandstoneDev/PS2RC

●PS2RC リリースページ
https://github.com/SandstoneDev/PS2RC/releases/tag/v0.1.1

PS2ゲームをエミュレーションするのではなく、PSP向けに再構築

PSPでは、これまでにも『グランド・セフト・オート・リバティーシティ・ストーリーズ』や『グランド・セフト・オート・バイスシティ・ストーリーズ』といったシリーズ作品が発売されてきました。しかし、今回の「PS2RC」は、PS2向けに発売された『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』をPSPで動作させるための非公式ツールです。

その仕組みもユニークです。一般的なエミュレーターは、別のゲーム機の動作をソフトウェア上で再現してゲームを実行します。一方、「PS2RC」が採用しているのは「静的再コンパイル」と呼ばれる方式です。

これは、PS2用に作られたゲームのプログラムを解析してC言語に変換し、PSP向けに再びビルドするというものです。さらに、PS2とPSPのハードウェアの違いを補うための実行環境を組み合わせることで、PSP上での動作を実現しています。

つまり、PSPの中に仮想的なPS2を作り出すのではなく、PS2用のプログラムをPSPで実行できる形に作り直しているわけです。

ただし、これによってPS2のあらゆるゲームが動くようになるわけではありません。ゲームごとに専用の変換処理や互換機能の開発が必要で、現時点では『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』の特定バージョンのみが対象となっています。

対応するPS2ディスクとPSP本体には条件あり

実際に「PS2RC」を使用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、対応するゲームディスクは、PS2版『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』の欧州PAL版で、ディスクIDが「SLES-52541」、バージョンが「2.01」のものに限定されています。日本版や北米版など、ほかの地域やバージョンのディスクには対応していません。

変換作業はPC上で行い、自分で所有している対応ディスクから作成したISOファイルを使用します。Windows 10/11の64ビット版向けには専用のコンバーターが用意されており、画面上でISOファイルや出力先を指定して変換する仕組みです。ソースコードから利用する場合は、必要な開発環境を用意することでLinuxやmacOSにも対応しています。

一方、PSP本体については、64MBのRAMを搭載したPSP-2000またはPSP-3000が対象です。カスタムファームウェア「ARK」を導入し、追加メモリーを使用する設定を有効にする必要があります。

初代のPSP-1000はRAM容量が32MBしかないため非対応。PSP Goについては64MBのRAMを搭載しているものの、開発者による動作確認は行われていません。

また、メモリースティックには約4GBの空き容量が必要です。変換したゲームのフォルダーを「PSP/GAME」に配置することで、PSPのメニューから起動できるようになります。

なお、PSPにはPS2にある右アナログスティックやL2/R2ボタンがありません。そのため、「PS2RC」ではSELECTボタンとほかのボタンを組み合わせることで、これらの操作を再現しています。たとえば、SELECT+方向キーで右アナログスティックを操作する仕組みです。

10月14日に公開されたv0.1.1では、変換後のイントロムービーやアニメーションアイコンが正常に表示されない不具合などが修正されています。

実際の動作については、Redditに15~20fps程度でプレイできたというユーザー報告もあります。ただし、これは個別の環境による報告であり、常にそのフレームレートで動作することを保証するものではありません。また、当サイトではゲーム全編を問題なくプレイできるかどうかまでは確認できていません。

ほかのPS2作品にも広がる? AI開発支援キットも公開

今回のプロジェクトでもうひとつ注目したいのが、ほかのPS2作品をPSP向けに移植するための開発支援キットが公開されていることです。

ひとつは「universal-ps2-recompiler」と呼ばれるもので、Claude CodeなどのAIコーディングエージェントを利用し、PS2ゲームごとの再コンパイル処理を開発する際に役立つ知識や手順をまとめたツールキットです。

もうひとつの「psp-developer」は、PSP向けソフトウェアの開発全般を支援するものです。PSPのメモリー管理やグラフィック描画、音声処理、パフォーマンスの最適化など、実機で動作させるための技術的な情報が含まれています。

簡単にいえば、前者がPS2のゲームをPSP向けに変換する仕組みの開発を支援するもので、後者はPSPというハードウェア上でうまく動かすための開発を支援するものです。

ただし、どちらもAIに指示するだけで好きなPS2ゲームを自動的にPSPへ移植できるツールではありません。あくまでも開発者を支援するためのものであり、ゲームごとのプログラム解析や調整、動作検証などが必要になります。

開発者は10月17日のReddit投稿で、すでにこの仕組みを利用して『サイレントヒル2』のPSP移植に取り組んでいる人がいることにも言及しています。もっとも、現時点では完成や公開が確認されたわけではなく、今後実際に動作するところまで開発が進むかは未知数です。

PSPでPS2ゲームが遊べる時代が来る?

今回の「PS2RC」は、PS2のゲームをPSP上で動かすという、技術的にも非常に興味深い取り組みです。特に、ハードウェアの性能や構造が異なるゲーム機同士で、プログラムの再コンパイルによって移植を実現している点は注目に値します。

もっとも、現時点では利用できるゲームのバージョンやPSP本体が限定されており、動作の安定性も含めて発展途上の段階といえます。一般的なPSPユーザーが、手持ちのPS2ソフトを自由に変換して楽しめるようになったわけではありません。

また、「PS2RC」はRockstar Games、Take-Two Interactive、ソニーの公式プロジェクトではありません。ツールにゲームデータは含まれておらず、変換済みのファイルを配布することも認められていません。ソースコードの利用や改変版の公開についても、独自のライセンス条件が設けられています。

それでも、これまでPSPへの移植が難しいと考えられていたPS2作品に対して、ひとつの新しいアプローチが示されたことは確かです。今後、開発支援キットを活用した取り組みがどこまで広がっていくのか、引き続き注目したいところです。

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