RetroTINK-4Kの実験版1.99.1が公開! VRRの互換性改善やブラウン管風の映像表現を強化

RetroTINK-4Kの実験版1.99.1が公開! VRRの互換性改善やブラウン管風の映像表現を強化

RetroTINK LLCは2026年10月16日、「RetroTINK-4K Pro」「RetroTINK-4K CE」「RetroTINK-6X CE」向けの実験版ファームウェア「Version 1.99.1」を公開しました。

今回のアップデートでは、可変リフレッシュレート(VRR)の動作判定方法が見直され、これまでTrue VRRが利用できなかったテレビやモニターでも、利用できる可能性が広がっています。

さらに、前日の10月15日に公開されたVersion 1.99.0では、ブラウン管の残光を再現する「Multi-frame Glow」という機能が追加されました。Version 1.99.1では映像の明るさとぼけ具合の調整幅も拡大されており、ブラウン管らしい映像表現をさらに細かく調整できるようになっています。

●公式ファームウェア配布ページ(メインターゲット・一次情報)
https://retrotink-llc.github.io/firmware/4k-experimental.html

●公式ファームウェアリポジトリ
https://github.com/RetroTINK-LLC/firmware

これまでTrue VRRが使えなかったディスプレイでも利用できる可能性

今回のVersion 1.99.1で注目したいのが、True VRRの互換性改善です。

VRRとは「Variable Refresh Rate(可変リフレッシュレート)」の略で、映像の更新タイミングを変化させる技術です。RetroTINKのTrue VRRでは、ゲーム機などから入力された映像のフレームレートに合わせて出力側のタイミングを調整することで、滑らかで安定した映像表示を目指しています。

当サイトでは以前、Version 1.94.0でTrue VRRの設定方法が整理されたことを紹介しましたが、今回はさらに一歩進んで、対応ディスプレイの判定方法が変更されています。

そもそも、テレビやモニターには「EDID」と呼ばれる情報が用意されています。これはディスプレイが対応している解像度やリフレッシュレートなどを、接続した機器に伝えるためのものです。

これまでのRetroTINKでは、このEDIDに含まれる「VIC(Video Identification Code)」という映像モードの識別情報を厳格にチェックし、True VRRが利用できるかどうかを判定していました。

しかし、Version 1.99.1では、この制限が緩和されています。ディスプレイが申告している最小・最大フレームレートの範囲内であれば、True VRRによる同期を利用できるように変更されたのです。また、HDMI 2.1形式の拡張EDIDにも新たに対応しています。

これにより、ディスプレイ自体はVRRに対応しているにもかかわらず、映像モードの判定によってTrue VRRが利用できなかった環境でも、正常に動作する可能性が出てきました。

ただし、すべてのディスプレイで利用できるようになったわけではありません。テレビやモニター側がVICに基づく映像モードを厳密に制限している場合は、逆に映像信号が受け付けられない可能性もあるため注意が必要です。

ブラウン管の残光を再現する「Multi-frame Glow」が追加

もうひとつ注目したいのが、ブラウン管らしい映像表現を再現する機能の強化です。

10月15日に公開されたVersion 1.99.0では、「RetroTINK-4K Pro」向けに「Multi-frame Glow」という新機能が追加されました。これは、CRT Beam BFIに用意された新たなオプションです。

CRT Beam BFIは、ブラウン管のような走査の仕組みを再現し、液晶などのディスプレイでもCRTに近い動きの見え方を目指す機能です。今回追加されたMulti-frame Glowでは、さらにブラウン管特有の残光を表現できるようになりました。

具体的には、新しいフレームが画面の上側から順番に描画されていく際に、前のフレームの映像が下側に残るような処理が行われます。

たとえば、ブラウン管テレビの画面をカメラで撮影すると、新しく描画されている部分と、その前に表示されていた映像の残光が同時に写ることがあります。Multi-frame Glowは、まさにそうした見え方を再現するための機能です。

開発元によると、この機能を有効にすることで、CRT Beamの動作がBlur BustersとTimothy Lottesによる参照GPUシェーダーに準じたものになるとのことです。

なお、Multi-frame Glowは初期設定では無効になっており、利用するには設定を変更する必要があります。また、公式の変更履歴ではRetroTINK-4K Pro向けと明記されているため、ほかのモデルでも利用できるとは限りません。

明るさとぼけ具合の調整範囲も拡大

ブラウン管風の映像表現に関連して、もうひとつ変更されたのが「Motion Clarity」です。

これはVersion 1.99.0で、従来の「Beam Gain」から名称が変更された設定項目です。当初は0から12までの範囲で調整でき、数値を大きくすると映像のぼけが少なくなる一方、画面が暗くなるという特徴がありました。

Version 1.99.1では、この調整範囲がマイナス方向にも拡張され、最小値が「-12」になっています。

マイナスの値に設定すると、映像のぼけは増えるものの、その代わりに画面を明るく表示できるようになります。つまり、映像の鮮明さを優先するか、明るさを優先するかというバランスを、従来よりも幅広く調整できるようになったわけです。

ただし、このマイナス方向の設定は、参照元となっているGPUシェーダーの標準的な動作範囲から外れています。そのため、設定したビームパターンやBFIの頻度によっては、画面に継ぎ目のような表示上の問題が発生する可能性もあります。

単純に数値を下げれば映像がよくなるというものではないため、使用しているディスプレイや好みに合わせて調整する必要がありそうです。

実験版ファームウェアのため導入時は注意

今回公開されたVersion 1.99.1は、あくまでも開発途中の機能を含む実験版ファームウェアです。公式ページでも正常な動作は保証されておらず、機能が開発途中である可能性があると注意喚起されています。

ファームウェアは公式の配布ページからダウンロード可能です。基本的な更新手順は、ZIPファイルを展開してSDカードのルートディレクトリに必要なファイルを配置し、本体のファームウェア更新メニュー、またはResetボタンを使ってインストールするというものです。

なお、カスタムプロファイルや各種設定ファイルなどはSDカード側に保存されているため、通常のファームウェア更新では維持されると説明されています。ただし、更新方法によって注意事項も異なるため、導入前に公式の手順を確認しておきましょう。

また、True VRRの動作は接続するディスプレイの仕様や設定にも左右されます。HDMI切替器やAVアンプなどを経由している場合は、それらの機器がVRRの利用に影響することもあります。

今回のアップデートは、これまでTrue VRRを利用できなかった環境での互換性改善と、ブラウン管風の映像表現をより細かく調整できるようになった点が大きな特徴です。

特にRetroTINK-4K Proのユーザーにとっては、Multi-frame Glowによる新たな残光表現も気になるところでしょう。ただし、機能の対応状況や安定性については引き続き注意が必要なため、実験版であることを理解したうえで導入を検討したいところです。

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