Android/ARM64向けPlayStation 3エミュレーター『ARMSX3』のバージョン1.4が、2026年10月25日にGitHubで公開されました。『ARMSX3』は、PC向けPS3エミュレーター『RPCS3』をベースに、ARMSX2/ARMSX3プロジェクトが開発している非公式のエミュレーターです。
今回のアップデートで注目したいのが、『バットマン:アーカム・ビギンズ(Batman: Arkham Origins)』のオンライン対戦への対応です。コミュニティが運営するサーバーを利用する仕組みが組み込まれたほか、玩具と連動するゲーム向けの仮想ポータルや、音楽ゲームで使うマイク入力にも対応しています。
●ARMSX3 1.4(GitHub)
https://github.com/ARMSX2/ARMSX3/releases/tag/1.4

『バットマン:アーカム・ビギンズ』のオンライン対戦を利用可能に
今回の1.4では、『バットマン:アーカム・ビギンズ』のマルチプレイを、KiwifruitDevが運営するコミュニティサーバー「Arkham: Revived」を通じて利用できるようになりました。通信には、PS3エミュレーター向けのオンラインサービス「RPCN」を使用します。
開発元によると、ゲームを起動すると『ARMSX3』側で「Arkham: Revived」への接続に必要な処理が自動的に行われるため、別途パッチファイルをコピーする必要はありません。ゲームの言語設定に関係なく利用でき、クイックマッチやフレンドのロビーへの参加に対応しているとのことです。


RPCNのフレンドをゲームへ招待する機能も追加されました。招待を受けると相手の名前が通知され、ゲーム内メニューの「Friends」から参加できます。また、ロビーにいる状態で一時的に『ARMSX3』から別のアプリに切り替えても接続を維持する仕組みや、接続が切れた際の自動再ログイン機能も用意されています。
なお、通常は3人集まらないと開始できないプライベートロビーについて、より少ない人数で開始できる任意のパッチも追加されています。こちらは初期状態では無効で、利用する場合はホスト側がパッチを有効にする必要があります。
ただし、今回のオンライン対戦は公式のPSNサービスを復活させるものではありません。対戦できる相手はRPCNを利用する『ARMSX3』ユーザーに限られ、PS3実機のPSN利用者やPCのSteam版ユーザーとのクロスプレイには対応していません。

オンライン対戦にはゲーム更新1.06とRPCNアカウントが必要
『バットマン:アーカム・ビギンズ』のオンライン対戦を利用するには、ゲーム本体のほかにいくつかの準備が必要です。開発元がリリースノートで案内している手順は、次のとおりです。
- 『バットマン:アーカム・ビギンズ』にアップデート1.06を適用します。更新データは『ARMSX3』の「PKG/Data Manager」→「Game updates」から取得するよう案内されています。
- 「Settings」→「RPCN」で「Internet Connection」を有効にし、「PSN status」を「RPCN」に設定します。
- RPCNアカウントを用意してサインインします。設定画面の「RPCN」、またはライブラリメニューから操作でき、新規登録時にはメールで届く確認コードの入力が必要です。
- 同じRPCN設定画面で「UPnP」を有効にします。設定を変更した場合は、いったんゲームを終了して起動し直します。ルーターがUPnPに対応していない場合は、Android端末に対するUDPポート3658の転送設定が必要です。
「Arkham: Revived」専用のアカウントを別に作成する必要はなく、RPCNのユーザー名で識別される仕組みです。もっとも、これらは開発元が案内している接続条件であり、当サイトで実際に対戦相手とのマッチングやオンライン対戦の成立を検証したものではありません。

『Skylanders』などの玩具連動ゲームに仮想ポータルを追加
オンライン機能に加えて、実際のフィギュアや専用台座を使って遊ぶゲームにも新たな対応が行われています。対象として挙げられているのは、『Skylanders』『Disney Infinity』『LEGO Dimensions』の3シリーズです。
これらのゲームでは、本来はフィギュアを専用のポータルや台座に置くことで、そのキャラクターなどをゲーム内へ登場させます。1.4では、この周辺機器を『ARMSX3』内で再現する仮想ポータル機能が追加され、ゲーム内メニューの「Portal」からフィギュアの配置や取り外しなどを操作できるようになりました。
既存のフィギュアデータをファイルから読み込むほか、対応するフィギュアデータを名前から作成する機能も用意されています。ただし、『Skylanders Imaginators』の一部フィギュア「Senseis」では実物から取得したデータが必要とされており、すべてのフィギュアを自由に作成できるわけではありません。
仮想ポータルは複数のフィギュアの配置にも対応しており、『Skylanders』ではフィギュアやマジックアイテムを最大8個まで扱えると説明されています。ただし、この機能の追加が各シリーズのすべての作品やフィギュアの完全動作を保証するものではありません。

音楽ゲーム向けマイク入力やRPCNの管理機能も拡張
音声入力では、『SingStar』『Rock Band』『Guitar Hero』などのゲームがマイクを利用できるようになりました。「Settings」→「Audio」→「Microphone」から設定でき、Android端末の内蔵マイクやUSBマイクを選択できます。
「Automatic」ではUSBマイクの接続時はそちらを優先し、接続されていない場合は端末内蔵マイクを使用します。『SingStar』でふたり分のマイクを扱うモードや、マイク入力のレベルを確認するテスト機能も用意されています。
RPCN関連では、アカウントの新規作成や認証、パスワードの再設定などを行う画面が整理され、フレンド機能も拡張されました。ゲーム内で表示するアバターについても、PS3由来のアイコンを選んだり、自分で用意した画像などを取り込んだりできるようになっています。
ゲームごとの修正では、『Skylanders: Spyro’s Adventure』でフィギュアを配置した際に動作が止まる問題や、『J-Stars Victory VS+』で戦闘や必殺技の描画に支障が出る問題などが改善されています。リリースノートでは、それぞれ対象となる米国版ディスクの識別番号も指定されています。
当サイトでは以前、『ARMSX3 1.0.5』で『Demon’s Souls』のコミュニティサーバー接続が簡単になったことや、『ARMSX3 1.0.6』でCHD形式への対応と性能改善が行われたことを紹介しました。
今回の1.4は、それらとは別に『バットマン:アーカム・ビギンズ』のオンライン対戦環境を利用できるようにし、実機では専用の周辺機器が必要だったゲーム機能も仮想化するアップデートです。描画や動作速度だけでなく、PS3のゲームを遊ぶために必要なオンライン環境や周辺機器の再現にも対応範囲が広がってきたといえそうです。
なお、『ARMSX3』は非公式のエミュレーターで、ゲームデータなどは別途必要です。対応機能の利用可否やゲームの動作速度は、端末やゲームによって異なる場合があります。


















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