Android向けPS3エミュレーター「ARMSX3 1.0.6」公開。CHD対応で容量削減、フレーム生成も軽量化

Android向けPS3エミュレーター「ARMSX3 1.0.6」公開。CHD対応で容量削減、フレーム生成も軽量化

Android向けPS3エミュレーター「ARMSX3」の最新版となる「ARMSX3 1.0.6」が、2026年9月30日に公開されました。今回のアップデートにおける大きなポイントは、PS3のディスクイメージを圧縮したCHD形式に対応したことです。さらに、フレーム生成処理の軽量化や、SPURSを利用するゲームで発生していたスタッターの改善など、パフォーマンス面にも手が加えられています。

GitHub上ではARMSX3 1.0.6が9月30日16時21分に公開され、その約1時間後となる17時23分には「1.0.6.1」も登場しています。なお、この時刻についてはGitHub上で表示されたタイムゾーンまでは確認できないため、日本時間への換算は行っていません。

●ARMSX3 Releases(GitHub)
https://github.com/ARMSX2/ARMSX3/releases

PS3ゲームをCHD形式のまま直接起動可能に

ARMSX3 1.0.6では、新たにPS3のディスクイメージをCHD形式で扱えるようになりました。CHD化したゲームはISOファイルと同様にライブラリへ登録できるほか、「Launch Game」からの直接起動やディスク交換機能でも利用できます。

chdman createdvdとchdman createcdの両方で作成したCHDがサポートされており、暗号化されたディスクの場合はISOと同様に.dkeyファイルが必要です。

CHDを利用する大きなメリットは、ゲームデータを圧縮した状態で保存できることです。開発側が公開している例では、『Demon’s Souls』は8.76GBから6.25GBへ、『Bleach: Soul Resurrección』では約4GBから約1.8GBまで容量が減少しています。

Androidの携帯ゲーム機やスマートフォンではストレージ容量が限られていることも多いため、複数のPS3タイトルを保存したいユーザーにとっては、実用性の高い機能といえそうです。

ただし、どの程度容量を削減できるかはゲームデータの内容によって異なります。今回示されている数値は、あくまでも開発側が紹介した個別タイトルの例であり、すべてのPS3ゲームが同じ割合で小さくなるわけではありません。

フレーム生成処理も軽量化。Odin 3ではGPU時間が約3.0msから約1msに

パフォーマンス面では、フレーム生成処理にも大きな変更が加えられています。

従来は画面全体を対象に処理していたところをゲーム映像そのものへ変更し、モーション検出も432ラインで行うことで処理負荷を軽減しています。開発側によるOdin 3を使用した720pゲームのテストでは、1フレームあたりのGPU時間が約3.0msから約1msまで短縮されたとのことです。

単純計算ではGPU側の処理時間が約3分の1になったことになりますが、これはOdin 3と特定条件で行われたテスト結果です。そのため、すべてのAndroid端末やゲームで同じだけ性能が向上すると断定できるものではありません。

それでも、負荷の大きいPS3エミュレーションにフレーム生成を組み合わせるうえで、処理自体が軽量化されたことは大きな改善ポイントといえます。

また、ゲーム起動後にフレーム生成を有効にした場合にフレームが繰り返される問題も修正されています。シェーダーキャッシュをSDカードへ書き込めなかった場合でもフレーム生成を継続できるようになったほか、機能を利用できないときに、その理由をオーバーレイ上へ表示する改善も行われています。

SPURS関連のスタッターも改善

CPU側では、PS3のジョブシステム「SPURS」を多用するゲームにおけるスタッターの削減が図られています。

SPUスレッドがゲームのメインスレッドを長時間待っている場合に、CPUコアを占有したまま待ち続けるのではなく、いったん解放するよう処理が変更されました。これにより、CPUリソースをより効率よく利用できるようになっています。

開発側が『Spider-Man: Web of Shadows』で行った検証では、10ms以上のスタッターが発生する時間の割合が、それまでのおよそ半分から約10分の1まで減少したとしています。

同作では「Accurate SPU Reservations」もデフォルトでオフに変更されており、街をスイングしている際に発生していた多くの停止が軽減されたとのことです。

こちらも特定タイトルでの検証結果ではありますが、SPURSを多用するほかのPS3ゲームにも影響する可能性がある変更です。

このほか、SPUの予約処理やスレッド同期で利用される16バイトのアトミック操作も最適化されています。Snapdragon 8 Gen 1以降などの対応CPUでは、より効率のいい命令を利用する仕組みが導入されています。

直後に1.0.6.1も公開。Turnipの詳細設定を追加

ARMSX3 1.0.6の公開からほどなくして、「ARMSX3 1.0.6.1」もリリースされました。こちらは1.0.6に対する小規模な追加アップデートで、主にカスタムGPUドライバー「Turnip」に関連した設定が追加されています。

カスタムドライバーを導入している場合、GPU Driverの項目に新たな「UBWC flag hint」スイッチが追加されました。一部の新しいTurnipビルドと特定のAdreno GPUの組み合わせで発生する描画不具合を改善できる場合があります。

また、「Driver variables」欄からFD_、TU_、IR3_、MESA_といったTurnip用の変数を指定できるようになっています。変更した設定は、次回ゲームを起動したときから反映されます。

Google Play版はクローズドテスト完了。本番公開は承認待ち

Google Play版についても進展があります。開発側によると、クローズドテストはすでに完了しており、現在はGoogleから本番環境へのアクセス承認を待っている段階とのことです。

承認後にGoogle Playで公開される予定ですが、記事執筆時点ではまだ正式なストア公開には至っていません。

当サイトでは9月28日に「ARMSX3 1.0.5」を取り上げ、その際は『Demon’s Souls』がコミュニティサーバー「The Archstones」へ特別なリダイレクト設定なしで接続できるようになったことを紹介しました。

それから間を置かず公開された今回の1.0.6では、CHD対応によるストレージ容量の削減に加え、フレーム生成やSPURS関連の性能改善まで行われています。

AndroidでPS3ゲームを動かすというだけではなく、「限られたストレージにどうゲームを保存するか」「処理負荷をどう抑えるか」といった、実際の利用環境を意識した改善が進んでいる点も、今回のアップデートにおける注目ポイントです。

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