PSP『エースコンバットX』の静的再コンパイル版が発見!VulkanベースでWindows上に再構築

PSP『エースコンバットX』の静的再コンパイル版が発見!VulkanベースでWindows上に再構築

2006年にPSP向けに発売された『エースコンバットX スカイズ・オブ・デセプション』を、Windows上で動作させる静的再コンパイルプロジェクト「Ace-Combat-X-Recompilation」が発見されました。

プロジェクト自体の初回リリースは2026年8月2日で、最新版のV1.2は8月8日に公開されています。新作として公開されたばかりというわけではなく、日本時間8月17日ごろに海外のRedditユーザーがプロジェクトを掘り起こしたことで、改めて注目を集めた形です

PSP用のMIPSコードを事前にCへ変換

「Ace-Combat-X-Recompilation」はGitHubでソースコードが公開されています。このプロジェクトでは、PSP版に含まれるMIPSコードを実行時にエミュレーションするのではなく、事前にネイティブCコードへ変換する静的再コンパイル方式が採用されています。

●GitHub
https://github.com/sal063/Ace-Combat-X-Recompilation?utm_source=chatgpt.com

変換された関数は一般的なCコンパイラーでコンパイルされ、PSPのカーネル機能はホスト側のHLEで再実装。PSPのグラフィックスエンジン「GE」に相当する部分は、Vulkanを利用する独自レンダラーに置き換えられています。

ウィンドウ表示や入力、オーディオ、動画再生なども専用ランタイムが担当しており、単にPSPエミュレーターへゲーム専用設定を追加したものではありません。ひとつのゲームをWindows向けに組み直す、タイトル特化型のネイティブ実行環境となっています。

READMEでは、通常のゲーム処理にJITを使用せず、再コンパイル済みの関数をCコードとして実行すると説明されています。一方で、例外処理や使用頻度の低いコード向けにはMIPS/VFPUインタープリターコアも用意されています

北米版ISOを用意すれば起動可能

公開されている最小ランタイムパッケージには、再コンパイル済みの実行ファイルやSDL3、フォント、抽出ツール、「play.bat」などが含まれています。リリースノートによると、自分で吸い出した『Ace Combat X: Skies of Deception』のISOを「play.bat」と同じフォルダーに置くことで起動できます。

ただし、現時点で対象になっているのは北米版「ULUS10176」です。日本版UMDへの対応は記載されていないため、日本版のISOではそのまま利用できない可能性があります。

ソースコードから自分でビルドする場合は、Python 3.10以降やclangなどのコンパイラー、SDL3、Vulkan環境に加え、所有するゲームから復号したEBOOT.elfを用意する必要があります。

右スティックによるフリールックにも対応

8月2日に公開されたV1.1では、コントローラーの右スティックを使ったフリールックカメラが修正されました。右スティックを持たないPSPでは難しかった操作を、現代的なコントローラー向けに追加している点も興味深いところです。

続く8月8日のV1.2では、SAAM使用時の照準リングなど、一部の反転スプライトが正しく描画されない問題が修正されています。

開発者によると、自由落下爆弾の表示や格納庫にある一部特殊兵装のスプライトには、まだ小さな表示問題が残っています。完成版というよりも、プレイ可能なランタイムを公開しながら細部を修正している段階と考えたほうがよさそうです。

●V1.2リリースページ
https://github.com/sal063/Ace-Combat-X-Recompilation/releases/tag/V1.2-release?utm_source=chatgpt.com

Redditの発見者からは「非常によく動く」「セットアップもREADMEから受ける印象より簡単」と報告されています。また、F4キーでデバッグ用メニューを表示できるとのことです。ただし、これはユーザーによる動作報告であり、すべての環境での動作を保証するものではありません。

オリジナル版は2006年発売のPSPタイトル

ちなみに『エースコンバットX スカイズ・オブ・デセプション』は、2006年10月26日に発売されたPSP用フライトシューティングゲームです。

攻略するミッションの選択によって、その後の戦況や出現ミッションが変化する「Strategic AI System」を採用。PSPを持ち寄り、最大4人で遊べるマルチプレイヤーモードも収録されていました。

ゲーム本体やISOは含まれず

GitHubで公開されているリポジトリには、ゲームのISOや抽出済みデータ、セーブデータなどは含まれていません。利用者が所有する北米版UMDから、自分でゲームデータを用意する必要があります。

また、本プロジェクトはバンダイナムコエンターテインメントによる公式移植ではありません。コード部分はGPL-2.0ライセンスで公開されていますが、ゲーム本体のデータが自由に利用できるわけではない点には注意が必要です。

PSPタイトルを静的再コンパイルし、専用のVulkanレンダラーまで実装してWindows上で動かすという、なかなか大胆なプロジェクトです。現時点では高解像度化や本格的なMOD機能、Windows以外への対応は発表されていませんが、今後どのような機能が追加されるのか注目したいところです。

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