今から9年前にスタートしたプロジェクトのMiSTer FPGA。最近はTaki Udon氏率いるRetroRemakeのゲーム機『SuperStation One』などでも採用されるなど、徐々にその活用の場も広がってきました。その間、九龍城のようにコアだけではなく様々なシステムが建て増しされてきたことに加えて、明確にその情報がまとめられているというわけでも無い部分もあり、今ひとつわかりにくいところも出てきています。
そのひとつが、SNACアダプター関連です。そこで今回は、「SNACアダプター」の基礎知識として、こちらに情報をまとめておきたいと思います。
そもそもSNACってなに?
そもそもSNACってなんなの? という人も多いと思いますが、こちらは「Serial Native Accessory Converter」の略称です。簡単に言うと、「実機用コントローラーを、USB変換を介さずMiSTer FPGAへ直接接続する仕組み」だと思えばいいでしょう。
通常、ゲームパッドをMiSTer FPGAで使う場合は、「実機コントローラー」→「USB変換アダプター」→「MiSTer FPGA」という流れになります。しかしSNACでは、「実機コントローラー」→「MiSTer FPGAのGPIOへ直結」という構成です。これにより、入力遅延を極限まで減らすことができ、実機に近いタイミングで動作。さらに、特殊なコントローラーにも対応することができるのです。

SNAC最大の魅力は“特殊コントローラー”への対応
SNACが特に注目されている理由が、特殊コントローラーとの相性の良さです。たとえばファミコンの光線銃やスーパーファミコンのスーパースコープ、ネジコン、マルチタップなど、USBの変換では完全に再現するのが難しい周辺機器があります。それらも比較的実機に近い感覚で使うことができるのです。
特にブラウン管環境でのガンシューティング用途では、SNACは非常に大きな意味を持っています。

「SNACアダプター」とはどんな役割を持つものなの?
このSNACを利用するには、それぞれのゲーム機ごとに用意された専用の変換アダプター、つまり専用のSNACアダプターが必要になります。例えば、ファミコンならファミコン用、スーパーファミコンならスーパーファミコン用といった感じですね。それらは物理的な形状も通信方式も異なっているからです。
また、ファミコンとひと言でいっても、NES用のコントローラーポートと、日本のファミコンに用意されていた15ピン拡張コネクタなどもあるので、それぞれ個別で用意しなければなりません。SNACアダプターは、「MiSTer FPGA側の端子」と「実機コントローラー」を橋渡しする装置として、存在しているのです。

HDMI端子だけど映像ではないので注意!
これは後ほど触れますが、SNACアダプター関連の中にはUSBを使用したもの以外にも、形状的にはHDMI端子と同じものを利用したものも存在しています。もちろんこれらは映像の信号をやりとりするためのものではありません。あくまでも、HDMIケーブルを“配線代わり”に使っているだけです。
つまり、これらはテレビに接続してはいけませんし、キャプチャーボードへ挿すのもNGです。それらの行為は、最悪の場合、機器破損の可能性もあります。これらはMiSTer FPGA界隈では半ば常識になっていますが、初見だとかなり混乱しやすいポイントです。

レベルシフターが必要ってホント!?
もうひとつ、無知な状態だと見落としてしまいがちなのが「レベルシフター」です。これは簡単に言うと、「5Vと3.3Vの電圧差を吸収するための回路」だと思えばいいでしょう。MiSTer FPGAのGPIOは基本的に3.3Vで動作しますが、昔のゲーム機コントローラーには5V動作のものが多数存在します。
これをそのまま接続してしまうと、認識不良や不安定動作、GPIO破損などの原因に繋がることがあります。そのため、5V系コントローラーを利用するSNACアダプターでは、「レベルシフター」が必要になります。また、最近のSNAX系製品では、レベルシフターが最初から内蔵されているものも多くなっています。
■レベルシフターが必要なSNACアダプターの例
・ファミコン / NES
・スーパーファミコン
・メガドライブ
・PCエンジン
・NeoGeo
・セガサターン
■レベルシフターが不要なSNACアダプター
・PlayStation
・NINTENDO64

ちょっと待って!SNAXやSNAX64ってなんなの!?
実はこのSNAC自体も進化を続けてきており、その後「SNAX」や「SNAX64」という単語も登場してきました。こちらは簡単に言うと、「SNACをより実用的に発展させた上位モデル」のような存在です。従来のSNAC V1は、基本的に1P利用を前提としており、シンプルかつ低価格な反面、かなり玄人向けな面もありました。
それに対してSNAX系は、2P以上への対応やPlayStation対応、NINTENDO64対応強化、ライトガン対応強化、より安定した動作など、など、より幅広い用途へ対応しています。特に「SNAX64」は、NINTENDO64コア向けに4P対応を強化したモデルとして展開されています。
また、最近のSNAX系製品では、レベルシフターを内蔵した設計も増えており、従来のSNAC V1より扱いやすくなっています。
これらは、公式ショップの misteraddons.com などで販売されている『MiSTer FPGA SNAC/SNAX/SNAX64 – Native Controller Adapter』本体と、各ゲーム機向けの専用アダプターを組み合わせることで利用できます。たとえば、ファミコン、スーパーファミコン、PlayStation、NINTENDO64など、ゲーム機ごとに専用アダプターを用意し、それをSNAC/SNAX本体へ接続する形になります。
●MiSTer FPGA SNAC/SNAX/SNAX64 – Native Controller Adapter
https://misteraddons.com/products/snac?srsltid=AfmBOoqxJ368rV15LgESOOu7d3olTmWCGAcQTqLW3k5Uq-Fpmd9Q0Drd
●Controller Adapters (SNAC/SNAX/SNAX64/Reflex Adapt)
https://misteraddons.com/products/hdmi-controller-adapters
1点注意が必要なのはPCエンジン用のアダプターです。こちらは6ボタンパッドに対応しておらず、オリジナルのハードウェアの高速応答時間の影響で、ターボ機能もオリジナルと同様には動作しません。この条件を満たすには、高速なレベルシフターが必要になります。PCエンジンで利用したいという人は、合わせてチェックしておくといいでしょう。
●MiSTer FPGA SNAC/SNAX/SNAX64 – Native Controller Adapter
https://misteraddons.com/products/snac?_pos=4&_psq=snac&_ss=e&_v=1.0

SuperStation Oneでも重要な存在に
『SuperStation One』でも、このSNAC関連はかなり重要なポイントになっています。このマシンの場合、予めPlayStation用SNACポートが標準搭載されています。実際にほかのSNACアダプターを利用する場合は、別売りの『Super Dock』を購入する必要があります。

まとめ:SNACは“実機感”を追求するための仕組み
最後にまとめると、SNAC関連は、SNAC、SNAX系(HDMI型アダプター)、レベルシフター、GPIO、ガンコン対応など用語が多く、かなり複雑に感じてしまいがちです。しかし、その根本にあるのは、「できるだけ実機に近づけたい」というシンプルな思想から生まれたものです。
USBパッドで手軽に遊ぶのもMiSTer FPGAの魅力ですが、さらに一歩踏み込んで“当時の操作感”まで追求したい人にとって、SNACは非常に面白い世界と言えるでしょう。
















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