2026年7月28日に発売されたばかりの、ModRetroのNINTENDO64互換機『M64』。FPGAを採用し、オリジナルのNINTENDO64カートリッジやコントローラーが利用できるほか、最大4Kでの映像出力にも対応するなど、なかなか魅力的なマシンに仕上げられています。現在は公式サイトで229.99ドルで販売中です。
しかし、そんな『M64』を「買うべきではない」と訴える記事が海外メディアのAftermathに掲載。それがRedditのr/emulationで紹介され、大きな議論を呼んでいるようです。
●元スレ:「Do Not Buy The War Crime N64 – “There’s so many ways to play the N64. You do not need to support Palmer Luckey’s little project.”」
https://www.reddit.com/r/emulation/comments/1vb4ezt/do_not_buy_the_war_crime_n64_theres_so_many_ways/
「N64を遊ぶ方法はいくらでもある。わざわざM64を買う必要はない」
今回Redditで紹介されたAftermathの記事には、「Do Not Buy The War Crime N64(“戦争犯罪N64”を買うな)」という、かなり刺激的なタイトルが付けられています。
その矛先が向けられているのは、『M64』という製品そのものというよりも、ModRetroを率いるパルマー・ラッキー氏です。
ラッキー氏といえば、VRヘッドセット『Oculus Rift』を生み出したOculus VRの創業者として有名ですが、その一方で防衛テック企業Anduril Industriesの共同創業者でもあります。同社ではドローンを含む無人システムや軍事向け技術の開発を手掛けており、こうしたラッキー氏のもうひとつの顔に強く反発するユーザーも少なくありません。
Aftermathの記事では、NINTENDO64を遊びたいだけなら、オリジナルの実機にRetroTINKなどのアップスケーラーを組み合わせる方法や『Analogue 3D』、MiSTer FPGA、『SuperStation One』、さらには一般的なエミュレーターなど、ほかにも選択肢はいくらでもあると指摘。
そのうえで、わざわざラッキー氏のプロジェクトを支援する必要はないと主張しています。
実際、Redditでもこんな声が上がっています。
「代替品ならAnalogue 3Dがある。自分はこちらのほうが見た目も好きだ」
「オリジナルのN64とRetroTINKでもいい。エミュレーターだっていくつもある」
「MiSTerという選択肢もある」
いずれもコメントの要旨を日本語にしたものですが、単純に「M64が嫌い」というよりも、「これだけN64を遊ぶ方法があるのだから、あえてM64を選ばなくてもいい」というのがボイコットを支持する側の基本的な論調になっています。
過去には「攻撃ドローンと同じ金属を使ったChromatic」も登場
こうした反発が今回突然始まったわけではありません。
ModRetroは2025年12月、ゲームボーイカラー互換機『Chromatic』の特別モデルとして、「Anduril Chromatic」を発売しています。
こちらはAndurilの攻撃ドローンにも使われているものと同じマグネシウム・アルミニウム合金を筐体に採用。Andurilのロゴもあしらわれるなど、レトロゲームと軍事企業をあえて結び付けた商品でした。
このときから海外のレトロゲームコミュニティでは強い反発が起きており、今回の『M64』発売によって再び議論が燃え上がったという側面もありそうです。
Redditでは、ラッキー氏について知らなかったユーザーに対して、
「ModRetroの創業者であり、軍事用ドローンなどを製造するAndurilの創業者でもある」
と説明するコメントも多く見られます。
中にはかなり過激な言葉でラッキー氏を批判する投稿もあり、少なくともこのスレッドでは否定的な意見が目立っています。
一方で「ゲーム会社と軍需企業は別では?」という反論も
ただし、スレッド全体が「M64を買うな」で完全に一致しているわけではありません。
たとえば、こんな反論も投稿されています。
「ひとりの人間が複数の会社を経営することはできる。ModRetroの資金が兵器開発に流れているという話なら別だが、その証拠は見たことがない」
つまり、「ラッキー氏が両社に関わっているからといって、『M64を買う=兵器開発に資金を提供する』と直接結び付けるのは飛躍ではないか」という意見です。
また、別のユーザーからは、
「Windows PCでエミュレーションすればいいと言うけれど、Microsoftだって米軍との防衛関連契約がある」
という皮肉も。
さらにその後には、IntelやAMD、NVIDIAなどについても軍需産業との関係を完全に切り離すことは難しいのではないかという議論に発展しています。
このほか、
「どのsubredditも結局は政治の話になってしまう」
と、この話題そのものを嫌うユーザーもいました。
あまりの強い書き方に反発して「むしろ買う」という人まで
興味深いのは、元になったAftermathの記事そのものへの反発もかなり多いことです。
同記事は冒頭からラッキー氏を非常に強い言葉で罵倒するなど、一般的なニュース記事とはかなり異なる文体で書かれています。
Redditでは、
「言いたいことはわかるが、もっと大人な書き方はいくらでもある」
といった指摘も見られました。
実はこれには理由があり、記事を書いたChris Person氏自身がRedditに登場。同サイトではこのとき「Hater Week」という企画を実施しており、「この醜いマシンをこの人物から買うな、と伝えるために書いた」と説明しています。つまり、最初からあえて攻撃的なスタイルで書かれた記事だったというわけです。
しかし、そのあまりの挑発ぶりから、
「じゃあ2台買うよ」
「この記事を見て逆に注文することにした」
といった反応まで登場。
中には「こうして騒ぐことでM64を知らなかった人にまで無料で宣伝している」という、いわゆるストライサンド効果を指摘するユーザーもいました。
製品の評価と「誰にお金を払うのか」は別の問題?
今回のRedditの反応をざっくりまとめると、最も多く見られるのは「NINTENDO64を遊ぶ手段はほかにもあるのだから、ラッキー氏を支持したくないならM64を選ぶ必要はない」という意見です。
その一方で、「ModRetroとAndurilは別企業なのだから、M64の購入と兵器開発を直接結び付けるのは無理がある」「そもそも大手テクノロジー企業と軍需産業の関係を完全に避けることは難しい」といった反論もありました。
また、元記事のあまりに攻撃的な文体そのものを嫌い、逆にM64を支持すると宣言するユーザーまで現れています。
少なくとも今回の議論を見る限り、『M64』の性能や再現度そのものが問題視されているというよりも、「その製品を誰が作っていて、購入したお金が誰の利益になるのか」という、レトロゲーム機としてはなかなか珍しい部分が議論の中心になっているようです。
果たしてこうした騒動が『M64』の販売に影響を与えるのか、それとも逆に宣伝効果となるのか。発売されたばかりということもあり、今後の動向にも注目したいところです。














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