人気アクションゲーム『Cuphead』をLinux搭載の小型携帯ゲーム機で動作させる非公式プロジェクト『portmaster-cuphead』が、2026年10月26日に実験版を公開しました。開発を手がけるGitHubユーザーのwild1walker氏は、Anbernicの『RG34XX-SP』で実際にゲームが動作し、多くのステージやボス戦で60fps前後を達成したと報告しています。
10月28日には改良版となる『2026.10.27.2』も公開され、画面表示の調整やセットアップ方法などが改善されました。ただし、現時点ではプレリリースという位置付けで、誰でも問題なく導入できることが確認されたわけではありません。
●Cuphead for PortMaster 2026.10.27.2 (pre-release)
https://github.com/wild1walker/portmaster-cuphead/releases/tag/2026.10.27.2
●portmaster-cuphead
https://github.com/wild1walker/portmaster-cuphead
『RG34XX-SP』と『Knulli』の組み合わせで動作を確認
今回公開された『portmaster-cuphead』は、Linuxベースの携帯ゲーム機向けにゲームを移植する非公式プロジェクトです。開発者が実際に動作を確認したのは、Anbernicの『RG34XX-SP』にカスタムファームウェア『Knulli』を導入した環境です。
『RG34XX-SP』は、Allwinner H700を搭載し、1GBのメモリーと720×480ドットのディスプレイを備える小型携帯ゲーム機です。こうした端末で『Cuphead』が動作するという点は、なかなか興味深いところです。
開発者によると、今回の移植版では多くのステージやボス戦で約60fpsを達成しています。実際に各ステージやボス戦を自動テストした結果として、以下のような数値が報告されています。
- 多くのステージやボス戦:約60fps
- 負荷の高い一部のステージや追加コンテンツ:約40~49fps
- 特に負荷が高いボス戦:約33~35fps
ただし、長時間プレイすると本体が温まり、動作速度がやや低下する場合もあるとのことです。
これらは開発者による測定結果であり、当サイトが実機で検証した数値ではありません。また、今回の調査では、第三者による独立した性能検証や新規インストールの成功例までは確認できていません。
PortMasterを利用して『Cuphead』を動作させる仕組み
今回の移植版では『PortMaster』が利用されています。PortMasterは、Linuxベースの携帯ゲーム機に、PCゲームの移植版などを導入・管理するための仕組みです。対応するファームウェアや機種で利用できますが、PortMasterに対応しているからといって、すべての移植作品が動作するわけではありません。
『portmaster-cuphead』では、『Cuphead』の開発に使われているゲームエンジン『Unity』のAndroid向け実行環境をLinux上で直接動かし、ゲームデータを携帯機向けに変換する方式が採用されています。Androidそのものを起動したり、Windows版をエミュレーターで実行したりする仕組みではありません。
なお、配布されているファイルに『Cuphead』のゲーム本体は含まれていません。利用するには、ユーザー自身が正規に所有しているmacOS版のゲームデータが必要です。
最新版のリリース説明では、GOGで購入したmacOS版に加え、SteamのmacOS版『Cuphead』バージョン1.3.4のデータも利用できると案内されています。一方、Windows版のゲームデータをそのまま使用することはできません。
さらに、追加コンテンツ『The Delicious Last Course』にも対応する仕組みが用意されており、ゲーム本体を構築したあとから追加することも可能とされています。
初回セットアップには1~3時間程度。約10GBの空き容量も必要
今回の移植版は、ファイルをコピーするだけですぐに遊べるというものではありません。導入時には、配布されている『cuphead.zip』をPortMasterの『ports』フォルダーに展開し、所有しているmacOS版『Cuphead』のゲームデータを所定の場所にコピーします。
その後、携帯ゲーム機のメニューから『Cuphead』を起動すると、初回セットアップが実行されます。この処理では、ゲームデータの展開やグラフィックの変換などが行われるため、相応の時間が必要です。
開発者によると、通常の初回セットアップには約1~3時間かかり、一時的に約10GBの空き容量が必要になります。64ビット版では約12GBの空き容量が必要とされ、処理時間もさらに長くなる場合があります。
セットアップ完了後は毎回変換する必要はなく、通常のゲームと同じように起動できる仕組みです。なお、こうした手順は開発者が案内しているものですが、最新版を使って新規導入が最後まで正常に完了することが、すべての環境で確認されているわけではありません。
最新版ではWi-Fi不要のセットアップや画面表示の調整機能を追加
10月28日に公開された『2026.10.27.2』では、初回セットアップや動作環境に関するさまざまな改良が加えられています。
そのひとつが、初回セットアップ時にWi-Fi接続を必要としない仕組みです。従来は必要な実行環境をダウンロードする方式でしたが、最新版では必要なファイルを配布パッケージ側で用意する方式に変更されています。
画面表示についても改善されており、本体の画面解像度に対して描画解像度を下げ、拡大表示する設定が追加されています。これにより、画質と動作速度のバランスを調整できるようになっています。
また、画面の縦横比に合わせた表示方法も変更可能です。たとえば、4:3の画面では左右に余白を設けて16:9の映像を表示するなど、携帯ゲーム機の画面に合わせた調整ができます。そのほか、サウンド関連の修正や、一部のグラフィック環境に向けた改善も行われています。ただし、ここで注意したいのが動作確認の状況です。
最新版のリリース説明によると、『RG34XX-SP』ではすでにインストール済みの『Cuphead』が正常に動作することを確認しています。一方で、最新版を使ってゲームデータの新規セットアップを最初から最後まで実機で再検証したわけではないと明記されています。
また、GitHubのREADMEには、初回セットアップにWi-Fiが必要であることや、GOG版のみ検証済みといった記述が残っています。これらは最新版のリリース説明と食い違っており、更新前の情報が残されている可能性があります。
64ビット版についても、一部の構築処理や起動確認は行われていますが、最新版での実機動作には未検証の部分があります。実際に試す場合は、READMEの記述だけで判断せず、最新リリースの説明や既知の問題点を確認したほうがいいでしょう。
今後はほかのLinux携帯ゲーム機でも動作する可能性
『portmaster-cuphead』は、PortMasterを利用するほかのLinux携帯ゲーム機も視野に入れたプロジェクトです。そのため、今後の改良やユーザーによる検証が進めば、『RG34XX-SP』以外の機種でも動作する可能性はあります。
ただし、これはあくまで今後の展開に関する期待であり、現時点で幅広いPortMaster対応機での動作が保証されているわけではありません。また、本プロジェクトは『Cuphead』の開発元であるStudio MDHRによる公式移植ではなく、第三者が開発している非公式の実験的な移植版です。
それでも、比較的限られた性能の小型携帯ゲーム機で『Cuphead』が実際に動作し、多くの場面で60fps前後を記録したという開発者の報告は、興味深い成果といえるでしょう。今後は、ほかの機種での動作確認に加え、新規セットアップの成功例がどこまで増えていくのかにも注目したいところです。


















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