PS3向けに移植された非公式PSPエミュレーター『PPSSPP for PS3』のv0.2 Build 310が、2026年10月28日に公開されました。開発を手掛けているのはCalyps0man氏で、今回のアップデートでは新たにセーブステート機能に対応。ゲームの進行状況を好きなタイミングで保存し、そこから再開できるようになりました。また、一部のゲームで発生していたフリーズへの対処や、動作速度の改善も行われています。
●Experimental version 0.2 (build 299)
https://github.com/Calyps0man/ppsspp/releases/tag/ppsspp_for_ps3
●Brewology(配布ページ・更新履歴)
https://store.brewology.com/homebrew.php?category=Emulators&orderby=
PS3でもPSPゲームを好きな場面で保存・再開できるように!
『PPSSPP for PS3』は、PCやスマートフォンなどで利用されているPSPエミュレーター『PPSSPP』を、PS3向けに移植した非公式ソフトウェアです。オープンソースの開発環境『PSL1GHT』SDKを利用して作られており、PS3のHDDに保存したPSPゲームのデータを動作させることができます。
PSPのCPU処理にはJIT(実行時コンパイル)を採用し、グラフィックの描画にはPS3に搭載されているGPUのRSXを利用しています。なお、これはPS3の標準機能や『PSP Remaster』とは異なる、独自に開発されたエミュレーターです。
今回のBuild 310で追加されたのが、セーブステート機能です。これは、ゲーム内に用意されている通常のセーブ機能とは別に、エミュレーター側でゲームの状態を保存できるというものです。
たとえば、本来ならば決められた場所でしかセーブできないゲームでも、戦闘の直前や難しい場面に挑戦する前など、好きなタイミングで状態を記録できるようになります。保存した状態を読み込めば、その場面からプレイを再開することも可能です。
操作方法も比較的シンプルで、ゲームのプレイ中にSELECTボタンとSTARTボタンを同時に押すと、エミュレーターのメニューが表示されます。そこから保存先のスロットを選んでセーブしたり、保存済みのスロットを指定して読み込んだりする仕組みです。
従来のBuild 299でもゲームが本来備えている通常のセーブ機能は利用できましたが、セーブステートには対応していませんでした。今回の更新によって、PC版『PPSSPP』でもおなじみの便利な機能が、PS3版でも利用できるようになった形です。
ただし、セーブステートへの対応が発表された一方で、すべてのPSPゲームで正常に保存や読み込みが行えることまで確認されたわけではありません。
『Spider-Man 3』で発生していたフリーズにも対処!
今回のアップデートでは、セーブステートへの対応に加えて、PSP用ソフト『Spider-Man 3』の動作改善も行われています。
開発者の説明によると、同作ではゲームの後半でフリーズが発生する問題が残っていましたが、Build 310ではこの不具合に対処したとのことです。新たな設定ファイルも用意されており、さらに動作速度についても若干の改善が加えられています。
もっとも、同作はエミュレーターへの負荷が高いタイトルであることから、描画解像度を1倍に下げる必要があると説明されています。そのため、今回の修正によって、すべての場面で快適に動作することが保証されたわけではありません。
気になるのは、実際にどの程度のPSPゲームが動作するのかという点でしょう。
開発者が公開している動作報告では、『The 3rd Birthday』や『Dead to Rights: Retribution』などが、内部描画解像度2倍の設定で30fps程度の動作を確認できたタイトルとして挙げられています。また、『Call of Duty: Roads to Victory』についても、同じく2倍の解像度で20~30fps程度の動作が報告されています。
一方、すべてのゲームが同じように動作するわけではありません。『グランツーリスモ』では10~15fps程度にとどまっており、『Midnight Club: L.A. Remix』についても同程度の動作速度で、テクスチャの表示やミラー表示に問題が残っています。
このほか、『Killzone』については、描画解像度を1倍に設定することで、おおむね30fps程度の動作が報告されています。ただし、冒頭のムービーシーンでは一部表示が乱れることもあるようです。
これらは開発者が公開している個別の動作報告であり、Build 310で全タイトルを改めて検証した結果ではありません。また、日本版のソフトについても同様の結果が得られるかどうかは確認されていないため、注意が必要です。
まだ実験的な段階! 利用できるPS3の環境にも注意
このように、PS3でPSPゲームを動かせる『PPSSPP for PS3』ですが、現時点ではまだ実験的な段階にあります。
開発者自身も今回のリリースについて強く注意を呼びかけており、以前のバージョンで動作していたゲームについても、すべてを再テストしたわけではないと説明しています。そのため、ゲームによっては正常に起動できなかったり、プレイ中に不具合が発生したりする可能性があります。
また、PC版『PPSSPP』で利用できる機能が、すべて移植されているわけでもありません。現時点ではオンライン機能やチート機能には対応しておらず、ゲームごとの互換性や動作速度についても課題が残されています。
導入環境にも注意が必要です。現在公開されているのは、カスタムファームウェア(CFW)環境向けと、HEN環境向けの2種類です。いずれも通常のPS3にそのままインストールして使用できるものではなく、対応した環境を用意する必要があります。
今回のセーブステート対応によって、PS3版『PPSSPP』の使い勝手は一歩前進したといえそうです。まだ動作するタイトルが限られているものの、PS3という据え置き型ゲーム機でPSPのゲームを楽しめるという点は、なかなか興味深い試みです。
今後は、より多くのPSPゲームに対応できるかどうかに加えて、今回追加されたセーブステート機能が、どの程度安定して利用できるのかという点も気になるところです。


















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