PS Vita向け『Godot 4』v0.1が公開! 新作ゲームや既存作品の移植に新たな選択肢

PS Vita向け『Godot 4』v0.1が公開! 新作ゲームや既存作品の移植に新たな選択肢

開発者のWolffsRoom氏は2026年10月26日、PS Vita向けに移植したゲームエンジン『Godot 4』の初回一般公開版となるv0.1を発表しました。Windows上でゲームを制作し、PS Vitaで動作するVPK形式のファイルとして出力できるもので、今後の新作ゲーム開発や既存作品の移植に新たな選択肢が加わることになります。

『Godot』は、2Dや3Dのゲームを制作するためのオープンソースのゲームエンジンです。プログラムの作成からキャラクターの配置、グラフィックやサウンドの管理など、ゲーム開発に必要な機能がまとめられており、個人開発者から商用ゲームの制作まで幅広く利用されています。

これまでもPS Vita向けには『Godot 3』をベースにした移植環境が存在していましたが、今回公開されたのは、より新しい『Godot 4』をベースにしたものです。これによって、従来の環境では対応が難しかった『Godot 4』製ゲームについても、PS Vitaへの移植を検討できるようになります。

●『Godot 4 Vita』GitHub
https://github.com/WolffsRoom/godot4-psvita

●v0.1のダウンロードページ(Releases)
https://github.com/WolffsRoom/godot4-psvita/releases/tag/v0.1

WindowsからPS Vita向けゲームを直接出力可能

今回公開された『Godot 4 Vita』v0.1は、『Godot 4.8-dev7』をベースにPS Vita向けの機能を追加した非公式の移植版です。大きな特徴は、PS Vita向けの出力機能を組み込んだWindows用エディター『Godot4Vita.exe』が用意されていることです。

通常、家庭用ゲーム機向けにソフトウェアを移植するには、専用の開発環境を構築する必要があります。しかし、今回のエディターでは『VitaSDK』や『WSL』、Pythonなどを別途導入することなく、PS Vita向けのVPKファイルを作成できます。

具体的には、エディターでプロジェクトを開き、出力先として「PS Vita」を選択。必要な設定を行うことで、PS VitaにインストールするためのVPKファイルが生成される仕組みです。また、PS Vitaの方向キーやボタン、左右のアナログスティック、前面タッチスクリーン、オーディオ出力などにも対応しています。

ホーム画面に表示される『LiveArea』のアイコンや背景画像、レイアウトなどをカスタマイズする機能も搭載。トロフィーに関する設定機能も用意されていますが、実際にゲーム内でトロフィーを獲得する機能は、現時点ではまだ実装されていません。

なお、開発環境を簡単に導入できることと、通常のPS Vita本体でそのまま実行できることは別です。作成したゲームを動かすには、HENkaku/Ensōを導入し、kuBridgeをインストールしたPS Vitaが必要になります。

2Dゲームだけでなく、3Dゲームの動作にも挑戦

描画機能については、PS Vitaのグラフィック機能であるGXMを直接利用する、独自の2D描画環境が実装されています。

これにより、キャラクターや背景の描画に加えて、多角形や文字、画面の一部を別のテクスチャーとして利用する処理などにも対応しています。一方で、一部のシェーダーや特殊な映像効果については、まだ実装されていません。

さらに興味深いのが、実験段階ながら3D描画にも対応していることです。

現時点では、3Dモデルの表示やテクスチャーの描画、簡易的なライティングなどが実装されています。ただし、リアルタイムの影やフォグ、画面全体に適用する特殊効果などは未対応となっており、複雑な3Dゲームを動かすには、まだ多くの課題が残されています。

『OVERBURDEN』は実機で全編動作! 『Buckshot Roulette』もテスト中

開発者は、今回のゲームエンジンを利用して複数のゲームの動作テストを行っています。まず、2Dゲームでは『Godot』の公式デモ作品である『Dodge the Creeps』を使用し、キャラクターの操作や当たり判定、サウンドなどがPS Vita実機で動作することを確認しています。

このほか、アクションゲームの『Ambidextro』はベータ版が公開され、実機でプレイできる段階に到達。『Tenebrarium』についてもアルファ版が実機で動作しており、描画機能の検証に利用されています。

一方、3Dゲームでは『OVERBURDEN』の移植が進められています。GitHubの説明によると、実験的な3D描画機能を使用し、PS Vita実機でゲーム全編を約30fpsでプレイできる状態になっているとのことです。ただし、こちらは現在も開発中であり、動作状況は開発者による報告に基づくものです。

また、『Buckshot Roulette』についても移植実験が行われています。こちらはゲームの起動に加えて、メインメニューやオプション画面の動作が確認されていますが、3Dシーンの処理が複雑なため、現時点ではゲーム本編を開始できない状態です。

つまり、『Godot 4』で制作されたゲームであれば何でも動くというわけではなく、それぞれの作品に合わせた調整や最適化が必要になります。

今後の対応作品拡大に期待

PS Vita向けの『Godot』移植は、今回が初めてというわけではありません。以前からSonicMastr氏によって『Godot 3』系の移植環境が開発されており、今回のWolffsRoom氏も、その成果やStary2001氏、EIREXE氏らの取り組みから影響を受けたことを明らかにしています。

今回のプロジェクトは、そうした取り組みを踏まえながら、新しい世代のゲームエンジンをPS Vitaでも利用できるようにする試みです。

もっとも、公開されたばかりのv0.1には制限もあります。2D描画の一部機能が未実装であるほか、3Dゲームは作品によって性能や動作状況が大きく異なります。また、C#やGDExtensionなどには対応しておらず、Windows上のエディターで正常に動作していても、PS Vita実機で同じように動くとは限りません。

それでも、すでに複数の2Dゲームが動作し、3D作品でも一定の成果が出ていることは、今後の展開を考えるうえで興味深いところです。今後、互換性や描画性能の改善が進めば、これまでPS Vitaへの移植が難しかった『Godot 4』製ゲームが、新たに遊べるようになる可能性もあります。

なお、既存の商用ゲームを移植する場合には、ゲーム本体やデータの利用に必要な権利・ライセンスを守る必要があります。

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