PS Vita向け『PCSX ReArcade v0.2』公開! ナムコ『SYSTEM 10/11』やカプコン『ZN』シリーズに対応

PS Vita向け『PCSX ReArcade v0.2』公開! ナムコ『SYSTEM 10/11』やカプコン『ZN』シリーズに対応

PS Vita向けのアーケードエミュレーター『PCSX ReArcade v0.2』が、2026年10月19日に公開されました。開発を手掛けているのはfrangarcj氏で、今回のアップデートでは対応するアーケード基板が大幅に拡大されています。

『PCSX ReArcade』は、PlayStation向けエミュレーター『PCSX-ReARMed』などをベースにしたHomebrewアプリです。10月12日に公開されたv0.1では、ナムコのアーケード基板『SYSTEM 12』に対応し、『鉄拳3』『鉄拳タッグトーナメント』『ソウルキャリバー』の3作品がPS Vitaでテストされていました。

今回のv0.2では、従来の『SYSTEM 12』に加えて、『SYSTEM 10』『SYSTEM 11』、さらにカプコンの『ZN-1』『ZN-2』への対応処理が追加されています。また、CPUや描画、音声処理などをPS Vitaの複数のCPUコアに振り分ける仕組みも導入されました。

●『PCSX ReArcade』開発元GitHub
https://github.com/frangarcj/pcsx_rearmed/tree/rearcade

●『PCSX ReArcade v0.2』公開情報(PSVita Brewology)
https://store.brewology.com/vita/whatsnew.php

●開発元による基板別の対応状況・テスト資料
https://github.com/frangarcj/pcsx_rearmed/blob/rearcade/docs/mame-psx-systems.md

ナムコ『SYSTEM 10/11』とカプコン『ZN』シリーズを新たにサポート

今回のアップデートで注目したいのが、新たなアーケード基板への対応です。

これまでのv0.1では、主にナムコの『SYSTEM 12』が対象となっていましたが、v0.2では以下の4種類が追加されています。

  • ナムコ『SYSTEM 10』
  • ナムコ『SYSTEM 11』
  • カプコン『ZN-1』
  • カプコン『ZN-2』

これらはいずれも、初代PlayStationと共通する技術を採用したアーケード基板です。ただし、家庭用のPlayStationとまったく同じ構造というわけではなく、基板ごとに独自のハードウェアや周辺機能を備えています。

ちなみに、『SYSTEM 10』では『ミスタードリラー2』や『ことばのパズル もじぴったん』、『SYSTEM 11』では『鉄拳』『鉄拳2』『ソウルエッジ』などがリリースされていました。

また、カプコンの『ZN』シリーズには、『ストリートファイターEX』や『スターグラディエイター』、『ストリートファイターEX2』『私立ジャスティス学園』などが存在します。

つまり、これまでナムコの『SYSTEM 12』を中心としていたエミュレーターが、より幅広いアーケードゲームを扱える方向へと進化したわけです。

ただし、ここで紹介した作品は、あくまでも各アーケード基板で発売されたタイトルです。今回のv0.2で、これらすべてがPS Vita上で正常に動作することを意味するものではありません。

CPU・描画・音声の処理を複数のコアに分散

新たな基板への対応に合わせて、エミュレーター内部の処理にも手が加えられています。

そのひとつが、MIPS CPU向けの動的再コンパイル処理(DRC)の追加です。これは、元のアーケード基板で使用されていたCPUの命令を、PS VitaのCPUで実行できる形へ動作中に変換する仕組みです。

また、基板ごとに異なるサウンドハードウェアへの対応も進められています。

たとえば、『SYSTEM 10』ではPlayStation系のSPU、『SYSTEM 11』ではC76 CPUとC352サウンドチップ、カプコンの『ZN』シリーズではZ80 CPUとQSoundの処理が追加されています。

さらに、NEON版では、エミュレーションに必要な処理をPS Vitaの複数のCPUコアへ分散する構成が採用されました。

具体的には、メインのCPUエミュレーションをコア0、GPUの描画処理をコア1、音声処理をコア2に割り当てる仕組みです。

通常、エミュレーターでは元のハードウェアの動作をソフトウェアで再現するため、多くの処理が必要になります。そこで、それぞれの処理を別々のコアに担当させることで、負荷の分散を図っているわけです。

ただし、こうした仕組みが導入されたからといって、すべてのゲームで動作速度が改善されるとは限りません。実際にどの程度の効果が得られるのかについては、今後の検証が必要です。

このほか、ゲーム選択画面で地域別バージョンをまとめて表示する仕組みや、アーケード基板に合わせたボタン割り当て、ゲームの再起動処理なども整備されています。

新たな基板のゲームはどこまで動くのか?

ここで気になるのが、新たに対応した基板のゲームが、実際にどこまで動くのかという点です。

開発元GitHubの技術資料には、『SYSTEM 10』『SYSTEM 11』、カプコン『ZN』シリーズについて、Mac上で実施された短時間のゲームプレイテストが記載されています。

具体的には、『SYSTEM 10』では『ミスタードリラー2』『ミスタードリラーG』『ガンシャラ』、『SYSTEM 11』では『鉄拳』『鉄拳2』『ソウルエッジ』などの検証結果が記録されています。

また、カプコン『ZN』シリーズについても、『ストリートファイターEX』『スターグラディエイター』『私立ジャスティス学園』を使った短時間のゲームプレイテストが報告されています。

もっとも、これらはMac上の開発・検証環境で行われたテストです。PS Vita実機での動作を確認したものではなく、ゲーム全編を問題なく遊べることや、十分な動作速度が得られることを保証するものでもありません。

少なくとも、新たな基板で実際のゲームを動かすための検証は進められているものの、v0.2でどこまで快適にプレイできるのかについては、まだ未知数の部分が残されています。

ゲームデータの準備やセーブ機能には制約も

今回のv0.2では対応基板が増えていますが、利用するうえで注意したい点もあります。

まず、『SYSTEM 10』『SYSTEM 11』、カプコン『ZN』シリーズについては、現時点でMAME形式のROMセットをZIPファイルのまま読み込む方式には対応していません。

これらの基板では、開発元が用意した専用スクリプトを使って、あらかじめゲームデータを所定のフォルダー形式に準備する必要があります。

一方、『SYSTEM 11』とカプコン『ZN』シリーズでは、EEPROMに記録されるデータの保存機能が追加されています。ただし、『SYSTEM 10』のフラッシュメモリーやNANDに書き込まれるデータについては、保存機能に未完成の部分が残されています。

また、エミュレーターの状態を丸ごと保存するセーブステート機能についても、基板の状態を完全に再現できない場合はメニューに表示しない仕組みになっています。

このほか、ROMのバンク切り替えや、動的再コンパイルで生成したコードを管理する処理などの不具合修正も行われました。

なお、『PCSX ReArcade』を利用するには、Homebrewが動作するPS Vitaが必要です。また、動作要件として『libshacccg.suprx』が指定されています。アプリ本体にゲームデータは含まれていません。

対応基板の拡大で、今後の進化にも期待!

今回のv0.2は、単に新しいゲームを一覧に追加しただけではなく、複数のアーケード基板を動かすための内部処理が大幅に拡張されたアップデートとなっています。

特に、これまでの『SYSTEM 12』に加えて、『SYSTEM 10』『SYSTEM 11』、カプコン『ZN』シリーズまで対象になったことは、今後の対応タイトルを考えるうえでも興味深いところです。

もっとも、現段階では対応基板が増えたことと、その基板で発売されたゲームをPS Vita上で快適に遊べることは別の話です。実際のゲームプレイや描画の再現性、音声、動作速度など、まだまだ検証が必要な部分も残されています。

それでも、かつてゲームセンターで稼働していた様々なアーケードゲームを、PS Vitaという携帯ゲーム機で動かそうという試みは、なかなか面白いものがあります。今後、実機での動作確認が進み、遊べるタイトルが増えていくことにも期待したいですね。

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