Big Huge GamesとTeuberが共同で開発し。2007年5月2日よりXbox Live Arcadeで配信が開始された初のドイツスタイルボードゲームの『カタン』。その後2015年にはXbox Live Arcadeから削除されてしまい、現在新規で入手することは不可能になってしまいました。
当時Xbox 360ユーザーだった筆者は、本作の体験版を遊んでハマリ、その後購入して遊んでいた記憶があります。新規では入手できなくなったものの、購入履歴があるユーザーは現在でもダウンロードすることができるようになっていたため、中古で入手した本体にインストールしてたまに楽しんでいました。
しかし、いかんせんXbox 360を文字通り普段「箱」に入れた状態でしまってあるため、いちいち出してゲームを遊ぶのは面倒! ということで、なんとかSteam Deckにプレイ環境を移すことができないか模索。実際にいろいろとやってみたころ、比較的簡単にできたので今回はその知見を共有したいと思います。
事前に用意しておくもの
- Xbox 360本体(今回はダウンロードで購入したゲームで、すでに本体にダウンロード済みのものが対象)
- USBメモリー(ゲームを本体から移動するためのもの)
- Steam Deck
- EmuDeck(あらかじめSteam Deckにセットアップしておく)
- Xenia Canary(Xbox 360エミュレーター)
- Velocity(ダウンロードしたソフトを抽出するアプリ)
全体的な流れとしては、まずはXbox 360本体でハードディスク上にあるダウンロード済みのゲームを、USBメモリーに移動します。それを『Velocity』と呼ばれるツールを使用して抽出。Steam Deckに移動して、エミュレーターのセットアップを行っていくといった感じです。
Xbox 360本体のデータをUSBメモリーに移動する
Xbox 360では、専用のハードディスクなど以外にも、ゲームを保存しておけるディスクスペースとしてUSBに接続した保存領域を利用することができます。そこでまず、本体にあるダウンロードしたゲームをUSBメモリーに移動しておきましょう。
メニューから「設定」の中にある「システム」にアクセスします。
システム設定の中に「データ保存機器の管理」という項目があるので、そちらを選びましょう。
ここでUSBメモリーをXbox 360本体に取り付けておきます。保存領域として、本体のハードディスクとメモリーユニットに加えて、「USBデータ保存機器」というのが表示されますが、そちらがUSBメモリーを表しています。
移動元のハードディスクを選び、その中にある「ゲーム&アプリ」を選択した状態でデータの移動であるYボタンを押しましょう。
次に移動先を、先ほど本体にさした「USBデータ保存機器」にします。
すべてのゲームを移すほどの余裕はないので、今回はある程度絞ります。チェックを入れ終わったらBボタンを押してひとつ前のがめ煮戻ります。
ここで画面右下にある「移動する」を選ぶと、ファイルの移動が開始されます。
移動が完了したら、ひとまずXbox 360での作業は完了です。この後PCでの作業が終わった後、必要に応じてUSBメモリーのデータを本体に戻しておいてもいいでしょう。
VelocityでUSBメモリーからデータを抽出する
続いて先ほどのUSBメモリーをPCに接続して作業を進めていきます。まず下記から『Velocity』というアプリを入手しておきましょう。
●Velocity
https://github.com/Gualdimar/Velocity/releases
『Velocity』を解凍してアプリを起動します。すると下記のような画面が立ち上がります。そこで「File」>「Open」>「Package」を選択しましょう。
先ほどPCにさしたUSBメモリーの場所を指定します。USBメモリーの中身は、「Content」(隠しフォルダ)とname.txtというふたつだけが見えると思います。
上記から「Content」の中を開いていきます。さらにフォルダが分かれているので、0がたくさん並んだ方を開いていきます。
更にその下に、先ほどUSBメモリーに移動したダウンロードゲームがフォルダごとに並んでいます。ここではなんのゲームかわからないため、とりあえずフォルダの一番最下層にあるファイルを選択して開きましょう。すると、下記のような画面が表示されます。
そこに表示されているリストの上で右クリックしてメニューを表示し、「Extract All」を選びましょう。次に、保存先のフォルダをしていするとゲームの抽出が開始されます。
とりあえずPCでもエミュレーターのXeniaをダウンロードしておくと、ゲームの動作チェックが行えます。ちなみにエミュレーターで読み込むファイルは、.xexのファイルです。この場合は「default.xex」がそれにあたります。
●Xeniaの入手先(PCのチェック用)
https://xenia.jp/
ちなみに、このPCのエミュレーターの時点で、すべてのゲームが起動するわけではないことがわかりました。また、PCのエミュレーターでは動いたソフトでも、その多くがSteam Deckでは起動しませんでした(あるいはものすごく時間が掛かっているのかもしれません)。そのため、少なくともこの時点で動かないゲームは、Steam Deckで動かすことができないと思った方がいいかもしれません。
Steam Deckでエミュレーターをセットアップ
データの抽出が完了したら、とりあえずゲームのデータをSteam DeckのROMフォルダーに移動しておきましょう。その前に『EmuDeck』のセットアップがまだの人は、そちらを済ませておく必要があります。
また、下記より『Xenia Canary』をダウンロードしてSteam DeckのDocumentsフォルダーにコピーしておきます(必ずしもこのフォルダである必要はありませんが、説明の都合上そうしておきます)。
●Xenia Canary
https://www.mediafire.com/file/mylylrj09car9ch/Xenia+-+Deck+Wizard.zip/
『EmuDeck』のセットアップやROMフォルダにゲームにコピーなどが終わったら、Steam Deckをデスクトップモードに切り替えて『EmuDeck』起動しましょう。
『EmuDeck』が起動したら、画面下側の「Tools & Stuff」を選択します。
メニューがいろいろと表示されるので、その中から「Steam ROM Manager」を選択します。小さなウインドウが表示されたら、「Yes」を選び先に進めていきます。
左側のリストから「Microsoft Xbos 360 – Xenia」というのを見つけて、チェックを入れます。
先ほどの「Microsoft Xbos 360 – Xenia」を選択すると、右側のメニューに情報がいろいろと表示されます。その中から「Executable」という項目を見つけましょう。そのすぐ下にある「Browse」をクリックし、先ほどDocumentsにアップロードしておいた「xenia_canary.exe」を選択しておきます。
エミュレーターの場所の指定ができたら、「Save」をしておきましょう。
左側のリストに戻り、一番上にある「Preview」を選択します。
一番下にある「Generate app list」を選びます。
リストの登録が終わったら、「Save apps to Steam」を選びます。これでデスクトップモードでの作業は終わりとなるので、ゲームモードに切り替えます。
ゲームごとの設定を行う
「Steam ROM Manager」で登録したゲームは、アプリの単位になっています。しかし、ひとつ問題があり、ダウンロードゲームの場合すべてのタイトルがdefaultになってしまい、非常にわかりにくくなっています。
そこで、Steam Deckのメニューから「ライブラリ」を選び、「コレクション」の中から「XBOX 360」を開きましょう。
下記の画像はすでに設定済みのものが含まれていますが、初期状態ではすべて腕組みした男性のイラストが表示されており、何が何かわかりません。まずは起動チェックを含めてひとつひとつ設定を行っていきます。
リストの中からゲームをひとつ選択します。右側に歯車のアイコンがあるので、そちらを選択しましょう。
メニューが表示されるので、「プロパティ」を選択します。
左側のメニューから互換性を選び、「特定のSteam Play互換ツールの使用を強制する」にチェックを入れます。ここでGE-Protonなどを選びましょう。
Bボタンを押して画面をひとつ戻り、「プレイ」ボタンを押します。ここでゲームが無事動いたら、名前やアイコンなどを変更して完了です。
エミュレーターを日本語として起動する
ゲーム自体は動くものもあれば動かないものもあると言った感じで、たまたま今回の目的だった『カタン』は快適にプレイすることができるようになっていました。しかし、デフォルトの状態のままでは日本語版ではなく英語版として起動してしまいます。
また、エミュレーター単体で起動した場合も、言語などを選ぶメニューはありません。実はこの『Xenia』というエミュレーターは、設定ファイルを直接変更する必要があるのです。
先ほどアップロードしたフォルダの中にある「xenia-canary.config.toml」というファイルをPCにダウンロードし、テキストエディタで開きましょう。
その406行目に言語を設定するところがあります。デフォルトでは1になっていますが、こちらを日本語の2に変更して保存し、ふたたtびSteam Deckにアップロードして上書きしておきます。