2002年に発売されたPC向けRPG『Arx Fatalis』をVR化する非公式プロジェクト『Arx Libertatis VR』に、新たなバージョンが登場しました。開発者は2026年10月26日、PCVR版の大型アップデートに加え、『Meta Quest 3』および『Meta Quest 3S』だけで動作するスタンドアロン版を公開しました。
従来はVR対応のPCが必要でしたが、今回のQuest版ではゲームの実行にPCとの接続が不要になりました。ただし、まだ実験的なバージョンであり、導入にはゲームデータの用意や手動でのファイル操作が必要です。
●GitHub『Arx Libertatis VR 0.2.1』
https://github.com/cmpayc/ArxLibertatisVR/releases/tag/vr-v0.2.1
剣を振り、空中に魔法の印を描く! 2002年のRPGをVR化
『Arx Fatalis』は、『Dishonored』などで知られるArkane Studiosが開発した一人称視点のファンタジーRPGです。地下世界を舞台にした探索や戦闘に加え、マウスでルーン文字を描いて魔法を発動させる独特のシステムが特徴となっています。
『Arx Libertatis VR』は、オープンソースで開発されている『Arx Libertatis』をベースに、この作品をVRで遊べるようにしたファンメイドのプロジェクトです。単にゲームの映像を立体視できるようにしただけではなく、VRコントローラーを使った操作にも対応しています。

たとえば、肩の後ろから武器を取り出して実際に腕を振るように攻撃したり、盾を構えて敵の攻撃を防いだりすることが可能です。弓は片手で構えてもう一方の手で弦を引き、魔法を使うときは空中にルーン文字を描きます。アイテム欄を手首の近くに表示したり、本やメモを手に持って読んだりできるなど、元のゲームにあった仕組みがVRならではの操作に置き換えられています。
最新版の『0.2.1』では、食べ物や飲み物、ポーションなどを口元に運んで使用する操作も追加されました。このほか、所持金を財布から支払う仕組みや、アイテムを取り出す際の反応も改善されています。
開発者は約14分間のゲームプレイ映像も公開しています。どのような操作ができるのか、実際の動きを確認できる内容です。
『Meta Quest 3/3S』だけで動作! 一方で描画性能には制約も
今回の大きな変更点は、『Meta Quest 3』と『Meta Quest 3S』向けにスタンドアロン版が用意されたことです。従来のようにPCでゲームを動かし、その映像をQuestに送る方式とは異なり、Quest本体でゲームを実行できます。開発者は両機種で動作をテストしたと説明しています。
一方、同時に更新されたPCVR版では、Direct3D 11を利用する新たな描画環境を採用。動的シャドウやアンビエントオクルージョン、反射表現、DLSS/FSRなどに対応し、武器や防具の質感も改善されました。さらに、体の向きの追従や視点位置のリセット、手と武器が接触した際の振動など、VR操作に関する改良も行われています。

ただし、これらの描画機能をQuest版でも同じように快適に使えるわけではありません。Quest版はVulkanを利用した実験的なビルドで、PCVR版とは描画環境が異なります。開発者によると、負荷の高い場面ではフレームレートが低下し、高度な描画効果を有効にした場合には20fps以下になることもあるとのことです。
今回のリリースではPCVR版とQuest版それぞれの初期グラフィック設定が調整されていますが、Quest版で個々の効果をどのように設定するのが最適かについては、公開情報で具体的な数値や組み合わせまでは示されていません。PCVR版の画質向上と、Quest版の単体動作は分けて考える必要がありそうです。

プレイには『Arx Fatalis』のゲームデータが別途必要
『Arx Libertatis VR』の最新版は、GitHubで『0.2.1』として配布されています。Quest版はAPKファイルを『SideQuest』などでサイドロードし、最初の起動で作成されるフォルダーに『Arx Fatalis』のゲームデータをコピーする仕組みです。必要なファイルを配置した後、ファイルへのアクセス権限を許可して再起動します。
なお、VR版にはゲーム本体のデータは含まれていません。開発者によると、『Steam』や『GOG』で購入したPC版、パッケージ版、または対応する無料デモのデータが利用できます。Quest本体だけでプレイできるとはいえ、一般的なストア販売のゲームのようにダウンロードしてすぐ起動できるわけではない点に注意が必要です。
今回のQuest版はあくまで実験段階で、ゲーム全編を安定して遊べるかどうかも現時点では確認できていません。それでも、20年以上前のPC向けRPGを、現代のVRヘッドセットで実際に剣を振ったり魔法を描いたりしながら楽しめるというのは興味深いところです。今後の最適化によって、どこまで快適に遊べるようになるのか期待したいですね。



















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