PS Vita向けの非公式エミュレーター『VitAdhoc』が、2026年10月24日に公開されました。開発を手掛けているのはCBOC-Vita-Labで、ゲームボーイ(GB)、ゲームボーイカラー(GBC)、ゲームボーイアドバンス(GBA)の3機種に対応しています。
本作はPSP向けエミュレーター『GBAdhoc』をベースに、PS Vita専用アプリとして再構築されたものです。単にゲームを動かすだけではなく、2台のVitaを使った通信プレイや、タッチスクリーン、モーションセンサーなど、PS Vitaならではの機能も取り入れられています。
また、10月25日付の更新履歴では、音声処理を改善したバージョン1.1も発表されており、現在はこちらが配布されています。
●『VitAdhoc』GitHubプロジェクト
https://github.com/CBOC-Vita-Lab/vitadhoc
●『VitAdhoc』最新版ダウンロード
https://github.com/CBOC-Vita-Lab/vitadhoc/releases/latest
2台のPS Vitaで『ポケモン』の交換や対戦も可能に?
『VitAdhoc』で特に注目したいのが、ゲームボーイシリーズの通信機能を再現する仕組みです。
GBAのリンクケーブル通信やワイヤレスアダプターに加えて、GB/GBCの通信にも対応すると説明されています。接続方法としては、2台のPS Vitaを同じWi-Fiネットワークにつなぐ方法や、インターネット経由、アドホック通信の3種類が用意されています。
これにより、たとえば『ポケットモンスター』シリーズでポケモンを交換したり、対戦したりといった遊び方が想定されています。GB/GBCについては、『ポケットモンスター 赤・緑』のように異なるバージョン同士の通信にも対応する設計です。
さらに、1台のPS Vita上でふたつのゲーム画面を並べて表示し、ふたりで遊ぶための機能も用意されています。ただし、実際にふたりで操作するには別途コントローラーの設定などが必要になる場合があります。
もっとも、これらの通信機能については注意が必要です。
開発者は、2台のPS Vitaを使用した通信プレイについて、現在も実機での動作報告を求めています。そのため、『ポケットモンスター』の交換や対戦を含め、すべてのゲームで正常に通信できることが確認されたわけではありません。
また、通信できるのは『VitAdhoc』を使用したPS Vita同士で、PSP版『GBAdhoc』との直接通信には対応していません。

PSP互換モードではなく、PS Vitaの性能や機能を活用
『VitAdhoc』のベースになった『GBAdhoc』は、もともとPSP向けに開発されているエミュレーターです。
当サイトでも、PSP同士でGBAのリンクケーブル通信を再現できるようになった『GBAdhoc 3.5.0』や、巻き戻し機能などが追加された『GBAdhoc 4.0.0』をご紹介してきました。
今回の『VitAdhoc』は、そうしたエミュレーション機能や通信機能を引き継ぎながら、PS Vita向けに新たなアプリとして作り直されたものです。
大きな違いのひとつが、PSP互換モードを使用せず、PS Vitaのネイティブアプリとして動作する点です。
PSPの画面解像度が480×272ドットだったのに対して、PS Vitaでは960×544ドットの解像度を利用できます。これに合わせて、文字やメニュー、ゲーム画面などもPS Vita向けに表示されるようになっています。
画面の表示方法も複数用意されており、オリジナルのドットをくっきり表示するモードのほか、xBRZやScale3xを利用した画面補間にも対応しています。
ユニークなのが、通常よりも広い範囲を表示できる横長表示機能です。
たとえば『ポケットモンスター エメラルド』では、本来のゲーム画面では見えなかった左右のエリアまで描画することで、PS Vitaの横長画面を活用できるとされています。
ただし、この機能はすべてのゲームで同じように動作するものではありません。開発元の説明によると、ゲームによっては画面の端にキャラクターや天候の表示が正常に描画されない場合もあるとのことです。
操作面では、タッチスクリーンを使ったメニュー操作のほか、PS Vitaのモーションセンサーにも対応しています。
具体的には、『まわるメイド イン ワリオ』のような本体を回転させるゲームや、『ボクらの太陽』シリーズのように特殊なセンサーを利用するゲームも対象に含まれています。これらはPS Vitaのセンサーやスティックを利用して操作する仕組みですが、実機での操作感については引き続き確認が進められています。
最大60秒の巻き戻しやセーブステートにも対応
通信プレイ以外にも、ひとりでゲームを遊ぶときに便利な機能が多数用意されています。
たとえば、ゲームの進行を最大60秒前まで戻せる巻き戻し機能を搭載。アクションゲームで失敗した場面をやり直したり、取り逃したアイテムを回収したりといった使い方ができます。
このほか、任意の場所でゲームの状態を保存できるセーブステートは5スロットに対応。早送りや連射、スクリーンショットの撮影なども利用できます。
ゲームの管理方法にも工夫が加えられています。
ゲームを選択するホーム画面はライブラリー形式になっており、ジャケット画像やタイトル画面を自動的に取得して表示することができます。最近遊んだゲームやお気に入りの作品を探すこともでき、前回終了した場面からゲームを再開する機能も備えています。
さらに、ゲーム内で設定された目標を達成することで実績を獲得できる『RetroAchievements』にも対応。IPS、BPS、UPS形式のパッチファイルを利用して、ROMハックや翻訳パッチを適用する機能も用意されています。
なお、開発者は実機のPS Vitaで『ポケットモンスター ルビー』を動作させ、画面補間や横長表示を有効にした状態でも約59.9fpsを記録したと報告しています。ただし、この数値は開発者による測定結果であり、第三者による検証や、すべてのゲームで同等の性能が得られることを示すものではありません。
バージョン1.1では音声処理を改善
初期バージョンの公開後には、音声再生に関する問題を修正したバージョン1.1も登場しています。
今回のアップデートでは、GB/GBC/GBAの音声処理を見直し、音声バッファーを交互に使用する方式へ変更。ゲームの処理に時間が掛かった場合でも、音声が途切れたり、クリックノイズが発生したりする問題を軽減するよう改良されています。
また、GBAのステレオ音声で左右の出力が正しく振り分けられるよう修正されたほか、ゲーム開始時や一時停止、再開時などに発生するノイズにも対処しています。
バージョン1.0と同じアプリIDが使用されているため、既存のゲームデータやセーブデータ、設定を維持したまま上書き更新できると説明されています。
ただし、これらの修正は自動テストによる確認も行われているものの、PS Vita実機上ですべてのゲームについて検証が完了したわけではありません。
導入にはHomebrew環境が必要
『VitAdhoc』は、開発元のGitHubで無料公開されています。
利用するには、HENkakuまたはEnsōを導入し、『VitaShell』を使用できるPS Vitaが必要です。配布されている『VitAdhoc.vpk』をインストールし、ゲームのROMファイルを所定のフォルダーに配置することで利用できます。
対応するゲームファイルの拡張子は「.gba」「.gb」「.gbc」です。また、オープンソースのGBA BIOSが内蔵されているため、基本的には別途BIOSファイルを用意する必要はないとされています。
『GBAdhoc』で使用していたセーブデータやセーブステートも引き継げると説明されていますが、すべてのデータ形式について互換性が確認されているわけではありません。大切なセーブデータは、事前にバックアップしておいた方がいいでしょう。
なお、『VitAdhoc』には市販ゲームのROMファイルは含まれていません。ゲームデータは適切な権利を持つものをユーザー自身で用意する必要があります。
また、本作は任天堂やソニーとは関係のない非公式Homebrewです。開発者はAIを利用してコードを作成したことも明らかにしており、動作の安定性や互換性が保証されているわけではない点には注意が必要です。
PSP向け『GBAdhoc』から受け継いだ通信機能に加えて、PS Vitaの高解像度画面やタッチ操作、モーションセンサーまで活用できるようになった『VitAdhoc』。単なる移植にとどまらず、PS Vitaならではの遊び方を取り入れているところが興味深いですね。
現時点では、特に2台のPS Vitaを利用した通信プレイの検証が継続中ですが、今後『ポケットモンスター』シリーズの交換や対戦が実機でどこまで正常に動作するのか、注目したいところです。


















プラレール 銀河鉄道999
Divoom Ditoo Pro











