電子ペーパーでゲームボーイが約30fpsで動作!小型エミュレーター『InkBoy』のソースコードが公開

電子ペーパーでゲームボーイが約30fpsで動作!小型エミュレーター『InkBoy』のソースコードが公開

2026年10月中旬、開発者のkuslota氏が、電子ペーパーディスプレイを使用してゲームボーイのソフトを約30fpsで動作させるプロジェクト『InkBoy』のソースコードをGitHubで公開しました。

電子ペーパーといえば、電子書籍リーダーなどに採用されている表示技術ですが、一般的な液晶ディスプレイと比べて画面の書き換え速度が遅く、動きの激しいゲームには向いていません。しかし、今回公開された『InkBoy』では、独自のディスプレイ制御によってこの問題を克服。小型の電子ペーパー上で、ゲームボーイのアクションゲームをプレイできるようにしています。

●InkBoy公式GitHubリポジトリ(ソースコード公開ページ)
https://github.com/kuslota/InkBoy

画面更新が約2fpsから約30fpsに向上!

『InkBoy』に使用されているのは、Waveshare製の開発ボード「ESP32-S3-ePaper-1.54 V2」です。ESP32-S3を搭載しており、画面には1.54インチ、解像度200×200ピクセルの電子ペーパーディスプレイが採用されています。

もともと、このディスプレイを標準的な方法で動かした場合、画面の更新速度は毎秒2~3回程度でした。これでは、動きのあるゲームをまともにプレイすることは困難です。

そこで開発者が取り組んだのが、電子ペーパーの表示方法そのものを変更することでした。

通常の電子ペーパーは、内部の粒子を移動させて白や黒を表示しています。その際、複数の電圧パルスを一定の順序で与える必要があり、これが画面の書き換えに時間がかかる原因のひとつとなっています。

『InkBoy』では、この制御に使用する波形を短縮するとともに、画面全体ではなく、変化が必要なピクセルだけに電圧を与える仕組みを採用しました。

これにより、約33ミリ秒ごとに新しい画面を送り込めるようになり、約30fpsという更新速度を実現しています。

ちなみに、ゲームボーイのエミュレーション自体は約59.7fpsで動作しており、電子ペーパーへの表示を約30fpsで行う仕組みです。そのため、すべてのゲームが常に30fpsで表示されるわけではありませんが、開発者が公開した映像では、実際にゲームが動いている様子を確認できます。

ゲームボーイらしい4階調のグレースケールにも対応

もうひとつユニークなのが、ゲームボーイ特有の4階調表示を再現していることです。

『InkBoy』には、高速な白黒表示を優先したディザリングモードと、黒、濃いグレー、薄いグレー、白の4階調を表示するグレースケールモードが用意されています。

特に後者では、ピクセルの色が完全に白や黒へ変化する前に電圧の印加を止めることで、中間のグレーを表現しています。

これにより、電子ペーパーでありながら、オリジナルのゲームボーイに近い階調表現が可能になっています。

なお、ゲームボーイの画面解像度は160×144ピクセルですが、『InkBoy』では各ピクセルを電子ペーパーの1ピクセルに対応させて表示しています。

このプロジェクトは、Wenting Zhang氏が2026年6月から取り組んできた電子ペーパー向けゲームボーイエミュレーター『PaperBoy』に影響を受けたものです。ただし、『InkBoy』では別の小型開発ボードを使用し、そのディスプレイコントローラーに合わせた独自の実装が行われています。

専用コントローラーを接続してゲームをプレイ

操作には、ESP32-C3を使用した専用のゲームパッドを利用します。こちらも自作する仕組みとなっており、十字キーやA・Bボタン、スタート、セレクトなどが用意されています。

ディスプレイ側とはUSB-Cケーブル、またはBluetooth LEで接続できます。ただし、現時点で対応しているのはこの専用コントローラーのみで、一般的なBluetoothゲームパッドやUSBゲームパッドには対応していません。

ゲームのROMデータはmicroSDカードから読み込む方式で、メニューからゲームを選択できるほか、スピーカーによる音声出力やプレイ状態の保存・再開にも対応しています。

対応しているのは初代ゲームボーイ用ソフトで、ゲームボーイカラー専用タイトルには対応していません。また、ROMサイズは最大2MiBまでとなっており、一部の特殊なカートリッジにも制限があります。

ソースコードはGitHubで公開中

『InkBoy』のソースコードは、現在GitHubで公開されています。ディスプレイを制御するプログラムだけではなく、専用コントローラーのソフトウェアや筐体データも公開されているため、必要なパーツと開発環境を用意すれば、自分で製作することも可能です。

ただし、現時点では実験的なプロジェクトという位置付けです。画面の残像が発生する場合があるほか、高速な画面更新を繰り返すことで、電子ペーパーディスプレイに画像が焼き付いたり、損傷したりする可能性があると開発者は注意を呼びかけています。

また、2026年10月15日の確認時点では、GitHubのReleasesページにビルド済みファームウェアは掲載されておらず、基本的にはソースコードからビルドする必要があります。

まだ一般向けの完成品というわけではありませんが、電子書籍など静止画の表示が中心だった電子ペーパーで、ゲームボーイのアクションゲームをここまで動かせるというのは、なかなか興味深い試みです。今後、こうした技術がほかの小型ゲーム機などに応用されていくのかも気になるところです。

via.TechEBlog

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