ドリームキャスト向けのNeo Geo CDエミュレーター「NGCD-DC」の新バージョンとなるv1.0.0が、2026年10月14日に公開されました。
今回注目したいのは、複数のNeo Geo CDゲームを1枚のディスクにまとめ、起動時のメニューから遊びたいタイトルを選べる仕組みです。さらに、音声の遅延を大幅に減らす改善や、CPUクロックの変更機能なども変更履歴に記載されています。
当サイトでは10月11日にv0.1.0の公開を紹介しましたが、今回はゲームの動作だけではなく、使い勝手やパフォーマンスの向上にも注目したいアップデートとなっています。
●NGCD-DC v1.0.0(GitHub Releases)
https://github.com/andruxaster/NeoGeoCD-dreamcast/releases/tag/v1.0.0
●NGCD-DC 変更履歴(GitHub)
https://github.com/andruxaster/NeoGeoCD-dreamcast/blob/main/CHANGELOG.md
複数のNeo Geo CDゲームを1枚のディスクにまとめて選択可能に!
「NGCD-DC」は、開発者のandruxaster氏が手掛けるドリームキャスト向けの実験的なNeo Geo CDエミュレーターです。
前回紹介したv0.1.0では、あらかじめ用意したゲームデータを読み込んで起動する仕組みで、複数のタイトルを選択するメニューは用意されていませんでした。
しかし、v1.0.0の公開にあわせて確認できる最新のREADMEや変更履歴では、複数のゲームを1枚のディスクに収録する「Anthology」と呼ばれる仕組みが紹介されています。
具体的には、それぞれのゲームデータを個別のフォルダーに配置し、ディスク内に用意した「MENU.TXT」というテキストファイルを読み込むことで、ゲームの選択メニューを表示する仕組みです。
メニューにはNeo Geo CDのBIOSフォントが利用されており、登録されたタイトルの中から遊びたいゲームを選択すると、対応するフォルダー内のデータを読み込んでエミュレーターが起動します。
たとえば、『サムライスピリッツ』シリーズの複数作品を1枚のディスクにまとめ、起動時に遊びたいタイトルを選ぶといった使い方が想定されています。
ただし、ゲームをプレイしている途中で自由に別のタイトルへ切り替えられるわけではありません。変更履歴によると、コントローラーのL+R+Startでメニューへ戻る機能は実機でクラッシュする問題があったため削除されており、現在は本体をリセットしてメニューへ戻る仕様となっています。
音声遅延が約150ミリ秒から30~40ミリ秒に短縮!
今回の変更履歴では、音声処理に関する改善も確認できます。
従来はメニュー操作やキャラクター選択時の効果音が約150ミリ秒遅れて再生されることがありました。また、選択操作のあとにディスクの読み込みが発生すると、効果音が繰り返し再生されてしまう問題もあったようです。
これに対して、音声ストリームを約5ミリ秒ごとに補充する専用スレッドを導入するなど、処理方法を見直しています。
開発元によると、これらの変更によって音声の遅延は約30~40ミリ秒まで短縮されたとのことです。単純な数値では従来の4分の1程度となっており、操作と効果音のタイミングがより自然になることが期待できます。
さらに、Neo Geo CDで使われている68000 CPUのクロックを変更する設定も用意されています。
標準設定は実機相当の12MHzですが、ゲームごとの設定ファイル「NGCD.CFG」で15MHzや18MHzなどに変更することが可能です。
開発元は『メタルスラッグ』を例に挙げ、18MHzに設定することでゲーム自体の処理落ちを大幅に軽減できると説明しています。ただし、クロックを上げるほどドリームキャスト側の処理負荷も増加するため、設定次第ではフレームの描画が追いつかなくなる場合があります。
描画処理も改善! ただし実験的なエミュレーターである点は変わらず
映像面では、ドリームキャストのPVRを利用した描画処理にも改良が加えられています。
変更履歴によると、文字や固定表示部分などを描画する「FIXレイヤー」の処理が最適化され、変更された領域だけを書き換える方式に改良されています。
また、『ビッグトーナメントゴルフ』で発生していた背景の一瞬のちらつきについても、修正が記載されています。
なお、以前のバージョンで利用できたソフトウェアレンダラーはドリームキャスト版から削除され、PVRを利用する描画方式に一本化されています。これによって映像用メモリやメインメモリの使用量も削減されています。
一方で、「NGCD-DC」は依然として実験的なプロジェクトです。READMEには『サムライスピリッツ』シリーズや『メタルスラッグ』などの動作状況が掲載されていますが、すべてのNeo Geo CDタイトルが完全に動作することを保証するものではありません。
また、利用には開発環境を使ったビルドやゲームデータの変換などが必要です。Neo Geo CDのBIOSやゲームデータはプロジェクトに同梱されていないため、利用者自身が適法に用意する必要があります。
前回は、ドリームキャスト上でNeo Geo CDのゲームを動作させるという技術的な挑戦が中心でした。しかし、今回確認できるゲーム選択メニューや音声・描画処理の改善を見ると、実際にゲームを遊ぶための環境としても少しずつ進化していることがわかります。
複数のタイトルを1枚のディスクにまとめられる仕組みは、特に実機で楽しみたいユーザーにとって興味深い機能といえるでしょう。今後、対応タイトルや完成度がどこまで向上していくのか、引き続き注目したいところです。















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