Android向けにGoogle Playで配信されている『RetroArch』が、約5年ぶりとなる大型アップデートを実施しました。Google Playでは、通常版の更新日が2026年8月16日となっています。
●Google Play版『RetroArch』
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.retroarch&utm_source=chatgpt.com
長期間にわたって更新が止まっていた理由は、GoogleがAndroidアプリに求めるストレージアクセスの仕様変更にありました。今回、ようやくGoogle Playのポリシーに対応したことで更新が再開。開発側によると、その内容は「5年分のアップデート」と呼べるほど膨大なものになっています。
なぜGoogle Play版は約5年間更新されなかったのか?
『RetroArch』は、Libretroと呼ばれる仕組みを利用して、さまざまなゲーム機のエミュレーターなどを「コア」として読み込んで利用できるフロントエンドです。WindowsやLinux、macOSだけではなく、Androidをはじめ多数のプラットフォーム向けに提供されています。
しかしAndroid版の中でも、Google Playで配布されているバージョンについては、長い間アップデートすることができない状況が続いていました。その大きな原因となったのが、Androidに導入された「Scoped Storage」と、それにともなう「Storage Access Framework(SAF)」への対応です。
従来のAndroidアプリでは、ストレージ内のファイルへ比較的自由にアクセスすることができました。
しかしプライバシーやセキュリティを強化するため、Googleはアプリから共有ストレージ全体へ自由にアクセスする方法を制限。ユーザーが許可したファイルやフォルダーを通じてアクセスする仕組みへの移行を進めました。
RetroArchはもともと、ファイルシステムへ広くアクセスできることを前提として設計されていたため、この変更の影響を大きく受けることになります。
2021年にはすでに問題が表面化
RetroArchのGitHubでは、2021年3月の時点ですでにStorage Access Frameworkへ対応するための課題が登録されていました。当時の説明では、Android 11でSDカードをRetroArchのファイルブラウザーから参照できなくなる問題などが指摘されています。
さらにGoogleは、2021年11月1日以降、Scoped Storageの要件を満たさないアプリについてGoogle Playでアップデートできなくする方針を採用しました。これによってGoogle Play版RetroArchだけではなく、そこで使用するコアについても更新することができなくなります。
開発側は当時、この制限に対応するとRetroArchからファイルシステムを扱う方法が大きく制約されるとして、Google Play版の更新を停止。代わりにRetroArch公式サイトからAPKをダウンロードして、サイドロードする方法を推奨していました。
古いアプリがGoogle Playから消される可能性も
ところがここ数ヵ月で、状況が再び変わってきたようです。RetroArch開発チームのhizzlekizzle氏によると、Googleが古いアプリをGoogle Playから削除する方針を進めており、RetroArchについても新しいAndroid端末ではすでに表示されないケースが出ていました。
このままではGoogle Play版そのものが利用できなくなる可能性があったため、プロジェクトのコントリビューターのひとりがGoogle Playの現在のポリシーに対応する作業を実施。その結果、約5年間止まっていたGoogle Play版のアップデートが、ようやく再開されることになりました。
開発側は、制限付きであっても最新のRetroArchをGoogle Playで提供できる方が、アプリ自体が存在しなくなるより望ましいと説明しています。
今回の更新は「5年分」
では今回のアップデートで具体的に何が変わったのでしょうか?この質問に対する開発側の回答は非常にシンプルで、「多すぎてリストアップできない。5年分のアップデート」としています。
Google Play版では約5年間にわたって本体とコアを更新できなかったため、その期間中に通常版RetroArchへ加えられた多数の変更が一気に反映された形です。
そのため、長年Google Play版を使い続けてきたユーザーにとっては、通常のバージョンアップとは比較にならないほど大きな変化になります。
更新後に「データが消えた」ように見える場合も
ただし、長年Google Play版を利用してきたユーザーは注意が必要です。今回のバージョンではGoogleのStorage Access Frameworkへ対応する必要があるため、RetroArchがアクセスできるフォルダーやデータの保存場所が以前とは異なっています。
その結果、アップデート後に設定や各種データが「消えた」ように見えるケースがあります。開発側によると、実際にデータが削除されたわけではなく、新しいRetroArchが従来とは異なる場所を参照していたり、以前の保存場所へアクセスできなくなっていたりすることが原因とのこと。
公式サイトから配布されているサイドロード版APKや、F-DroidなどGoogle以外から提供されているバージョンでは、従来のGoogle Play版に近い形でファイルへアクセスできると説明されています。
古いセーブステートが使えなくなる可能性にも注意
もうひとつ注意したいのが「セーブステート」です。これは通常のゲーム内セーブデータとは異なり、エミュレーター内部の状態を丸ごと保存する機能です。セーブステートは使用するコアやバージョンへの依存度が高く、同じゲーム機用のコアであっても、コアのバージョンが変わっただけで互換性がなくなることがあります。
今回のGoogle Play版では一気に約5年分の更新が行われているため、5年前のコアで作成したセーブステートについては、現在のコアでは読み込めない可能性が高いと開発側は説明しています。長期間Google Play版RetroArchを利用している場合は、アップデート前のデータをバックアップしておいた方がよさそうです。
Google Play版は公式APK版より機能に制限あり
なお、今回アップデートされたからといって、Google Play版とRetroArch公式サイトから配布されているAPK版が完全に同じになったわけではありません。Google Playではアプリ内から提供できるコアの数などに制限があります。
現在のGoogle Playの説明では、通常版RetroArchは最大50種類のコアに対応。Android 8.0以降を対象とした「RetroArch Plus」では最大127種類となっています。一方、RetroArch公式サイトで配布されているAPK版にはCore Downloaderが用意されており、開発側はこちらを「フルバージョン」と位置付けています。
そのため、Google Playから簡単にインストールして利用したい場合はPlayストア版、RetroArchの機能をより自由に利用したい場合は公式サイト配布版という選択肢は、今回のアップデート後も変わりません。
約5年間止まっていたGoogle Play版RetroArchがようやく現行環境へ追いついた今回のアップデート。
AndroidでRetroArchを利用しているユーザーにとっては歓迎したい動きですが、古いGoogle Play版から更新する場合は、ストレージの保存場所やセーブステートの互換性などを確認してからアップデートした方がよさそうです。
via.Reddit















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