最近は、一般の人が自分の所有しているアイテムを売ることができるプラットフォームが充実してきたこともあり、それを利用したいわゆる「転売ヤー」の問題が増えてきました。しかし、ファミコンのゲームが全盛だったときは、転売問題はなかったものの別の問題が当時のユーザーたちを悩ませていたのです。それが、ゲームソフトの抱き合わせです。
この抱き合わせとは、簡単にいうとメインの商品と合わせて在庫が余っている商品をセットにして売りつける商法です。日本でも独占禁止法に引っかかってしまうため最近はそうした商法が行われることは少なくなってきました。……ま、たまに、アマゾンなどで見かけることはありますが。
さて、そんな「抱き合わせ」で一緒にかったゲームですが、どんなソフトがあったのでしょうか? 今回はツイッターで行った簡単なアンケート共に、当時の思い出を振り返っていきます。
徹夜で並んだのに手ぶらじゃ帰れない!
当時のことを知らない人にとっては、どんな感じで販売がされていたのがあまりわからないという人も多いことでしょう。筆者の体験談として、その一例をご紹介したいと思います。
皆さんよく見かける『ドラクエ3』に行列を作っている写真がありますが、あれはヨドバシなどの大手店舗に並んでいるシーンです。しかし、そうしたところとは別にアキバの小さなショップなどでも販売が行われており、大手ショップよりも遥かに少ない人数しか並ばないため入手も楽でした。
……が、大手ショップとの大きな違いは、抱き合わせ販売があったところです。
夜中に並び始める前には、そうした販売形式の情報は事前に一切聞かされません。場合によっては販売されるのかどうかも分からなかったときがありましたが、それでも列を作っている人の後ろに並んで購入していました。
そうして夜が明けて時間帯は覚えていないものの、お店の店員が出てきて販売形態が明らかにされます。こちらも例としてあげると、「最初に並んだ100人まではそのままソフトだけを販売するけど、それ以降はセット販売のみになります」といった感じでアナウンスされます。
わざわざ徹夜で並んで手ぶらで帰るわけにもいかず、ある程度そうした自体も織り込み済みだった人も多かったせいか、ほとんどの人は抱き合わせでソフトを購入して帰っていました。
抱き合わせのゲームはいくつかの候補の中から選べるパターンも
こうした行われていた抱き合わせ販売ですが、必ずしも決まったゲームだけを一緒に買わせていたわけではありません。時期的に『ドラクエ3』のときではなく、スーパーファミコンのゲームを買おうとしたときだったかと思いますが、選択できるゲームの中にPCエンジンの『デジタルチャンプ』があった記憶があります。
そのときに、他にどんなゲームがあったのかとか、何を買ったのかまでは記憶にありませんが、そのほとんどは在庫が余ってるんだろうな~と思わせるようなものばかりでした。
また、人気ゲームだけではなく、ハードを購入するときに抱き合わせで買わされたというケースもあります。高校の同級生がファミコンの本体を買おうとしたときが、ちょうど少し前のPlayStation 5なみに品薄だった時期で、どこに行っても手に入らない状態が続いていました。そのときに、本体と一緒に抱き合わせで買わされたのが、『ファミリーコンピュータ ロボット』だったと語っていました。
『ドラクエ3』の抱き合わせでジャケ買いした『ジャウスト』
というわけで、抱き合わせ販売全盛期だった『ドラクエ3』の発売時に徹夜で並んだときに筆者が一緒に買ったのが、HAL研究所から発売されていた『ジャウスト』というゲームでした。選んだ理由はジャケットがカッコよくて、そのときは面白そうに見えたからです。
『ドラクエ3』の勇者としてこれから冒険の旅へと出かけていかなくてはならない身でしたが、それでも、この何かを連想させる崇高なイラスト。そしてよくわからないけど、「亜空間サバイバルゲーム」という謎のキーワードにも興味を惹かれました。
が、それと同時に薄々、こうしたカッコイイジャケットのゲームはヤバイというのもなんとな~く感じるものがあったのです。
その当時、高田馬場にある専門学校に通っていましたが、『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』に登場することでおもおなじみの「さかえ通り商店街」に、『マリオ』(うろ覚え)という名前のファミコンショップがありました。そこでよくゲームを物色していたのですが、たしかこのゲームも見かけたことがあり、ジャケットと中身のギャップがすごいなと思っていました。
そのことをすっかり忘れて、買ってしまったというわけですね。
ということで、徹夜の後『ドラクエ3』を遊ぶ前に前に、この『ジャウスト』をプレイしてみることに。なんといっても、驚いたのはその最初に出てくる画面。な~んか、初期のファミコンソフトのようなものすごーくシンプルな感じに、ちょっと嫌な予感が走ります。
1画面固定だった亜空間
ゲームモードとしては、ひとり用とふたり用それぞれにAとBの2種類の全部で4種類が用意されていました。とりあえずよく分からなかったので、一番上のひとり用のゲームAでスタート。
すると、なにやら鳥に乗ったキャラクターが出現し、どうやらそれで戦うというものでした。が、まったく意味がわからずに即ゲーム終了に。しかも、どう見ても1画面固定というスタイル。
おーい、亜空間はどこいった!?
と、思わず心の中で叫んだとか叫ばなかったとか(まったく覚えてませんが)。
この『ジャウスト』というゲーム、元は1982年にリリースされたアーケードゲームを移植したもので、ひとりで遊ぶだけではなくふたり用モードでは協力プレイも楽しめるということで話題になった作品でした。そこから着想を得て作られたのは『マリオブラザーズ』だという話を聞くと、ちょっと納得がいきますね。
ルールは比較的単純で、敵より高い位置で相手にぶつかった方が勝ちというもの。倒した敵は卵に変わり、それを取ることでポイントを稼ぐことができます。すべての敵を倒すと次のウェーブに進み、ステージが変化するなど難易度も上昇していくといった感じのゲームシステムが採用されていました。
この当時、慣性の法則を活用したアーケードゲームがいくつかありましたが、本作もそちらが活用されており、キャラクターの操作に若干慣れが必要というところも、ヒットに繋がった要素といえそうです。
現代の視点で見ると古典的なゲームの名作として見るべきポイントも多かったのですが、いかんせん当時はそんな感覚もなく、速攻で手放してしまった記憶があります。ちなみに、現在この『ジャウスト』を箱入りの中古で購入使用とすると、場所によっては10万円という高額で取引されています。当時は見向きもされなかった作品が、時代を経て貴重なアイテムとなるのはちょっと感慨深いものがありますね。
みんなが買わされた抱き合わせゲームは?
筆者の思い出話をつらつらと書き連ねてきましたが、最後に皆さんからアンケートを取った抱き合わせゲームをご紹介していきたいと思います。
ファミコンやスーパーファミコンの抱き合わせ体験談
ちょっと変わったパターンも?
上記はいわゆる“普通”の抱き合わせに関する体験談でしたが、それとは別の体験もあったようです。
●徳さん阪神垢‼コーティングスミス野田阪神駅前店オーナーさん
「抱き合わせ」というひとつのキーワードであるにもかかわらず、その体験や受け止め方は人それぞれ千差万別あって面白いですね! アンケートにご協力していただいた皆様、ありがとうございました。