ゲームキューブ用ソフト『スーパーマリオサンシャイン』を、iPhoneやiPad、Apple Silicon搭載Macで動作させる非公式プロジェクト「SunPad」が登場しました。
開発者のchrissotraidis氏は2026年8月10日、最初の一般公開版となる「SunPad 0.1.0 Preview 1」をGitHubで公開。現在は、iPhone/iPad向けの未署名IPAファイルをダウンロードできます。
本プロジェクトで興味深いのは、一般的なゲームキューブエミュレーターとして『スーパーマリオサンシャイン』を動かしているのではないという点です。
●SunPad公式GitHub
https://github.com/chrissotraidis/sunpad
●SunPad 0.1.0 Preview 1
https://github.com/chrissotraidis/sunpad/releases/tag/v0.1.0-preview.1
●既知の問題
https://github.com/chrissotraidis/sunpad/blob/main/docs/KNOWN_ISSUES.md
ゲームのコードをApple ARM64向けに事前変換
『スーパーマリオサンシャイン』のオリジナル版は、ゲームキューブに搭載されているPowerPC系CPU向けに作られています。
「SunPad」では、静的リコンパイルツール「DolRecomp」を利用して、このPowerPC用コードをiPhoneやiPadで使われているApple ARM64向けのコードへ事前に変換。変換されたゲーム専用モジュールを、ModernGekkoおよびDolphin由来の互換ランタイムと組み合わせて動作させています。
実行時にPowerPC用コードを変換するJITは使用しておらず、変換されていない一部の処理についてはインタープリターへフォールバックする仕組みです。映像の描画には、Dolphin由来のMetalバックエンドが使われています。
つまり、さまざまなゲームキューブ用ソフトを読み込める汎用エミュレーターではなく、『スーパーマリオサンシャイン』専用のネイティブアプリに近い構成となっています。

タッチ操作や最大4倍レンダリングに対応
iPhone/iPad版には、移動用スティック、Cスティック、十字キー、A・B・X・Y・Zボタン、L・Rトリガー、スタートボタンを備えた横画面用のタッチコントローラーが用意されています。
iOSのGameControllerにも対応しており、対応する物理コントローラーを接続して遊ぶことも可能です。
映像設定では、1~4倍のレンダリング解像度を選択できるほか、オリジナルの4:3表示に加えて、実験的な16:9表示と画面全体へ拡大するモードも搭載されています。ただし、ワイド表示では描画の欠けや引き延ばしなどが発生する可能性があり、現時点では4:3が安定設定とされています。
開発者によると、12.9インチiPad Proの第6世代では、ゲームイメージの読み込み、端末上での展開、Metalによる描画、タッチ操作、セーブデータの保持などを実機で確認済みです。
一方、iPhone 14ではレンダリング解像度を1倍に設定しても処理速度が十分ではなく、iPhoneで試す場合はiPhone 15 Pro以降が推奨されています。

遊ぶためには米国版Rev.0のディスクイメージが必要
今回公開されたIPAファイルには、ARM64向けに事前変換された実行モジュールが含まれていますが、『スーパーマリオサンシャイン』本体やゲーム内の画像・音声、セーブデータなどは収録されていません。
利用者は、正規に入手した米国版Rev.0のゲームキューブ用ディスクイメージ「GMSE01」を自分で用意する必要があります。アプリのインストール後、iOSの「ファイル」アプリを通じてディスクイメージを読み込むと、端末内で必要なデータが展開されます。
また、「SunPad」はApp StoreやTestFlightで配信されているアプリではありません。IPAファイルを自分のApple IDで再署名し、iPhoneまたはiPadへインストールする必要があります。現段階では、パソコンを使わずに簡単に導入できるものではなく、一般ユーザー向けというよりも開発者や検証者向けのプレビュー版です。
現時点では完成版ではない
「SunPad」は、すでにタイトル画面やオープニング、ドルピックタウンでのゲームプレイまで動作していますが、ゲーム全体を最後まで問題なく遊べることが確認されたわけではありません。
既知の問題として、iPad実機での音声修正後の再検証、バックグラウンド移行時のセーブ処理、物理コントローラーとHDMI出力を組み合わせた動作確認、古いiOSでの互換性検証などが残されています。
また、iPad実機ではCPU使用率が高くなることも確認されており、性能や消費電力の最適化も今後の課題です。
現時点では、手軽に『スーパーマリオサンシャイン』を遊ぶためのアプリというよりも、「ゲームキューブ用ソフトを静的リコンパイルしてiPhone上で動かせる」ことを示した技術デモに近い存在といえます。
NINTENDO64を中心に広がってきた静的リコンパイルの流れが、ゲームキューブ世代にも本格的に及び始めた点は注目したいところです。ただし、「SunPad」が対応するのは現在のところ『スーパーマリオサンシャイン』米国版Rev.0のみで、ほかのゲームキューブ作品への対応は発表されていません。
今後、動作速度や互換性、導入方法がどこまで改善されるのか、引き続き注目を集めそうです。
via.SunPad公式GitHub















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