ニンテンドー3DSを偽トロ化! エミュレーターやストリームなどPCに映像取り込む手段も合わせて解説【2024年最新】

ニンテンドー3DSを偽トロ化! エミュレーターやストリームなどPCに映像取り込む手段も合わせて解説

ふとした思いつきで実施したくなったのが、ニンテンドー3DSやDSの映像をPCに取り込むことでした。これは一体何かというと、普段からゲームをプレイするときは用途に関わらず基本的に映像を録画しながらプレイすることが多いのですが、3DSやDSではそれがやや困難だと感じたからです。

こちらの記事では、メインは3DS本体を改造してPCに映像を取り込めるようにする、いわゆる「偽トロ」(正確にはちょっと違う)の情報をメインにしていますが、実は候補として「偽トロ」を含めて全部で4つの手段をピックアップしています。

いずれも一長一短といったところで、完璧なものは存在しないものの、合わせてそちらの情報も簡易的ですがご紹介していきます。

おしながき
  1. 3DSを偽トロ化
  2. 海外生まれのキャプチャーモッド
  3. エミュレーターの場合
  4. 3DSでストリーミング
  5. まとめ
3DSを偽トロ化

「偽トロ」とは正確には「偽トロキャプチャー」のことをさしており、元々は株式会社ケイティというところが行っていたゲーム機の改造サービスです。こちらはニンテンドーDSや3DSを改造してPCで取り込めるようにするというものでしたが……残念ながら同社は2019年1月に破産してしまい、今ではそのサービスは行われていません。

これは余談ですが、同社が入っていたビルは、『シュタインズ・ゲート』に登場するブラウン管工房のモデルとも言われている場所と同じだったそうで。そこで、タイムマシンを使って時間を遡り、改造を依頼して……なんていうことはできないため、こちらについては諦めることに。

シュタインズ・ゲート
▲残念ながら、もうその場所に株式会社ケイティはありません。

というわけで、タイムトラベルもタイムリープもできないマッドサイエンティストとしては、次なる手段をGoogleで探していると、検索に引っかかったのが、オプティマイズというホームページでした。しかし、サイトの作りがなんとな~く90年代風になっており、一瞬間違ってタイムリープしてしまったのかと勘違い(ウソ)。そうしたこともあって、はたして今でもサービスが継続して行われているのか少々不安になってしまいました。

●オプティマイズ(電子工作・ゲームハード解析)のサイト
https://optimize.ath.cx/

オプティマイズのホームページ

そこでサイトをくまなくチェックしてみたところ、少なくとも昨年末までは更新されていることがわかり、とりあえずこちらで改造をお願いしてみることにしました。

このオプティマイズで受け付けているのは、ニンテンドー3DSとニンテンドー3DS LLで、Newニンテンドー3DS、Newニンテンドー3DS LL、Newニンテンドー2DS LLへの対応は終了済み。ニンテンドー2DSについてはわからないので、問い合わせてみるのがいいでしょう。そこで今回は、ニンテンドー3DS LLの中古を購入して、改造を依頼しています。

この3DS LLの改造ですが、「USB一体タイプ」と「USB個別タイプ」のいずれかを選択することになります。違いとしては、「USB一体タイプ」は赤外線モジュールを取り外してUSBポートを増設するというやり方で、当然のことながら赤外線通信を利用したものは使えなくなります。

「USB個別タイプ」は本体を加工してLEDの真下あたりに取り付けるというもの。赤外線通信については、ほぼ使うことは無いだろうと判断して、今回は「USB一体タイプ」のほうを選んでいます。

●取り付けサービスのページ(パーツ代込み)
https://optimize.ath.cx/shopv2_2/chuumon.html

3DS取り付けサービス

注文から3日後に改造された本体を受け取る

ということで、さっそくサイトから注文をして、Paypay銀行から振込を指定。なぜかPaypay銀行は同じ銀行同士でも、登録されていない口座の振込は翌日以降しか指定できなかったので、翌日に設定。その間に、改造するニンテンドー3DS LLの本体を、クロネコヤマトの宅急便コンパクトで翌日配送で送ることにしました。

当初1週間ほど掛かると思っていたのですが、翌日入金が確認されたのと荷物が届いたことから作業してもらい、なんとその日のうちに完了。すぐに元払いで送り返してもらえたため、サービスの注文から3日後には改造された本体を手に入れることができました。

ちなみに改造にかかったお金は、サービスの料金が2万4100円に加えて、振込代、それに本体を送るときの送料程度で、だいたい2万5000円ぐらいを見込んでおけばいいでしょう。もちろん、新たに3DSを入手する場合は、そちらも別途お金が掛かります。

偽トロ化された3DS
▲赤外線モジュールが付いてた場所に、PCと接続するためのMicro Bコネクターが増設されています。

この改造(いわゆる偽トロ化)された3DS LLは、Micro BのコネクターでPCに接続することができます。しかし、若干いまでは不便に感じるコネクターであることと、コネクター自体をあまり痛めたくないということから、以前MiSTer FPGA用に購入してお気に入りにとなった磁力式のUSBケーブルを用意して使用することにしました。

接続は磁力のUSBに
▲USBケーブルは磁力で着脱できるものに変更。

磁力式であるため、途中でケーブルが抜けてしまう可能性もなきにしもあらずですが、まぁ、それでもコネクター自体が壊れてしまうよりは全然マシです。

●3in1マグネット磁気充電ケーブル(1299円)

マグネットのUSBケーブル
▲今回購入した『3in1マグネット磁気充電ケーブル』。ケーブル自体も柔らかくておすすめ。

PCへの取り込みは専用ブラウザを使用

実際に改造された3DS LLの映像をPCに取り込むときは、NON-STANDARDという会社が作った専用のブラウザーとデバイスドライバーをダウンロードして、接続する必要があります。このビューワーを使用するにはプロダクトキーが必要ですが、そちらは改造された3DSに紙で封入されているので、なくさないようにしておきましょう。

●ビューワーの入手先
https://blog-non-standard.blogspot.com/

実際にPCに接続してみたところ、いとも簡単に映像を取り込むことができることがわかりました。しかし、ここで気が付いたのは、音自体は取り込まれないということです。つまり、こちらは本体のヘッドホンジャックから取得して、PC側でミックスする必要があるということになります。

追記:音も取り込めました

音も取り込めるというご指摘があったので、チェックしてみたところ、デフォルトでオフになっている「音声設定」の「デジタルサウンド出力βを使用する」にチェックを入れることで音が出ることが確認できました。

ただし、若干ノイズが入りやすいようです(視聴的にはよくわからない)。

偽トロの画面
▲映像自体は簡単に取り込めることがわかったものの、音の問題が発生。

もう少し具体的にいうと、ミックスにはOBSを使用して、そちらで映像ソース(専用ブラウザーの映像)と音のソース(ヘッドフォンジャックから取り込んだもの)を合わせます。これ自体は問題ないものの、もうひとつ別の問題が発生することに気が付きます。

それがノイズ問題です。

ノイズを除去するためにノイズサプレッサーを購入

今回音をPCに取り込むために使用したのは、元々所有していたオーディオインターフェイスでした。ま、これ自体は必ずしも必須というわけではないのですが、このオーディオインターフェイスと『Apple Lightning – USB 3カメラアダプタ』を組み合わせることで、iPhone 14で撮影しながら携帯ゲーム機の音も同時に取り込めるようにしていました。

今回は、『Apple Lightning – USB 3カメラアダプタ』をはずして直接PCに接続して、単純にオーディオイターフェイスとして使用しています。また、オーディオインターフェイスとニンテンドー3DS LLと接続するためのオーディオケーブルも購入しています。

●ベリンガー UCA222 U-CONTROL(オーディオインターフェイス) 6107円

●UGREEN RCA 3.5mm 変換 オーディオケーブル 999円

オーディオインターフェイス
▲今回使用したオーディオインターフェイスの『ベリンガー UCA222 U-CONTROL』。
ヘッドフォンジャック用のケーブル
▲ヘッドフォンジャックとオーディオイターフェイスを接続するためのケーブルも用意。

たしかにこの方法でも、音自体はラグもなく取り込むことができました。しかし、絶えず鳴り続けていたのが、「ジー」というノイズです。そこで「偽トロ」でノイズに関して検索してみたところ、どうやらこの話題はメジャーな問題になっているようで、多くの人が「ノイスサプレッサー」と呼ばれるデバイスを間に噛ますことでノイズを低減していることがわかりました。

他サイトなどで紹介されていたノイズサプレッサーはすでに売られていなかったため、新たに購入したのが『Conext Link AD104』という商品です。

●Conext Link AD104 900円

ノイズサプレッサー
▲ノイズサプレッサーの『Conext Link AD104』。

接続としては、「ニンテンドー3DS LLのヘッドフォンジャック」→「オーディオケーブル」→「ノイズサプレッサー」→「オーディオインターフェイス」→PCという順番になります。実際にこちらで音も一緒に取り込みOBSで録画してみたところ、ノイズもほぼわからない状態まで低減することができ、訪れも発生しないことがわかりました。

▲上記の手順で3DSの映像をPCに取り込んだもの。

な~んか見た目がさみしいのでオーバーレイを設定してみることに

ま、このままでもほとんどの目的は果たしたのですが、な~んか見た目がちょっとさみしいような!? せっかくOBSを利用しているので、適当にオーバーレイがあるか探してみることに。そこで見つけたのが、下記のページの一番下の方にリンクが貼られている、3DS用のオーバーレイでした。

●Handheld Overlays – RetroArch Additions / Overlays – Libretro Forums
https://forums.libretro.com/t/handheld-overlays/10477

これをなんの設定も変えずに、単純にOBSでオーバーレイの画像として読み込んでみたところ……なんということでしょう。バッチリハマっているではあ~りませんか!

▲このときはオーバーレイのテストだけをしており音は取り込んでいませんでしたが、ばっちりでした。

デザイン的には少しカスタマイズしたいような気がしないでもないものの、とりあえず3DSに関してはOKと。もうひとつ、ニンテンドーDSですが、こちらは3DSとは異なる映像の取り込み方がされるため、オーバーレイも別のものを用意する必要があります。

そこでふたたび検索してみたところ、見つかったのが下記のページです。

●Nintendo DS Overlay Animated 1.0.0
https://forums.launchbox-app.com/files/file/4903-nintendo-ds-overlay-animated/

LaunchBosの会員登録は必要(無料)ですが、こちらからファイルを落として設定してみたところ、ニンテンドーDSもバッチリイケることがわかりました。余白も長方形なので、好きなデザインに変更しやすいところもポイントです。

3DSの偽トロ化のメリットとデメリット

ニンテンドー3DSの偽トロ化のメリットとデメリットについても触れておきたいと思います。まずメリットは以下の通り。

  • オリジナルのハードでゲームをPCに取り込むことができる
  • OBSを使用するため、映像のキャプチャーだけではなく配信にも使える
  • ニンテンドー3DSだけではなく、ニンテンドーDSのゲームも同様に取り込むことができる
  • 思ったよりも安価で改造ができる

一方、良い面ばかりではなくデメリットもあります。

  • 専用ブラウザでしか表示できない。つまり、将来的に会社がなくなったりOSが対応しなくなったときに使えなくなる可能性がある
  • サウンドに関してはノイズ対策が必要な場合もある

上記のうち、とくに専用ブラウザが必須というのが将来的にネックになる可能性があります。通常、こうしたキャプチャーデバイスは、HDMI出力できるか、あるいかカメラとして映像をPCにとりこむことができますが、この偽トロではそれらには対応していません

海外生まれのキャプチャーモッド

YouTuberのMacho Nacho Productionが紹介していた3DSの改造として、開発者のLoopy氏によるUSB Type-Cに対応したキャプチャーモッド『Nintendo 3DS Capture Board』があります。本体を送ることで取り付けてもらえるサービスも実施しているようですが、今回はハードルが高そうなので見送っています。

●Nintendo 3DS Capture Boardの購入ページ
https://www.3dscapture.com/order.html

こちらのモッドにも当然のことながらメリットとデメリットがあります。まずはメリットから。

  • USB Type-Cから映像だけではなく音声も出力できる(ノイズ対策は不要)
  • 取り付けサービスにも対応
  • 腕に自信があれば、キットだけ購入して自分で取り付けることも可能
  • キャプチャーだけでなくUSB Type-Cで本体の充電も同時にできる
  • 専用ブラウザを利用して、メインウインドウとサブウインドウを別々に表示できる(ひとつのウインドウにまとめることも可能)
  • 専用ブラウザからスクリーンショットの撮影が可能
  • ドライバーのインストールも不要で、基本はプラグ&プレイ

一方、デメリットは以下の通り。

  • 海外なので、取り付けてもらうにもいろいろと面倒
  • ニンテンドー3DS XLが対象だが、日本のニンテンドー3DS LLに対応しているかは確認が必要
  • わずかなラグがあり
エミュレーターの場合

実は最も安価で単純にできるのが、3DSエミュレーターの『Citra』を使用した方法です。しかし、これもやはり完璧とは言えません。タイトルによってはうまく動かない場合もありますが、それよりもときおり音飛びが発生する場合があるなど、悪くはないものの良くもないといった感じです。

●Citraの入手先
https://citra-emulator.com/

ちなみにエミュレーターを動かす環境として試したのは、以下の通り。

OS:Windows(R) 11 Home 64bit版 [正規版]
CPU:インテル Core i7-12700F プロセッサー (2.10GHz[P-core][最大4.90GHz] / 12コア / 20スレッド / 25MBキャッシュ)
GPU:NVIDIA GeForce RTX 3070 Ti 8GB LHR【HDMI2.1 x1 / DisplayPort1.4a x3】
メモリ:32GB(32GB×1) PC4-25600(DDR4-3200) DDR4 SDRAM
ストレージ(1st):【NVMe SSD PCIe4.0】1TB Samsung PM9A1 Gen4 (読出7000MB/s,書込5100MB/s)

つまり、多少マシンパワーがある環境であっても、エミュレータ-は現状では完璧には動作しないと思った方がいいのかもしれません。また、エミュレーターのCitra自体は3DS専用であるため、ニンテンドーDSは別途別のソフトを用意する必要があります。

エミュレーター(Citra)
3DSでストリーミング

もうひとつ、カスタムファームウェアを入れたニンテンドー3DSが必要ですが、ストリーミングでPCに映像を送るという手段もあります。こちらは残念ながらニンテンドーDSには対応していません。

また、通常の偽トロ同様に、ストリーミングでPCに送ることができるのは映像のみなので、サウンドに関しては別途PCに取り込む必要があります。

3DSでPCにストリーミングしている画面
▲ストリーミングでもPCに取り込むことはできるものの、ニンテンドーDSには対応していないなどのデメリットもあり。

ざっくりとした概要としては以下の通り。実際に使用する際は、PCも3DSも同じWi-Fiに接続していることを前提としています(簡単にいうと、それぞれ自宅のルーターなどに接続しておく)。

①CFWをセットアップしたニンテンドー3DSを用意
②3DS上で「NTR CFW」というツールを使えるようにしておく

「NTR CFW」はチートに使うツールだそうですが、今回はストリーミングで利用します。

NTR CFW

③PCで「Snickerstream」をダウンロードしておく

●Snickerstreamの入手先
https://github.com/RattletraPM/Snickerstream/releases

この「Snickerstream」は、3DSからストリーミングされた映像を映し出すためのツールです。「IP」と書かれた場所には、3DSが接続しているWi-FiのローカルIPを入力します。「Priority factor」と「Image quality」に関しては他サイトでで紹介されていたものの受け売りなので、自分でいろいろと調整してみることをオススメします。

3DSのローカルIPアドレス

3DSのローカルIPアドレスは、「FBI」がインストールされている場合はそちらを起動。「Remote Instal」の中の「Receive URLs over the network」を選ぶことで表示することができます。

3DSのローカルIPアドレス

デフォルトの状態では表示される画面が小さすぎるので、「Advanced」をクリックしてスケールを設定しておくといいでしょう。筆者の環境では「Top scaling caftor」と「Bottom scaling factor」をそれぞれ2.5に設定することで、ちょうどいいサイズになりました。

PC側の設定が終わったら、ふたたび3DSに戻って「NTR CFW」に戻って以下の操作をします。

④「NTR CFW」を起動してメニューから「3.6」をタップ
⑤素早くXボタンとYボタンを同時に押す!

NTR CFW

下画面に以下のメニューが表示されるので以下の通りに操作します。

⑥「Enable Debugger」を選択
⑦Bボタンを押してホーム画面に戻る

「Enable Debugger」を選択
Bボタンを押す

これでPCにストリーミングができるようになっているので、PC側の「Snickerstream」で「Connect!」ボタンを押せばOKです。

まとめ

ということで、いわゆる「偽トロ」を中心に、おまけで様々なニンテンドー3DSのキャプチャー環境をご紹介してきました。なかには海外のものなど目を見張るものもありますが、いずれも簡単とはいいにくいものばかりかもしれません。

いずれにせよ、2024年夏の時点では、このような状況になっているということを知っておいても損はなさそうですね。

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。