Analogue Pocketを物理的に拡張するPocket Adapter Set&Game Gear Adapterレビュー

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発表当初からアナウンスはされていたものの、ようやく入手できるようになったAnalogue Pocket用のアダプターセット『Pocket Adapter Set』。遅まきながら出荷が開始された2月に購入し、手に入れることができました。

本体の発売当初からゲームギアのソフトを遊べるようにする『Game Gear Adapter』はリリースされていましたが、こちらはPCエンジンとネオジオポケット、Atari Lynxのソフトを遊べるようにするためのものです。

遅ればせながら、発送が開始される直前の2月に注文したアイテムが届いたので、こちらではそのレビューをお届けします。また、ついでといってはなんですが、以前ご紹介したゲームギアが遊べるようにするアダプターの『Game Gear Adapter』も合わせてご紹介したいと思います。

●Pocket Adapter Setのストアページ(99.99ドル・現在品切れ中)
●Game Gear Adapter(29.99ドル)

https://store.analogue.co/

『Pocket Adapter Set』の同梱物

『Pocket Adapter Set』のパッケージの中身は、3種類のアダプターのほか、QRコードが記載されたカードが1枚入っているのみといった、シンプルなもの。

使い方は特に難しいところはなく、基本的にはアダプターを使って通常のカートリッジを挿すだけ。ただし、Analogue Pocketのファームウェアをv2.2以上にアップデートしておく必要があります。

●Analogue Pocketの最新ファームウェアの入手先
https://www.analogue.co/support/pocket

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ちなみに写真を見ていて気が付いた人も多いかと思いますが、それぞれのカートリッジアダプターには2~4までの番号が刻み込まれています。実はすでに発売済みの『Game Gear Adapter』には1の番号が刻まれており、その続きとなっているというわけですね。

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▲左側に「2」の刻印があるのがネオジオポケット用。
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▲左側に「3」の刻印があるのがAtari Lynx用。
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▲左側に「4」の刻印があるのがPCエンジン用。
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▲ちょっとわかりにくいですが、『Game Gear Adapter』にも「1」の刻印があります。

PCエンジン用カートリッジアダプター

まずは、これらの中でもっともメインとも思われるPCエンジンアダプターからご紹介していきましょう。こちらのアダプターで利用出来るのは、基本はHuCardのみ。そのため、CD-ROM2のタイトルをプレイしたいときは、そちらに対応したマルチカートリッジを利用する必要があります。

このPCエンジン用のアダプターですが、ある程度仕方が無い面もありますが、HuCardがにょきっと伸びているような状態になってしまい、正直見た目はあまり良くありません。このまま落としてしまうとダメージも大きそうなので、そちらも気を付けたいところですね。

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▲PCエンジンのアダプターでAnalogue Pocketに取り付けたところ。
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▲かなり飛び出して見えます。

Analogue Pocketにアダプターを介してPCエンジンを挿し電源を入れた後で、カートリッジを選ぶとゲームの情報が表示されます。こちらで「Play」を押すことでゲームが起動します。

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▲ゲームが起動。

PCエンジン:ディスプレイモード

Analogue Pocketのメニューでいくつか設定可能なものがありますが、その中でも重要なポイントをピックアップしてご紹介していきます。まずは「ディスプレイモード」から。こちらは以下で設定ができます。

Settings>Pocket>System>TG16>Display Mode

この「ディスプレイモード」では、画面の見え方をいくつかのオプションから選ぶことができます。デフォルトで選ばれているのは、Analogueオリジナルの「Analogue TG16」です。ブラウン管風や携帯ゲーム機風など選べますが、このあたりは気分転換で選んでみてもいいのではないでしょうか。

  • Analogue TG16:デフォルト
  • CRT Trinitron:ソニーのブラウン管・トリニトロンの色合いを再現したもの
  • TurboExpress:携帯ゲーム機のPCエンジンGTの画面を再現
  • PC Engine LT:ラップトップタイプのPCエンジンLTの画面を再現
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▲CRT Trinitron。
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▲TurboExpress。
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▲PC Engine LT。

PCエンジン:カラーパレット

もうひとつ、「カラーパレット」もデフォルトの「Composite」に加えて「RGB」に変更することができます。「RGB」は「Composite」に比べて、若干ビビッドな色合いになる印象なので、こちらも好みで選ぶようにするといいでしょう。

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▲カラーパレットを「RGB」にしたところ。
Settings>Pocket>System>TG16>Color Palette

マルチカートリッジは注意が必要

実は、このAnalouge Pocketと『Pocket Adapter Set』との組みあわせを前提で、かなり前に購入していたのが『TurboEverDrive v2.5』でした。

以前Analogue Duoのレビューでも触れましたが、こちらは残念ながら使うことができなかったのですが……そちらと同じAnalogue OSを採用しているということもあり、やはりAnalouge Pocketでも「FAT system not found」のエラーメッセージが表示されてしまいます。

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▲念願だった『TurboEverDrive v2.5』をセットしたところ。
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▲しかし、Analogue Duoの時と同じようにエラーが。

そこで後から購入したのが、Analogue Duoでも動作確認の報告が多い最新の『TurboEverDrive Pro』でした。こちらは、特に問題なくゲームを起動して遊ぶことができました。ちなみに、『TurboEverDrive Pro』ではHuCardのゲームに加えてCD-ROM2のゲームもプレイできます。Analogue Duoではオーディオの読み込みで動作が止まってしまうということがありましたが、こちらはそうした問題は見当たりませんでした。

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▲『TurboEverDrive Pro』なら問題なく利用可能。
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▲Analogue Duoでは会話の途中で止まってしまった『スナッチャー』も、問題なくプレイできました。

『TurboEverDrive Pro』を使用するときにひとつだけ注意が必要なところは、『大魔界村』などPCエンジンスーパーグラフィックスの対応ソフトを遊ぶときです。こちらは、直接オリジナルのHuCardを挿入したときはなんの設定もせずに遊ぶことができますが、『TurboEverDrive Pro』からではうまく動作しません。そのときは、システムのハードウェアの設定でSuperGrafxをONにしておく必要があります。

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▲『TurboEverDrive Pro』でPCエンジンスーパーグラフィックスのゲームを遊ぶときは注意が必要。
Settings>Pocket>System>Hardware>SuperGrafx

この『TurboEverDrive Pro』自体にもセーブステート機能はありますが、正直不安定なのでオススメできません。また、Analogue Pocketでもセーブステートが使えますが、こちらはHuCardのゲームでは特に問題は発生しませんでした。しかし、CD-ROM2のゲームではうまく作動しなかったため、こちらも100パーセント信頼することはできません。そのため、可能なら通常のセーブ方式を利用する方がいいでしょう。

★セーブステートについて(Analogue Pocket側)

  • 通常のHuCard:特に問題なし
  • TurboEverDrive ProのHuCardゲーム:とりあえず正常に動作したことを確認
  • TurboEverDrive ProのCD-ROM2ゲーム:不具合発生
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▲『Ys book I&II』でCD-ROM2のセーブステートを試したところ、動作がおかしくなりました。

openFPGAのCD-ROM2コアじゃなくてTurboEverDrive Proのほうが優れているところ

そもそもCD-ROM2のゲームを遊ぶだけなら、こうした『Pocket Adapter Set』やら『TurboEverDrive Pro』などを使わなくても、openFPGAでCD-ROM2に対応したコアがリリースされているし、無料で利用出来るからそっちでいいじゃん! という意見もあるかもしれませんが……実際にこれらを比較してみると、CD-ROM2コアの方は音声にかなり問題があることがわかります。

具体的にいうと、若干ノイズが乗っているような感じです。場面によってはそのノイズがかなり大きな音になるので、快適にプレイすることができません。つまり、Analogue PocketでCD-ROM2のタイトルを遊ぶときは『Pocket Adapter Set』と『TurboEverDrive Pro』を組み合わせたものがベストチョイスということになります。

Atari Lynx&ネオジオポケット

Atari Lynxとネオジオポケットについては、動作確認用にそれぞれソフトを1本ずつ購入しただけなので、それほど詳しく触れることはできませんが、軽く機能をご紹介しておきたいと思います。

まずこのふたつがPCエンジンと大きく異なっているところは、アダプターを利用してカートリッジを取り付けた状態であっても、本体から大きくはみ出ることはないということです。さすがにPCエンジンの場合、あの状態でそのままカバンにつっこんでというわけにはいきませんが、こちらについては全く問題なさそうです。

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▲どちらもPCエンジンほどは飛び出しません。

ちなみにAnalogue Pocketのセーブステート機能は、Atari Lynxでは利用できるものの、ネオジオポケットでは利用することができませんでした。

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ネオジオポケットのディスプレイモード

ネオジオポケットでも、いくつかディスプレイモードが選べるようになっています。

Settings>Pocket>System>NGPC>Video>Display Mode
  • Analogue NGPC:Analogue Pocketのオリジナルカラー
  • Original NGPC:ネオジオポケットカラーのグラフィックを再現
  • Original NGPC+;NEWネオジオポケットカラーのグラフィックを再現
  • Orogonal NGP:モノクロのネオジオポケットのグラフィックを再現
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▲デフォルトのディスプレイモードのAnalogue NGPC。
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▲こちらはOriginal NGPC。
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▲こちらはOriginal NGPC+だ。
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▲モノクロのOrogonal NGPにも変更が可能だ。

Atari Lynxのディスプレイモード

Atari Lynxでは、いくつかのオプションが用意されています。まずは「ディスプレイモード」からご紹介していきましょう。こちらでは3種類のモードを選択することができます。

  • Analogue Lynx:Analogue Pocketのオリジナルカラー
  • Original Lynx:Atari Lynxのグラフィックを再現
  • Original Lynx+:Atari Lynx IIのグラフィックを再現
Settings>Pocket>System>LYNX>Video>Display Mode
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もうひとつ、Atari Lynxでは画面を表示する向きも変更が可能です。デフォルトでは「Ratate Right 90」になっていますが、90度単位で画面の向きを変更したいときにこちらのオプションを選びましょう。

Settings>Pocket>System>LYNX>Contorols>Display Mode
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▲「Normal」では、画面が横向きになります。

ゲームギア

最も初期に入手したAnalogue Pocket用のアダプターが、ゲームギア用の『Game Gear Adapter』でした。こちらも基本的には上記の『Pocket Adapter Set』と同様に、カセットを刺すだけでそのまま使えるところが魅力となっています。

Analogue Pocketでゲームギアを遊んでみたらかなり快適だった
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▲PCエンジンほどではないものの、ゲームギア少しだけはみ出し気味に。

ゲームギアのディスプレイモード

ゲームギアの「ディスプレイモード」では、3種類のオプションが用意されています。

  • Analogue GG:Analogue Pocketのオリジナルカラー
  • Original GG:オリジナルのゲームギアのディスプレイを再現したもの
  • Original GG+:オリジナルのゲームギアのディスプレイを再現したものですが、彩度の低下を防いだ映像を出力します
Settings>Pocket>System>GG>Video>Display Mode
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▲デフォルトのディスプレイモードのAnalogue GG。
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▲ディスプレイモードのOriginal GG。
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▲ディスプレイモードのOriginal GG+。

Analogue Pocketを遊び尽くすためのオプションとしては最高!

というわけで、いろいろとご紹介してきましたが、何はともあれAnalogue Pocketというハードの能力を極限にまで引き出すためには、持っておいた方がいいアイテムであることはまちがいありません。本体を手に入れたならば、可能ならば『Pocket Adapter Set』と『Game Gear Adapter』も入手しておいたほうがいいでしょう。

ABOUT US
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。