セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】

ファミコンや最近のゲーム機など、ソフトとハードである程度完結して遊べるシステムとは異なり、いろいろな技術がごちゃ混ぜになっていることで、微妙にややこしい状況になってしまっているものがあります。今回テーマにしたセガサターンのソフト回りもそのなかのひとつと言えるでしょう。ソフトによっては、周辺機器の拡張RAMを購入しないと遊べないものもあります。

ということで、こちらでは公式サイトで公開されている「セガハード大百科」の情報をベースに情報をまとめてみました。ちなみに「セガハード大百科」に書かれているものも、一部情報が抜けていたりあるいは間違っていたりしたものも散見されたので、そうしたものを見つけ次第適宜修正を加えていきたいと思います。

「ツインアドバンスドROMシステム」

この世代のゲーム機から、ソフトがディスクメディアで供給されるようになりました。それまで主流だったROMカートリッジやフロッピーディスクなどと比較して、圧倒的な大容量でリアルな音声や動画などリッチなコンテンツが扱えるようになったのが特徴です。また、製造コストも安く、すぐに追加生産できるのもメリットのひとつでした。

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】

しかし、いいことばかりじゃないのが世の常。ディスクメディアはデータの場所を見つけて読み込むのに、ある程度時間が掛かってしまいます。それを解消するために生まれたのが「ツインアドバンスドROMシステム」です。

こちらはゲームのCD-ROMとROMカートリッジのハイブリッド仕様になっており、読み込み時間を大幅に短縮するために採用されたものです。しかし、実際に採用されたタイトルは『ザ・キング・オブ・ファイターズ95』『ウルトラマン 光の巨人伝説』の2本のみにとどまっています。それぞれのソフトに専用のカートリッジが付属するという仕組みだったのですが、コスト的に割が合わなかったのか、その後本体のメモリーを拡張する『拡張RAMカートリッジ』として販売されることになりました。

さて、この2本に付属しているROMカートリッジですが、それぞれが専用のものになっており、他のソフトではりようできません。当然のことながら、この2本のカートリッジを入れ替えても認識されないようになっています。

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
▲ROMカートリッジが刺さってなかったり、異なるものが刺さっているときはメッセージが表示。

対応ソフト

『ザ・キング・オブ・ファイターズ95』
『ウルトラマン 光の巨人伝説』

「拡張RAMカートリッジ(1MB)」

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
▲『拡張RAMカートリッジ』。

1996年9月20日に発売されたのが、1MBの『拡張RAMカートリッジ』です。本体のメモリーを拡張するものですが、最近はスマートフォンが普及したこともあり、ワークメモリーとストレージを混同している人もいるので、一度整理しておきましょう。

スマートフォンでよく使われているメモリーは、アプリや写真、動画などを入れておくための入れ物であるストレージのことを指しています。それに対して、この『拡張RAMカートリッジ』は一時的なデータを置いておくための作業領域です。なぜこんなものが必要なのかというと、先ほど「ツインアドバンスドROMシステム」でも触れたように、ディスクの読み込みにはデータを探して読み込むための「ローディング時間」が掛かってしまいます。

データは、ディスクなどから読み込むよりも、RAMを使うことで素早く取り出すことができます。そのため、ゲームでよく使用するようなデータを、一時的に『拡張RAMカートリッジ』で拡張したメモリーに置いておくことで、データの読み込みに掛かる時間を大幅に短縮することができるというわけです。

さてこの『拡張RAMカートリッジ』ですが、動作するのに必須のタイトルがあるほか、無くても遊べる対応ソフトもあります。また、その後メモリーが4MBに増えた『拡張RAMカートリッジ 4MB』も発売されるのですが、実はこちらが大は小を兼ねたり兼ねなかったりと、いろいろと問題が発生する場合があります。そのため、できれば両方持っておくのがいいでしょう。

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
▲拡張RAMカートリッジが正しく認識されてなかったり、4MBに対応してないとキャラクターの表示がおかしくなってしまうことも。
ソフト名対応4MB対応
サイバーボッツ対応
MARVEL SUPER HEROES対応
サムライスピリッツ 天草降臨必須×
スーパーリアル麻雀P7対応
アストラスーパースターズ対応
ノエル3対応
ファイターズヒストリー・ダイナマイト必須×
リアルバウト餓狼伝説必須×
サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣必須
メタルスラッグ必須
グルーヴオンファイト 豪血寺一族3必須
わくわく7必須
真説サムライスピリッツ 武士道烈伝必須
リアルバウト餓狼伝説 スペシャル必須
ザ・キング・オブ・ファイターズ’97必須
サムライスピリッツ ベストコレクション必須
リアルバウト餓狼伝説 ベストコレクション必須
ザ・キング・オブ・ファイターズ ベストコレクション必須
Piaキャロットへ ようこそ!! 2必須

「拡張RAMカートリッジ 4MB」

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
▲ソフトに同梱されているものもあり。

1996年11月27日に発売されたのが、メモリー容量が4倍になった『拡張RAMカートリッジ 4MB』です。ソフトに同梱されているものも多く、必要なソフトを購入したときに入手するというパターンもあるのではないでしょうか? ちなみに、先ほども触れましたが、『拡張RAMカートリッジ』に対応・必須のソフトで使用すると、上手く動作しないパターンもあります。

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
▲正しい拡張RAMカートリッジを挿さないと、エラーメッセージが表示される場合も。
ソフト名対応1MB対応
スーパーリアル麻雀P7対応
ポケットファイター対応
ノエル3対応
ヴァンパイアセイヴァー必須
Piaキャロットへ ようこそ!! 2必須
MARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTER必須
ダンジョンズ&ドラゴンズ コレクション(DISC2のみ対応)必須
ストリートファイター ZERO3必須
ファイナルファイト リベンジ必須

セガサターン ムービーカード

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
▲本体背面の拡張スロットにセット。

セガサターンでビデオCDを再生するための拡張カードが『ムービーカード』です。いわゆる「MPEGカード」とも呼ばれているものですが、『ビデオCDオペレーター』『ツインオペレーター』などいくつか同類のものが発売されました。

必須となっているタイトルは『ルナ シルバースターストーリー MPEG版』のみですが、こちらは『ムービーカード』が不要な通常版も発売されているため、環境に合わせてソフトを選ぶのが良さそうです。

セガサターンの拡張RAMやMPEGカードなどややこしいソフトまわりを整理してみた【今さら人に聞けないシリーズ】
▲対応ソフトには、その旨が書かれています。
ソフト名対応
ガングリフォン THE EURASIAN CONFLICT対応
悠久の小箱 OFFICIAL COLLECTION対応
センチメンタルグラフティ対応
悠久幻想曲 保存版 Perpetual Collection対応
森高千里 渡良瀬橋/ララ サンシャイン対応
ルナ シルバースターストーリー MPEG版必須
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。