初代『ベア・ナックル』がドリームキャスト向けにネイティブ化! メガドライブ版コードをSH-4へ変換、強化グラフィックも搭載

初代『ベア・ナックル』がドリームキャスト向けにネイティブ化! メガドライブ版コードをSH-4へ変換、強化グラフィックも搭載

メガドライブ/Genesis向けに発売されたセガのベルトスクロールアクション『Streets of Rage』、日本名『ベア・ナックル 怒りの鉄拳』を、ドリームキャスト向けのネイティブプログラムとして動作させる非公式ファンプロジェクト「Streets of Rage — Dreamcast port and remaster」が公開されています。

開発を手掛けているrichstokes氏のGitHubリポジトリ「dreamcast-streets-of-rage-remaster」が2026年9月25日時点で公開されており、海外のドリームキャストコミュニティでも紹介されています。単純にメガドライブエミュレーターをドリームキャスト上で動かすものではなく、オリジナル版のプログラムをドリームキャストのCPUで直接実行できる形へ変換しているのが大きな特徴です。

●GitHub「richstokes/dreamcast-streets-of-rage-remaster」
https://github.com/richstokes/dreamcast-streets-of-rage-remaster

メガドライブをエミュレーションするのではなく68000コードをSH-4向けに変換

初代『ベア・ナックル』が発売されたメガドライブには、メインCPUとしてMotorola 68000系CPUが採用されています。一方、ドリームキャストに搭載されているCPUは日立製のSH-4で、当然ながらそのままではメガドライブ用の68000コードを実行することはできません。

今回のプロジェクトでは、このオリジナル版の68000コードを静的変換し、ドリームキャストのSH-4上でネイティブに実行できるようにしています。ドリームキャスト向けの開発環境にはKallistiOSを使用しており、READMEでも「エミュレーターではなく、オリジナルゲームのコードから構築したネイティブなドリームキャスト向け移植」と説明されています。

つまり、ドリームキャスト上でメガドライブというゲーム機そのものを再現し、その中で『ベア・ナックル』を動かしているわけではありません。あらかじめゲームプログラムをSH-4向けに変換することで、ドリームキャスト用ソフトとして動作させるという、一般的なエミュレーションとは異なるアプローチが採用されています。

全8ラウンドやふたりプレイに対応。出力解像度は640×480

現時点では全8ラウンドが実装されており、ふたりプレイにも対応。オリジナル版の音楽や効果音、ゲームのタイミングを維持することを目標としており、映像は640×480で出力されます。

特にRound 1については、エミュレーション環境上でオリジナルROMとのフレーム単位の比較が行われています。ボス戦や武器、コンティニュー、ゲームオーバーに加え、ふたりプレイについてもオリジナル版と一致すると説明されています。

Round 2からRound 8についてもエンディングまで進行できる状態ですが、こちらはまだオリジナル版との完全な比較検証までは行われていません。単にゲームを動かすだけでなく、元のゲーム挙動をどこまで忠実に再現できるかについても検証が進められているようです。

高解像度アートや動的ライティング、雨などを追加するリマスターモードも搭載

さらに面白いのが、オリジナル版をそのまま再現するだけではなく、「Enhanced Graphics」と呼ばれる強化グラフィック機能が用意されていることです。この機能はオプションから切り替えることができ、オリジナルに近い表示と強化された表示をゲーム中でも変更できます。

Enhanced Graphicsでは、プレイヤーキャラクターや敵、ボス、武器、アイテム、エフェクトなどに2倍解像度のアートを利用可能。さらに背景にある店舗の窓やネオン、ランプ、炎などを光源として扱う動的ライティングや、それに連動して地面に落ちるリアルタイムの影なども追加されています。

火の粉やバズーカの煙、攻撃時の火花といったパーティクル表現に加え、ステージによっては雨や霧、蒸気、稲妻などの天候エフェクトも利用できます。雨が降るステージでは濡れた路面にキャラクターや光が反射する表現まで実装されており、単純な高解像度化にとどまらないリマスターが試みられています。

また、オリジナル版のアニメーションフレーム間に中間ポーズを追加する滑らかなアニメーション機能や、リマスター版のタイトル画面も用意されています。ただし、滑らかなアニメーションについては、現時点ではまだ作成されている中間フレームが少ないとのことです。

オリジナルROMを自分で用意してビルドする方式

注意しておきたいのが、このプロジェクトから完成済みの『ベア・ナックル』やCDIイメージをそのままダウンロードできるわけではないことです。

リポジトリには『Streets of Rage』のROMデータや、ROMから抽出したゲームデータは含まれていません。利用するには指定された「Streets of Rage / Bare Knuckle (World)」のROMをユーザー自身で用意し、KallistiOSなど必要な開発環境を整えたうえでビルドする必要があります。

ビルドスクリプトを実行すると、ドリームキャスト用の「sor.cdi」を生成することが可能です。ただし、生成されたディスクイメージにはユーザー自身が用意したゲームデータが含まれるため、開発者も再配布しないよう注意を促しています。リポジトリ上でMITライセンスの対象となっているのはプロジェクト独自のコードで、ゲーム本体やROM、ROMから生成されたデータなどは対象外です。

Flycastではフルスピード動作。ただしドリームキャスト実機はまだ未検証

現段階で開発者が確認しているのは、ドリームキャストエミュレーター「Flycast」上での動作です。READMEによれば、Flycastでは音切れなしのフルスピードで動作しているとのことです。

一方で、非常に重要なのが「実際のドリームキャスト本体ではまだテストしていない」と明記されている点です。そのため、現時点では「ドリームキャスト実機で完全動作することが確認された移植」と考えるのは早そうです。

CDIイメージ自体は生成でき、GDEMUなどの光学ドライブエミュレーターやCD-Rを使う方法も想定されています。今後、実際のドリームキャスト本体での検証報告が集まれば、今回のネイティブ移植が実機上でどこまで動作するのかも明らかになっていきそうです。

1991年に登場したメガドライブの『ベア・ナックル』を、単なるエミュレーションではなくSH-4向けに変換してドリームキャスト用プログラムとして動かし、さらに現代的なライティングや天候表現まで加えてしまう今回のプロジェクト。今後の実機検証やリマスター機能の発展にも注目したいところです。

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