PSP版『Gran Turismo(グランツーリスモ)』に、本格的なキャリアモードを追加する非公式MOD「GT Career: Spec II」の初となるPublic Beta「v0.27.2-beta.1」が公開されました。
PSP版『グランツーリスモ』は、シリーズの家庭用ナンバリング作品とは異なり、レースを勝ち進みながら賞金を稼ぎ、ライセンスを取得して新たなレースへ挑んでいく従来型の「GTモード」に相当するキャリア進行を持っていません。本MODは、既存のゲームモードを残したまま、そうした遊び方を新たなキャリアとして追加するものです。
●GT Career: Spec II v0.27.2-beta.1 GitHub Release
https://github.com/Memetrix/gtpsp-career-spec-ii/releases/tag/v0.27.2-beta.1
163イベント、763ラウンドを収録する大規模キャリアモード
「GT Career: Spec II」では、9つのホールに161種類の『GT4 Spec II』由来の競技と、2種類の「Lost Circuits」イベントを収録。合計163イベント、763ラウンドという大規模なキャリアが用意されています。
長いシリーズをつなぐ42枚の継続カードを含めると、キャリア内で使用されるカードは205枚に及びます。このほか、完成率には含まれない実験的な「Hidden Course Test」カードも2枚用意されています。
単純にレースイベントを増やしただけではなく、車両制限やPSP版のDriving Challengeを利用したライセンスによる進行制限、獲得クレジット、トロフィー、賞品車なども導入されています。
キャリア用のセーブデータは通常のPSP版『グランツーリスモ』とは別に管理され、初回起動時には既存のセーブデータからガレージと所持クレジットをコピーすることも可能です。コピー元の通常セーブデータ自体は上書きされません。
エンジンやタイヤ、サスペンションを購入できるパーツショップも追加
さらに本MODでは、PSP版に新たなパーツショップを追加。エンジン系パーツやタイヤ、サスペンションキットなどを購入し、所有する車両をチューニングできるようになっています。
エンジン関連では、ターボ、NAチューン、マフラー、ECU、インタークーラー、ポート研磨、軽量化、エンジンバランス、排気量アップ、スーパーチャージャーという10カテゴリーを用意。車両本来のパラメーターを利用して性能が変化する仕組みで、単に画面上の数値だけを書き換えているわけではないとされています。調整可能なサスペンションや、一部のブレーキ関連設定も組み込まれています。
開発者が公開しているテストでは、Lancia Delta Integraleの0~100km/h加速がノーマル状態の7.596秒から、フルアップグレード時には4.261秒まで短縮されたとのこと。購入したチューニングパーツや装着状態も保存されますが、チューニング済み車両の構成を記録できる上限は192台となっています。
24時間レースを含む18種類の耐久イベントも収録
キャリアには18種類の耐久イベントも収録されています。長時間レースについてはPSPで現実的にプレイできるよう、複数セッションに分割して進行できる仕組みが導入されています。
特に24時間レースは、1回20分のセッションを72回行う形式です。タイム制の耐久イベントではセッションをまたいで走行距離が累積され、対戦相手や車両設定も引き継がれます。途中経過の保存や最終的な報酬処理についてもキャリア側で管理されます。
ただし、現時点では実際に累計24時間を走破する完全な受け入れテストまでは完了していません。耐久レースの一部結果処理などについても、引き続き検証が行われています。
PSP実機でクラッシュしていたコースもキャリアに登場
興味深いのが、PSP実機ではこれまで正常に利用できなかったというコースへの対応です。
開発者によると、Hong Kong、Rome Circuit、Complex String、Smokey Mountainの4コースは従来実機上でクラッシュしていたものの、本MODではPSP Goを使ってレースを最後まで完走することに成功。さらにTahiti DirtについてもPSP Goでの動作が確認されています。
このうち一部は「Lost Circuits」として実際のキャリアにも組み込まれています。ただし、Complex StringとSmokey Mountainには現在もテクスチャや描画範囲に関する表示上の不具合が残っているとのことです。
導入には自分で用意した米国版ISOが必要
「GT Career: Spec II」はゲーム本体そのものを配布しているわけではなく、所有しているPSP版『グランツーリスモ』のISOに適用するXDelta形式のパッチとして公開されています。
公開当初は対応するISOが限られていましたが、その後のアップデートにより、現在は米国版のクリーンなISOについて「UMD v1.00」「UMD v2.00」「当初から対応していたUSA v2.00イメージ」の3種類に対応しています。公式のパッチセレクターにISOを読み込ませることで、適合するXDeltaパッチを確認できます。このチェックはローカル環境で行われ、ISO自体がアップロードされることはないと説明されています。
パッチの適用にはWindows/macOS向けの「Delta Patcher」を使用可能です。パッチ適用後のISOはPSPの「ISO」フォルダーにコピーするほか、PSPエミュレーター「PPSSPP」で開くこともできます。欧州版「UCES01245」は今回のPublic Betaでは未対応で、正式版での対応が予定されています。
なお、当然ながら配布ファイルに『グランツーリスモ』本体のISOは含まれていません。利用する場合は、ユーザー自身が所有する対応版のゲームから用意した無改造のISOが必要です。
現在はPublic Beta。PSP Go以外の実機検証はこれから
今回公開された「v0.27.2-beta.1」は、あくまで初のPublic Betaです。開発者が実機で確認しているのは主にPSP Goで、PSP-1000、PSP-2000、PSP-3000、PSP Streetについてはユーザーからのテスト報告を募集している段階です。
AIのペースバランスや一部のチューニング要素、耐久レースの処理なども引き続き開発中で、今後のBetaアップデートによってキャリアの進行状況がリセットされる可能性もあります。一方でガレージ、クレジット、ライセンスについては維持する方針がインストールガイドで案内されています。
シリーズ本編とはかなり異なる構成だったPSP版『グランツーリスモ』に、十数年を経て「GTモード」のような本格的なキャリア進行を追加するという、なかなかユニークなプロジェクトです。
まだBeta段階ではあるものの、163イベントにライセンス、賞金、賞品車、チューニング、さらには耐久レースまで組み込んだ内容はかなり大規模。PSP実機を現在も活用しているユーザーにとって、改めてPSP版『グランツーリスモ』を遊び直すきっかけになりそうです。















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