MiSTer FPGAやSuperStation One上で、一部の32ビットWindowsアプリケーションを実行できる「MiSTer WinEXE」の初公開版「WinEXE v0.1.0-beta」が、2026年9月24日付でGitHubから公開されました。
●WinEXEの配布ページ
https://github.com/joedaniels198512-gif/MiSTer-WinEXE/releases
すでに『SimCity 2000』や『Civilization II Multiplayer Gold Edition』といったWindows向けゲームに加えて、音楽プレーヤーとして一世を風靡した「Winamp 2.91」などの動作も確認されています。
●WinAmp
https://www.oldversion.com/software/winamp/winamp-2-91-full/
これはWindows 95やWindows XPなどのOSそのものをMiSTer上で起動するものではありません。MiSTer/SuperStation Oneに搭載されているARM側で「Box86」と「Wine」を利用してWindows用の32ビット実行ファイルを動かし、その映像を専用FPGAコア経由でHDMIやCRTへ出力するという仕組みが採用されています。
ao486とは異なり、Windowsそのものを起動しない
MiSTer FPGAには、486世代のPCを再現する「ao486」というコアが以前から存在しています。こちらではDOSをはじめ、Windows 3.xやWindows 95などをインストールし、当時のPC環境そのものを構築することができます。
一方のWinEXEは、こうしたPCエミュレーションとは仕組みが大きく異なります。
WinEXEでは、Windows用のx86アプリをARM Linux上で動作させるためにBox86を利用し、Windows APIについてはWineを使用します。アプリが描画した画面をMiSTer側へ送り、専用の「WinEXE.rbf」コアからMiSTerの映像出力を利用して表示する仕組みです。
つまりMiSTer上にWindowsをインストールして起動するのではなく、必要なWindowsアプリを互換環境経由で直接実行しています。
プロジェクト側でも、WinEXEは完全なWindows環境やao486のようなPCエミュレーターではないことが説明されています。
従来のMiSTerにおけるPC系コアとはかなり毛色が異なり、「Windowsマシンそのものを再現する」のではなく、「WindowsアプリをMiSTer上で動かすための環境」と考えたほうが分かりやすそうです。
『SimCity 2000』『Civilization II』に加えてWinampも動作
現時点で公開されている互換性情報では、Windows XPのメモ帳、ペイント、マインスイーパー、ソリティア、フリーセルなどのWindowsアプリが動作対象として挙げられています。
レトロゲームでは、Windows 95版の『SimCity 2000』が動作しています。
『Civilization II Multiplayer Gold Edition』についてもゲームプレイと音楽の動作が確認されていますが、High Council/アドバイザー映像については正常に再生できないなど、まだ一部に制限があります。
さらに興味深いのが、Windows用音楽プレーヤーとして広く使われた「Winamp 2.91」が動作していることです。
Winampは1990年代後半から2000年代にかけてPCでMP3などを再生する定番ソフトのひとつでした。ゲームだけではなく、こうした当時のWindowsアプリまでMiSTer上で動作することは、WinEXEの性格を分かりやすく示す例といえます。
Windows Media Player 7.1についてもUIの表示までは確認されていますが、動画や音声の再生部分についてはまだ実験的な段階となっています。
『Command & Conquer Gold』については、現在のドキュメントではPAL8表示を利用したゲームプレイそのものは動作しており、「Playable」とされています。一方で、パフォーマンスについては今後も最適化が必要とされています。
今回のきっかけとなったReddit投稿では、『SimCity 2000』と『Civilization II』について実際にプレイ可能になったことも報告されています。
投稿者は今後『Broken Sword』『Discworld』『Myst』など、さらに多くのWindows時代のタイトルへの対応も検討しているとしていますが、これらは現時点のv0.1.0-betaで正式に動作確認されたタイトルではありません。
Windowsやゲーム本体は付属しない
導入はGitHub Releasesから「WinEXE-v0.1.0-beta.zip」を入手し、展開した内容をMiSTer/SuperStation OneのSDカードへコピーして行います。
その後、「Scripts」からWinEXE Installerを実行することで、専用コアや実行環境をセットアップできます。
配布パッケージにはWinEXE用のFPGAコアに加えて、Wine、Box86、X11ランタイム、画面転送用のプログラム、各アプリ向けの設定などが含まれています。
一方で、WindowsそのものやMicrosoft製アプリ、商用ゲームなどのファイルは付属していません。
『SimCity 2000』『Civilization II』やWinampなど、実際に動かすWindowsソフトについては、利用者が自身で使用できるファイルを用意する必要があります。
つまりWinEXEはWindowsソフトをまとめて提供するものではなく、あくまでもWindowsアプリをMiSTer上で動かすための実行環境という位置付けです。
まだベータ版。すべてのWindowsソフトが動くわけではない
WinEXE v0.1.0-betaは、名前の通りまだ実験的なベータ版です。
MiSTer/SuperStation OneのHPS側で利用できるメモリには限りがあり、大きなWindowsアプリではメモリ不足になる可能性があります。また、負荷の高いアプリでは映像の更新速度が追いつかない場合もあります。
USBマウスやキーボードなどについても現段階では制限があり、ソフトごとに互換性の差も存在します。
そのため、「32ビットWindowsアプリなら何でも動く」というものではありません。
それでも、これまでMiSTerでWindows時代のPCゲームを楽しむ場合は、ao486などを利用してPC環境そのものを構築する方法が中心でした。
WinEXEはそこに、Box86+WineとFPGAの映像出力を組み合わせてWindowsアプリを直接動かすという、別のアプローチを持ち込んだプロジェクトです。
『SimCity 2000』や『Civilization II』といったゲームだけではなくWinampまで動作しているところを見ると、今後対応ソフトが増えることで、MiSTer FPGA上で楽しめるWindows時代のソフトウェアの幅も広がっていきそうです。














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