『Daydream』レビュー!ゲームボーイカラー用タイトルでありながらWi-Fi搭載でAIと議論する“異色マーダーミステリー”が激ヤバだった

『Daydream』レビュー!ゲームボーイカラー用タイトルでありながらWi-Fi搭載でAIと議論する“異色マーダーミステリー”が激ヤバだった

2024年12月末よりKickstarterでクラウドファンディングが行われた、nanuのゲームボーイカラー用ゲームの『Do you like/?』。本作はゲームボーイカラーというプラットフォームでありながら、Wi-Fiを搭載しておりAIを活用した会話が楽しめることでも大きな話題となりました。その後、クラウドファンディングは無事大成功を収め、リリース前にタイトルを『Daydream』に変更したのちに、今年の春より発送が開始されています。

●Kickstarterのページ
https://www.kickstarter.com/projects/naninuneno/new-gameboy-cartridge-do-you-like/description

ぶっちゃけこのクラファンのときは全く知らなかったのですが、クラファン終了後にほんの一部だけ3月30日の13時から販売が行われるという情報をゲット。たまたまヒマだったので、行ってみることにしました。

ちなみに、大きな混乱を避けるために事前にどの店舗で販売されるかは明らかにされていませんでした。しかし、こうしたアイテムを扱っているのは「家電のケンちゃん」か「Beep」のどちらかと推測。12時頃に秋葉原に到着後、とりあえず家電のケンちゃんを覗いてみることに。

すると、オープンは12時半からと書かれており、ここで「ピン」ときました。といってもBeepの可能性もあったわけですが、ま、ハズしてもそれはそれでOKってことで待ってみることに。12時40分頃に再度お店に行ったときには、すでにサラリーマン風の人が待っている状態に。同じものを狙っているのかはわからなかったものの、とりあえず一緒にいることにしました。

▲3月30日に3本だけ家電のケンちゃんで売られていたうちの1本。

13時直前、店長の原田さんから「ゲームボーイでお待ちの人は?」と声を掛けられたところ、4人ほどが集結。先着順ではなかったため、ここでじゃんけんで購入者を決めることに。ちなみに通販でも数本扱っていたみたいですが、この店頭で入手できるのはわずか3本です。そして、このじゃんけんには店長自らも参戦して行われたのですが……結果的に店長の原田さんと最初に並んでいたサラリーマン風の人が負けて、筆者を含む後から訪れた3人が入手することができました。

ちなみに並んでいた人に話を聞いたところ、ギリギリまでBeepのほうで待っていたといっていたので、みんな考えることは同じなんだなと思いました。

会話を通じて犯人を暴き出すマーダーミステリー【※ネタバレなし】

AIやWi-Fiといったテクノロジー面に注目があつまりがちですが、この『Daydream』はマーダーミステリーを踏襲したスタイルの作品です。このマーダーミステリーとは、基本的に1度しか体験出来ない参加型コンテンツのことを指すことが多いのですが、その理由は1度遊んでしまうと犯人などストーリーの核心となる部分がわかってしまうからです。

そういう意味では、昔からあるアドベンチャーゲームと似ている部分はあるものの、そこに至るまでの手法が少々異なります。また、マーダーミステリーという性質上、登場人物などあまり細かい設定を事前に知るよりも、実際に自分で体験した方がいいためあまり細かい部分には触れることはできません。

ざっくりというと、限られた空間で参加者のひとりが殺されてしまい、その犯人を見つけ出すという作品になっています。ゲームはオープニングなどでWi-Fiなどの設定をした後で、事件当日と前夜のストーリーが流れます。ここで大まかな状況を把握したら、いよいよ議論フェイズに移り、お互いを探り合っていくことになります。

▲ゲーム冒頭、Wi-Fiの接続に成功した後、名前を入力するとゲームがスタート。

このゲームの肝の部分でもあるのですが、寝ている間に参加者たちの記憶を書き込んでおける「Daydream」と呼ばれるシステムが登場します。こちらは1時間に8つまでの記憶データを解析することができるようになっています。

もう少し具体的にいうと、参加者はそれぞれの思惑を持って参加しているため、どうしても怪しい人物に見えてきます。それを分析するための情報を、ひとりあたり最大7つまで解析していくことができるのです。こちらの情報をもとに議論を繰り広げながら、犯人と思われる人物を探し出すのです。

▲誰の情報を解析していくのかというところも重要だ。

ゲームのメインとなる議論フェイズは、8時~9時、9時~10時、10時~11時、11時~12時というように4回用意されています。1時間ごとに「Daydream」で最大8つの解析が行えるようになるので、それを元にさらに議論を深めていくといった流れになっています。そして、最後に弁論フェイズと投票フェイズを経てエンディングを迎えるのです。

AIを活用した参加者たちとのやりとり

じゃ、具体的にAIだのWi-Fiだのどこで使うの? ということになりますが、それが議論フェイズでの参加者たちとのやりとりです。議論フェイズに入ると、「セレクトボタン」を押すことで、メニューが表示されるようになります。

誰かが話したときに、すかさず「セレクトボタン」を押して「はつげん」を選ぶことで、その発言に対してさらに問いただしたり、あるいは違う話題に変えたりと、議論の流れをコントロールすることができます。

「ログ」や「ストーリー」は既に見た内容の確認が中心で重要度は高くありませんが、「じょうほう」では「Daydream」で解析された記憶を見ることができます。すでに犯人が誰か分かってしまった場合は、最後までプレイを続ける前に「とうひょう」を選ぶこともできます。

ちなみに「はつげん」を選んだときに4つの選択肢が表示されます。こちらは実際はAIによって選ばれた3つの選択肢となっており、その中にないことを聞きたいときは「じゆうににゅうりょく」を選びます。そして、ここが本作の真骨頂のひとつとなっていました。

この選択肢の中から選んでいってもいいのですが、堂々巡りになってしまいがちです。しかし、「じゆうににゅうりょく」では自分の好きな言葉で入力できるのです。そして、その質問に合わせて、参加者たちが会話を繰り広げていくといった流れを体験することができます。

まさにこの辺りが、これまであった一般的なアドベンチャーゲームとは大きく異なるところです。若干コマンド入力式アドベンチャーに近い雰囲気も感じますが、予め用意されているワードを探し当てるというものとも異なっているのです。

▲あ、すいません、ネタバレでした(別作品の)。有効かどうかは別にして……自由な文章が入力できるのは面白すぎる!

令和のゲームボーイカラーソフトのスゴさを体験

このソフトの作りその物も新鮮なのですが、それとは別の意味で感動してしまった部分があります。それが、マニュアルの読み込みです。付属の紙にQRコードが書かれており、そちらからDiscordにアクセスすることができるのですが、それとは別にこのカートリッジ自体がNFCに対応しています。

カートリッジにスマートフォンを近づけるとURLが現れ、そちらにアクセスすることでマニュアルのページに飛べるようになっていたのです。まさに、令和ならではの作りになっていたことに、あらためて感動してしまいました。

▲こちらがパッケージの中身。
▲なんとカートリッジを近づけるとNFCでマニュアルサイトに飛べる!?

プロダクトとしての完成度も高く、かなりよく出来ているタイトルになっていました。ちなみに、ゲームそのものにセーブ機能はないため、毎回頭から(それこそWi-Fiの設定から)始める必要があります。1回当たりのプレイ時間も2~3時間程かかるため、じっくり時間のあるときに遊んだ方がいいでしょう。

気になる再販についてですが、現在コスト削減などにも取り組んでいるようなので、こちらも期待が持てそうです。何よりもまだまだ需要が大きそうなので、今後の続報にも注目したいところですね!

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