RetroTINK LLCは2026年10月29日、『RetroTINK-4K Pro』『RetroTINK-4K CE』『RetroTINK-6X』向けの実験版ファームウェア『Version 1.99.7』を公開しました。
今回のアップデートでは、新たに『Advanced CRT Effects』という設定項目が追加されています。従来の走査線や残光といった表現に加え、ブラウン管の画面の湾曲やガラス越しに広がる光、画面を囲むベゼルの反射なども再現できるようになりました。
●公式ファームウェア配布ページ(更新履歴・ダウンロード・更新手順)
https://retrotink-llc.github.io/firmware/4k-experimental.html
●公式GitHub
https://github.com/RetroTINK-LLC/firmware
画面の湾曲やガラスの反射まで再現
今回の『Version 1.99.7』で注目したいのが、ブラウン管テレビの見た目そのものを再現する『Advanced CRT Effects』です。『RetroTINK-4K Pro』『RetroTINK-4K CE』『RetroTINK-6X』の設定メニューに新たなページが用意され、CRT表示の表現をさらに細かく調整できるようになりました。
たとえば、ブラウン管テレビの画面には、全体が丸みを帯びた球面状のものや、主に横方向にカーブした円筒形のものがあります。今回の機能では、こうした画面の湾曲を映像処理によって表現できます。平面のディスプレイでも、映像の輪郭がわずかに曲がった、昔のテレビらしい見え方に近づけられるわけです。
さらに、明るい部分の光がガラスを通して周囲ににじんだり、散乱したりする様子や、画面を囲むベゼルに光が映り込む表現も追加されています。ブラウン管特有の画面のわずかなたわみや変動、四隅で色が少しずれて見える現象も再現の対象です。
これまでは走査線の見え方や光の残り方に重点が置かれていましたが、今回は画面の形状や周辺部分の質感にまで手が加えられたのが大きな違いといえるでしょう。ただし、各効果の利用条件や調整範囲は、機種や入力信号、設定によって異なります。
『RetroTINK-4K Pro』にはコンポジット映像のシミュレーションも追加
もうひとつの新機能が、『RetroTINK-4K Pro』向けに追加されたコンポジット映像のシミュレーションです。
コンポジット映像は、映像の明るさや色の情報をひとつの信号にまとめて伝送する方式で、ファミコンなど昔のゲーム機でも広く使われていました。今回の機能では、入力された映像をいったんコンポジット信号に変換したものとして処理し、それを仮想的なデコーダーで再び映像に戻します。
つまり、実際にコンポジット端子で接続し直さなくても、コンポジット信号の変換過程を模した映像表現を加えられる仕組みです。対象となる入力信号は240p、480i、288p、576iに限られており、現時点では『RetroTINK-4K Pro』専用の追加機能として案内されています。
以前のCRT表現から何が変わった?
当サイトでは、10月15日に公開された実験版『Version 1.99.0』で『RetroTINK-4K Pro』に『Multi-frame Glow』が追加されたことを紹介しました。これは、ブラウン管の電子ビームが画面を描いていく際に、ひとつ前のフレームの映像が残って見えるような、残光の表現に関する機能です。
一方、今回の『Advanced CRT Effects』が扱うのは、画面の湾曲やガラスの光のにじみ、ベゼルの反射、四隅の色ずれなどです。前回が主に映像の描画と残光に関わる更新だったのに対し、今回はブラウン管の形状やガラスの質感まで表現の幅が広がったことになります。
なお、公式によると、今回のCRTエフェクトは『CRT Simulation』を利用した240pや480iの入力との組み合わせが適しています。480p入力や、『Motion Adaptive』でデインターレースした480i入力でも利用できますが、画面湾曲の調整範囲は制限されます。また、通常の走査線表示と『Linear Light』またはHDRモードの使用が案内されており、『Energy Conservation』モードでは湾曲処理を利用できません。
このほか、『RetroTINK-6X』では480pと576pの入力でも『LCD Blending』が利用可能になりました。一方、『RetroTINK-4K Pro』の『XBR』機能については、現時点で開発が保留されていると説明されています。
実験版ファームウェアのため導入時は注意
『Version 1.99.7』は公式ファームウェア配布ページからダウンロードできます。ただし、あくまでも開発途中の実験版です。公式ページでも正常な動作は保証されておらず、機能によっては引き続き開発中の可能性があると注意喚起されています。
『RetroTINK-4K』向けに公式サイトが案内している基本的な更新方法は、本体の電源を切ってSDカードを取り出し、ダウンロードしたZIPファイルを展開してSDカードのルートディレクトリに配置するというものです。このとき、更新するファームウェアを指定する『rt4kup.bin』を新しいファイルに置き換える必要があります。その後、SDカードを本体に戻し、ファームウェア更新メニュー、または本体背面のResetボタンから更新します。
メニューから更新する場合は、SDカード上にある既存の『.rbf』ファイルを削除しないよう注意が必要です。削除すると、Resetボタンを使う方法でしか更新できなくなります。また、初期の『1.0 RC26』から更新する場合は、公式ではResetボタンを使う方法を推奨しています。機種や現在のファームウェアによって確認すべき点が異なるため、『RetroTINK-6X』を含め、実際の更新作業は必ず公式の案内を確認してから行いましょう。
今回の更新によって、ブラウン管らしさを再現するための選択肢はさらに増えました。走査線や残光だけでなく、画面の丸みやガラスの質感まで調整できるのは興味深いところです。ただし、今回の記事は公式の変更履歴に基づく紹介であり、実機を使った画質比較は行っていません。実際の見え方や各機種での動作については、今後の検証や更新情報を確認したいところです。




















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