初代Xboxエミュレーター『xemu』をベースに、Mac向けの最適化を施した非公式フォーク版『xemu-macos』のv0.16が、2026年10月20日(日本時間)に公開されました。開発を手掛けるMichaelJSr氏がGitHubで公開したもので、新たなVulkanドライバー『KosmicKrisp』に対応したほか、CPU負荷の削減や描画処理の最適化などが行われています。
オリジナルの『xemu』は、Windows、macOS、Linuxなどに対応したオープンソースの初代Xboxエミュレーターです。今回更新された『xemu-macos』は、そのプログラムをベースに独自の改良を加えたもので、公式版とは別のプロジェクトとして開発が進められています。
●GitHub:xemu-macos v0.16 Releases
https://github.com/MichaelJSr/xemu-macos/releases/tag/v0.16
●GitHub:MichaelJSr/xemu-macos
https://github.com/MichaelJSr/xemu-macos
●xemu公式サイト
https://xemu.app/
新たなVulkanドライバー『KosmicKrisp』が選択可能に!
今回のアップデートで注目したいのが、新たにVulkanドライバーの選択肢として追加された『KosmicKrisp』です。
Vulkanは、ゲームなどのグラフィックス処理に使われるAPIのひとつです。ただし、MacではApple独自のグラフィックスAPIであるMetalが使われているため、Vulkanを利用するには、その命令をMacで処理できるようにする仕組みが必要になります。
『xemu-macos』では、これまで『MoltenVK』と呼ばれるドライバーが使用されてきましたが、v0.16では新たにMesaプロジェクトの『KosmicKrisp』も選択できるようになりました。
開発者がM2 Ultra搭載Macで実施したテストでは、『KosmicKrisp』を使用した場合、『MoltenVK』と比較してGPU関連のメモリー消費量のピーク値が約0.4~0.6GB少なくなる結果が得られています。また、初代XboxのGPUであるNV2AのテクスチャLODバイアスを反映できるなど、描画処理に関する違いもあります。
もっとも、これは特定の環境で測定された結果であり、すべてのMacやゲームで同じ効果が得られるわけではありません。また、現時点では『KosmicKrisp』を利用するために、macOS 26以降とApple Silicon、Metal 4対応GPUなどが必要です。
ドライバーの切り替えは、設定画面の「Settings」→「Display」→「Vulkan driver」から行えます。変更後はアプリの再起動が必要です。なお、標準設定では引き続き『MoltenVK』が使用されます。
CPU負荷の削減や描画処理の最適化も実施
v0.16では、新しいドライバーへの対応だけでなく、従来の『MoltenVK』を利用する場合にも性能面での改良が加えられています。
そのひとつが、60fpsの上限に達している状態でのCPU負荷の削減です。初代Xboxの描画命令の一部を処理する方法が見直され、従来はGPU側で行っていた処理をCPU側で効率よく実行する仕組みに変更されました。
開発者が実施した2種類の高負荷テストでは、v0.15.3と比較して、CPU使用量が1コア分を基準にそれぞれ9.9ポイント、8.1ポイント減少しています。これはフレームレートが直接向上したことを意味するものではありませんが、エミュレーターの動作に必要なCPU処理を減らす改良といえます。
さらに、ゲーム内で新しいエリアへ移動するような場面で発生する、描画用パイプラインの生成処理も最適化されています。パイプラインとは、GPUに描画を行わせるための処理手順をまとめたもので、必要に応じて生成されます。
40秒間の移動を再現したテストでは、従来404~485回発生していたパイプライン生成が約104回に減少しました。また、キャッシュが用意された状態での『MoltenVK』のテストでは、最も時間のかかった生成処理が136ミリ秒から5ミリ秒へと短縮されています。
こうした改良は、ゲーム中に新しい背景やオブジェクトが登場した際の処理負荷を抑えることにつながります。ただし、今回公表された数値は特定条件下の測定結果であり、実際のゲームプレイでどの程度滑らかになるかは、タイトルや動作環境によって異なります。
このほか、描画処理の不具合やメモリー管理に関する修正なども行われています。
Intel Macにも対応。ただし新ドライバーには制限も
『xemu-macos』v0.16は、Apple Silicon MacとIntel Macの両方に対応したビルドがGitHubで公開されています。アプリ自体の対応OSはmacOS 14以降となっており、macOS 26を使用していないMacでも利用可能です。
ただし、新たに追加された『KosmicKrisp』については対応環境が限られています。また、現時点ではいくつかの既知の問題も報告されています。
たとえば、初めて訪れるエリアでシェーダーと呼ばれる描画用プログラムを生成する際に、一時的な引っ掛かりが発生しやすいことが確認されています。このほか、一部の描画が正しく行われない場合があるほか、新しいビルドの初回起動時には『MoltenVK』よりも時間がかかるという問題も残されています。
このため、開発者は現段階では『MoltenVK』を標準ドライバーとしており、『KosmicKrisp』は利用者が手動で選択する方式を採用しています。『KosmicKrisp』の起動時などにクラッシュが発生した場合には、次回起動時に『MoltenVK』へ切り替える仕組みも用意されています。
今回のアップデートは、新しいドライバーを試せるようになったことに加えて、従来の環境でもCPU負荷や描画処理の改善が期待できる点が特徴です。特にApple Silicon Macで初代Xboxのゲームを楽しんでいるユーザーにとっては、今後の最適化にも期待したいアップデートといえそうです。
『xemu-macos』v0.16は、GitHubのReleasesページから入手できます。
















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