海外のレトロゲーム専門サイト『RetroRGB』は2026年10月27日、最大8K/60Hzや4K/120Hzの映像入力に対応したHDMI分配器の実機検証結果を公開しました。
今回検証されたHDMI分配器は、プレイステーション3(PS3)や『MiSTer FPGA』、高性能アップスケーラーの『RetroTINK 4K』などで動作が確認されています。さらに、4Kテレビと1080pモニターへの同時出力や、VRR(可変リフレッシュレート)にも対応しているとのこと。
一方で、レトロゲーム環境特有の特殊な映像信号では正常に動作しないケースも報告されており、使用する機器や設定によっては注意が必要です。
PS3やMiSTer FPGAでも利用できるHDMI分配器
今回の検証を行ったのは、『RetroRGB』のBob氏です。実際に購入したHDMI分配器を使用し、レトロゲーム関連機器との互換性や機能を確認しています。
HDMI分配器は、ひとつの機器から出力された映像信号を複数のディスプレイに振り分けるための周辺機器です。たとえば、ゲームの映像をテレビに表示しながら、別のモニターやキャプチャー機器にも同じ映像を送るといった用途で利用できます。
今回検証された製品は、最大8K/60Hzおよび4K/120Hzの映像入力に対応。VRRやCECパススルーもサポートしていると紹介されています。CECは、HDMIで接続した対応機器同士の操作を連携させるための機能です。
互換性については、PS3や『MiSTer FPGA』での動作が報告されています。特に『MiSTer FPGA』では、特殊な映像出力を行うDirect Videoモードにも対応するとのこと。
また、同機の低遅延モードでシューティングゲーム『R-TYPE』を動作させた際にも、問題は確認されなかったとしています。ただし、これらはBob氏が実際に試した環境での結果であり、すべてのゲーム機や出力設定での動作を保証するものではありません。
4Kと1080pの異なるディスプレイに同時出力
今回のHDMI分配器で便利なのが、ダウンスケーリング機能を搭載している点です。通常、複数のディスプレイにHDMI信号を分配する場合、それぞれの機器が対応する解像度の違いが問題になることがあります。
たとえば、4KテレビとフルHD(1080p)モニターを同時に接続した場合、両方に適した映像を出力できるとは限りません。今回の製品は、4Kに対応するディスプレイと1080pまでのディスプレイを組み合わせた環境でも利用できるダウンスケーリング機能を備えています。
これにより、4Kテレビでゲームをプレイしながら、もう一方の1080pモニターに映像を表示するといった使い方が可能です。
ゲーム実況やプレイ動画の収録でも、テレビには高解像度の映像を表示しつつ、1080p対応のキャプチャー機器へ映像を送るといった構成が考えられます。ただし、キャプチャー機器を含めた個別の組み合わせについては、別途動作確認が必要です。
また、『RetroTINK 4K』との組み合わせでも問題は確認されておらず、Bob氏は検証動画でVRRの動作も紹介しています。
一部の特殊な映像信号には互換性の問題も
一方、今回の検証では、レトロゲーム環境で使用される一部の特殊な映像信号との互換性に問題があることも判明しています。具体的には、初代『OSSC(Open Source Scan Converter)』から出力したスーパーファミコンの5倍ライン出力などで、正常に動作しないケースが報告されました。
『OSSC』は、古いゲーム機の映像信号を現代のディスプレイで利用しやすい形式に変換するアップスケーラーです。ライン倍増と呼ばれる方式を使用しており、設定によっては一般的なHDMI機器が想定していない特殊な映像信号を出力することがあります。
また、『Morph』の最低遅延モードで使用される一部の信号についても、相性の問題が報告されています。これに対して、『MiSTer FPGA』の低遅延モードでは『R-TYPE』が正常に動作しており、『RetroTINK 4K』との組み合わせでも問題は確認されていません。
つまり、低遅延モードを使用しているからといって、必ずしも動作しないわけではありません。実際の互換性は、接続する機器や映像信号の形式によって異なるようです。『RetroRGB』でも、今回確認された以外の特殊なレトロゲーム用映像信号で、同様の問題が発生する可能性を指摘しています。
レトロゲーム環境で利用する場合の注意点
今回のHDMI分配器にはEDIDを選択するためのスイッチが搭載されていますが、ほかの分配器に見られるようなEDID偽装モードは備えていません。EDIDは、ディスプレイが対応する解像度や音声形式などの情報を、接続した機器に伝える仕組みです。
EDID偽装機能を利用すると、接続先のディスプレイとは異なる対応情報を機器側に認識させることができます。たとえば、4KやDolby Atmosへの対応情報を固定したい場合などに利用されます。
今回の製品では、そうした機能が必要な場合、別途EDIDエミュレーターなどを用意する必要があります。また、音声分離機能も搭載されていません。そのため、HDMIから音声だけを取り出し、SPDIFなどで外部のオーディオ機器に接続したい場合には不向きです。
一方、音声分離機能が不要な環境では、本体が比較的小型である点がメリットになるとBob氏は評価しています。
レトロゲーム環境では、使用するアップスケーラーやFPGA機器によって映像出力の形式が大きく異なります。特に『OSSC』などで特殊なライン倍増設定を使用している場合は、HDMI分配器の最大解像度だけでなく、実際の映像信号との互換性も確認しておきたいところです。
なお、今回の検証対象となった製品の正式なメーカー名や型番、日本国内での販売状況、価格などは確認できていません。
今回の報告は新製品の発売情報ではなく、既存のHDMI分配器をレトロゲーム環境で使用した際の実機検証結果です。複数のディスプレイを利用したゲーム環境や動画収録環境を構築するうえで、参考になる情報といえそうです。
via.RetroRGB


















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