セルフホスト型のゲームライブラリー管理環境「RomM」と、脱獄済みPlayStation 5を連携させるクライアント「RomM Sync for PS5(ps5-romm)」が、s0liton氏によって公開されました。
本ツールを導入することで、PS5からRomM上のゲームライブラリーを参照し、RetroArchなどの対応エミュレーターへゲームやBIOSを配置できるようになります。さらにゲーム内セーブやセーブステートをRomMとPS5の間で双方向に同期する機能も備えています。
ただし、利用できるのはetaHEN+kstuffを利用した脱獄済みPS5のみです。一般的な未改造のPS5で利用できるツールではありません。
●RomM Sync for PS5
https://github.com/s0liton/ps5-romm
PS5をRomMのクライアントとして利用可能に
「RomM Sync for PS5」は、RomM本体にPS5対応機能が追加されたものではなく、PS5側で動作する独立したクライアントです。
RomMは、自分で用意したゲームデータをサーバー上で管理し、複数の端末からライブラリーを利用できるセルフホスト型のゲーム管理環境です。当サイトでも9月に公開された「RomM 5.3.0」系列を紹介してきましたが、今回の「RomM Sync for PS5」によって、脱獄済みPS5もそのクライアントのひとつとして利用できるようになりました。
PS5上のブラウザー、または同一ネットワーク上にあるPCなどから「RomM Sync for PS5」のWeb画面を開き、RomMに登録されているゲームを閲覧できます。そこからゲーム本体やBIOSファイルをダウンロードすると、設定されているエミュレーターの適切なフォルダーへ配置する仕組みです。
ゲーム内セーブとセーブステートを双方向で同期
本ツールの大きな特徴となっているのが、RomMとPS5間のセーブ同期です。
「RomM Sync for PS5」はバックグラウンドで動作し、PS5側に保存されているゲーム内セーブファイルの変更を監視します。セーブ内容に変化があった場合はRomM側へアップロードされるほか、定期的な同期も行われ、RomM側に新しいセーブデータやセーブステートが存在する場合にはPS5側へ反映できる仕組みになっています。
これにより、たとえばPCなど別のRomM対応環境でゲームを進め、その続きをPS5で遊ぶといった使い方がしやすくなります。逆にPS5側で進めたセーブをRomMへ戻し、別の端末から続きをプレイするといった運用も可能です。
セーブデータが競合した場合には、Web画面から内容を確認して競合を解決する機能も用意されています。
RetroArchを標準対応。MednafenやPS2用プロファイルも用意
現時点で標準対応しているエミュレーターは「RetroArch」です。
開発者は、PS5向けに公開されているmihawk-99氏の非公式RetroArchを中心に開発を進めています。RetroArchでは設定ファイルを読み取り、ROM、セーブデータ、セーブステート、BIOSなどが保存されているフォルダーを認識します。
RetroArch側で「コアごと」「コンテンツごと」にセーブフォルダーを分ける設定を利用している場合も、その設定を参照します。「RomM Sync for PS5」側からRetroArchの設定そのものを書き換えることはありません。
このほか、MednafenとPS2 ISO向けのエミュレータープロファイルもあらかじめ同梱されていますが、こちらは初期状態では無効になっています。
エミュレータープロファイルはJSON形式で編集できるようになっており、今後PS5向けの新しいエミュレーターが登場した場合にも対応を追加しやすい構造になっています。
PS2の共有メモリーカードにも対応
PS2については、セーブデータの扱いが少し特殊です。
RetroArchのLRPS2コアは、標準では複数のゲームでひとつのメモリーカードを共有する仕組みになっています。一方のRomMは基本的にゲーム単位でセーブデータを管理するため、「RomM Sync for PS5」ではふたつの方法が用意されています。
ひとつはRetroArch側の共有メモリーカード機能を無効にして、ゲームごとに個別のメモリーカードを作成する方法です。こちらはRomMのバージョンを問わず利用できます。
もうひとつは共有メモリーカードそのものをRomMへバックアップする方法です。こちらを利用するには「RomM 5.3.0」以降が必要で、メモリーカード全体が変更されたときにアップロードされます。ただし、ほかの端末で使用している共有メモリーカードと内容を自動的に統合する機能ではありません。
PSP、ゲームキューブ、Wiiのセーブはゲーム単位のZIPで同期
PSP、ゲームキューブ、Wiiについては、複数のファイルやフォルダーで構成されるセーブデータをゲーム単位のZIPファイルとして扱います。
この形式はほかのRomMクライアントでも利用されているもので、「RomM Sync for PS5」ではZIP形式のセーブを展開して利用できる仕組みが実装されています。
RomMのセーブ同期はPCやブラウザーだけに閉じた仕組みではなくなってきており、今回PS5向けクライアントが登場したことで、家庭用ゲーム機を含めた複数デバイス間で同じセーブを利用する選択肢がさらに広がった形です。
RomM 5.0以上が必要。共有メモリーカード利用時は5.3.0以上
動作には、etaHENが動作している脱獄済みPS5とRomMサーバーが必要です。
RomM側はバージョン5.0以上が必要で、前述したPS2の共有メモリーカード同期を利用する場合には「RomM 5.3.0」以上が必要になります。RetroArchを利用する場合は、PS5側にホームブリューアプリとしてRetroArchを導入しておく必要があります。
当サイトでは9月22日に「RomM 5.3.0」正式版を紹介しました。同バージョンでは物理ゲームのライブラリー登録やブラウザー上のセーブ同期、共有メモリーカードへの対応など、大規模な機能追加が行われています。
今回公開された「RomM Sync for PS5」は、こうした5.3.0系列の機能をPS5側から利用するためのクライアントという位置付けになります。
PS4/PS5ゲーム自体のセーブ同期には未対応
注意しておきたいのは、今回のセーブ同期がPS4やPS5のネイティブゲームを対象としたものではないことです。
RomM自体にはFPKGiを利用してPS4/PS5向けゲームをライブラリーから扱う仕組みがありますが、「RomM Sync for PS5」は現時点でPS4/PS5ゲームのセーブ同期には対応していません。開発者によれば将来的な対応について調査は行われているものの、現在利用できる機能として考えないほうがいいでしょう。
また、初めて同期を行う前には、エミュレーターのセーブフォルダーをPCやUSBメモリーなどへコピーして別途バックアップしておくことが推奨されています。「RomM Sync for PS5」自身もファイルを書き換える前にローカルコピーを残しますが、開発者も独立したバックアップを取ってから利用するよう案内しています。
脱獄済みPS5という限定された環境向けではあるものの、RomM上のゲームやBIOSをPS5へ配置し、さらにプレイ後のセーブまで自動的にサーバーへ戻せるというのはかなりユニークな仕組みです。
PCや携帯型ゲーム機など複数の端末でRomMを利用している人にとって、PS5を新たなレトロゲーム用クライアントとして組み込める選択肢が登場したといえそうです。















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