elliotttate氏が開発している「Wind Waker Recomp」の一般向けビルドが公開されました。本プロジェクトは、ゲームキューブ版『ゼルダの伝説 風のタクト』のゲームコードを静的再コンパイルし、WindowsやMac上で動作させるというものです。10月1日にはv0.2.0が公開され、その後Windows版を中心に修正が行われたv0.2.2までアップデートされています。
●Wind Waker Recomp — GitHub
https://github.com/elliotttate/Wind-Waker-Recomp
●Wind Waker Recomp — Releases
https://github.com/elliotttate/Wind-Waker-Recomp/releases
ゲームキューブのコードをWindows/Mac向けに事前変換
「Wind Waker Recomp」では、ゲームキューブで使われていたPowerPC向けのゲームコードを、Windows用のx86-64やApple Silicon向けのarm64コードへあらかじめ変換する「静的再コンパイル」という手法が採用されています。ゲームの実行中にコードを変換するJIT方式とは異なり、あらかじめ変換済みのコードを実行する仕組みです。WindowsではDirect3D 12、Apple製デバイスではMetalを利用して描画が行われます。
一方で、完全にエミュレーションを排除した移植というわけではありません。メモリーやタイミング、ディスク、コントローラー、DSPオーディオといったゲームキューブのハードウェア部分については、Dolphin由来の互換ランタイムが利用されています。プロジェクト側でも「static recompilation with a hardware compatibility layer」と説明しており、「エミュレーターを一切使用しないPC移植」と表現するのは少し違うものとなっています。
セーブステートや60/120fps表示、壁登りにも対応
オリジナル版にはなかった機能も多数追加されています。v0.2.0では、プレイ中の状態を丸ごと保存して後から同じ場所へ戻れるセーブステート機能がWindows/Mac向けに追加されました。さらに「Climb any wall」を有効にすると、通常は登れない壁をリンクがよじ登れるようになり、スタミナゲージを使った『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』風のアクションも楽しめます。
映像面では、オリジナルと同じ30fpsに加えて、フレーム補間を利用した60fps/120fps表示を選択できます。これはゲーム自体の処理を60fpsや120fpsへ変更するものではなく、30fpsで動いているゲームの中間フレームを生成して滑らかに表示する仕組みです。Windows版にはゲームロジックそのものを60Hzで動かす実験的なモードも用意されていますが、一部の移動やカットシーン、タイマーなどが正常な速度で動作しないため、現時点では非推奨とされています。
このほか、16:9/16:10のワイド画面、最大4倍のレンダリング解像度、最大16倍の異方性フィルタリング、Dolphin形式のHDテクスチャーパックなどにも対応しています。「Better Wind Waker」を利用したSwift Sailや高速テキスト、登る速度の改善といった遊びやすさを向上させる変更も個別に設定できます。
プレイには北米版『風のタクト』が必要
「Wind Waker Recomp」自体にはゲームデータは含まれておらず、利用するには自分で正規に所有しているゲームキューブ北米版『The Legend of Zelda: The Wind Waker』の「GZLE01 revision 0」が必要です。初回起動時にディスクイメージを指定する仕組みで、ISOやGCMのほか、Dolphinで利用されているRVZ形式なども読み込めます。別バージョンのゲームについては対応していません。
Windows版の動作環境は64bit版Windows 10/11で、Direct3D 12対応GPUとAVX2対応CPUが必要です。Mac版はM1以降のApple Silicon MacとmacOS 15以降が対象となっています。あらかじめビルドされた実行ファイルが配布されているため、対応環境とゲームデータがそろっていれば、自分でソースコードをビルドする必要はありません。
最新v0.2.2ではWindows版の不具合を修正
10月1日に公開されたv0.2.2では、Windows環境でフルスクリーンへ切り替えたときに、一部のPCでゲームがクラッシュする問題が修正されています。また、マウス操作時のカメラ入力も改善され、入力から画面へ反映されるまでの遅延が短縮されました。フレームレート関連の設定も整理され、30fps、補間による60/120fps、実験的な60Hzゲームロジックをひとつの項目から選べるようになっています。
なお、最新のリリースページ自体はv0.2.2となっていますが、Mac向けに配布されているファイルはv0.2.0と同じビルドです。v0.2.1/v0.2.2で行われた修正の中心はWindows版となっており、Mac版についてはv0.2.0のファイルがそのまま最新リリースにも含まれています。
後半ダンジョンやボス戦はまだ十分にテストされていない
現時点では、ゲーム序盤やプロローグ、プロロ島、大海原での航海、タウラ島、ゲーム後半のハイラルのセーブデータなどで動作確認が行われています。その一方で、後半のダンジョンやボス戦については、まだ十分にテストされていないことも開発者側から明らかにされています。今後ゲームを進めていく中で、不具合に遭遇する可能性はありそうです。
また、開発者はコード作成だけではなく、テストやドキュメント作成、デバッグなどにもAIを大幅に活用していることを明記しています。本プロジェクトは任天堂とは関係のない非公式のファンプロジェクトです。まだ発展途上ではあるものの、セーブステートや高フレームレート表示、ワイド画面、さらには壁登りまで加えたゲームキューブ版『風のタクト』の新たな遊び方として、今後のアップデートにも注目したいところです。















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