無改造のCommodore 64で『Wolfenstein 3D』が動く! 純6502アセンブリ製ファン移植『Wolf64』が公開

無改造のCommodore 64で『Wolfenstein 3D』が動く! 純6502アセンブリ製ファン移植『Wolf64』が公開

1992年に登場したFPSの金字塔『Wolfenstein 3D』を、標準仕様のCommodore 64で動かす非公式ファン移植版『Wolf64』が公開されました。

●itch.io:Wolf64
https://kweepa.itch.io/wolf64

追加のCPUアクセラレーターやメモリー拡張などを必要とせず、ディスクドライブを接続した通常のCommodore 64で動作するように作られているのが大きな特徴です。開発者のKweepa氏が2026年8月15日にv1.0を公開しており、現在はitch.ioから無料でダウンロードできます。

Commodore 64向けのストック版Wolfenstein 3Dがリリースされました!完全なシェアウェアエピソード付き。戦闘ナイフと盗んだピストル、そして生の根性だけを武器に、地獄の8つのレベルを戦い抜き、ハンス・グロスを倒して脱出する必要があります。https://kweepa.itch.io/wolf64

8ビット機で『Wolfenstein 3D』の立体的な迷宮を再現

『Wolf64』は、DOS版のプログラムをそのまま移植したものではありません。Commodore 64向けに独自のレイキャスティングエンジンを構築し、『Wolfenstein 3D』のゲーム内容を8ビット機上で再現しています。

レイキャスティングとは、プレイヤーの視点から仮想的な光線を飛ばし、壁までの距離を計算して立体的な画面を描く手法です。『Wolf64』では、Commodore 64の限られた処理能力の中で、フルカラーの壁テクスチャー、見る方向によって絵が変化する敵キャラクター、リアルタイムの移動や戦闘などを実現しています。

エンジンは純粋な6502アセンブリ言語で作られており、外部の高性能CPUなどに処理を任せているわけではありません。1980年代の標準的なCommodore 64だけで、FPSとして認識できる速度と内容を実現しているところが見どころです。

標準仕様のCommodore 64で動作

過去にもCommodore 64で『Wolfenstein 3D』を動かす試みはありましたが、SuperCPUや大容量メモリーを必要とするものが存在しました。

一方の『Wolf64』は、ディスクドライブを備えた標準仕様のCommodore 64を対象にしています。配布ページでも「stock Commodore 64」と明記されており、CPUアクセラレーターなどの追加ハードウェアは要求されていません。

画面の解像感はオリジナルのDOS版と比べるとかなり粗くなっていますが、これは単なる技術不足ではなく、色数とフレームレートを確保するための選択です。

Kweepa氏はCommodore 64ユーザー向けフォーラムのLemon64で、解像度を高くするとフレームレートが低下するだけではなく、タイルごとに使用できる独立した色が限られているため、画面の色数も減ってしまうと説明しています。

そのため、約40×50相当の低解像度表示を採用し、Commodore 64のカラーパレットを最大限に生かす方向を選んだとのことです。

静止画だけを見ると粗さが目立つものの、実際に動いている状態では敵の向きや壁の模様が判別でき、ゲームとしての速度も確保されています。高解像度化ではなく、「標準仕様の実機でカラフルなFPSを動かす」ことを優先した設計といえそうです。

●Lemon64:開発者による表示解像度の説明
https://www.lemon64.com/forum/viewtopic.php?t=89921

シェアウェア版エピソードを収録

プレイヤーは連合軍のエージェントであるB.J.ブラスコヴィッチとなり、ナチスの要塞からの脱出を目指します。ナイフと奪ったピストルを手に迷路状の通路を進み、敵兵を倒しながら秘密の部屋や武器、弾薬などを探していきます。

開発者によると、本作には『Wolfenstein 3D』のシェアウェア版エピソードが収録されています。8つのステージを進み、最後に待ち受けるHans Grosseを倒すことが目的です。

キーボード操作に対応しており、移動や旋回、攻撃、武器の切り替えなどが行えます。タイトル画面の「Controls」から、使用するキーを確認可能です。

VICEや実機でプレイ可能

配布ファイルは容量170KBのD64ディスクイメージです。Commodore 64エミュレーターの『VICE』では、D64ファイルをドラッグ&ドロップすることで起動できます。

実機ではCommodore 1541ディスクドライブのほか、SDカードをディスクドライブとして利用できるSD2IECなどから読み込めます。Commodore 64本体に特別な改造を施す必要はありません。

『Wolf64』はid SoftwareやZeniMaxが公認した作品ではなく、非営利目的で制作された非公式ファン移植版です。配布ページでは「AI Assisted/Code」と申告されているため、コード制作の一部でAIが利用されていますが、具体的な使用範囲については説明されていません。

40年以上前に登場した標準仕様の8ビットパソコンで、テクスチャー付きの立体的な迷宮を歩き回り、敵とリアルタイムで戦えるというだけでも驚かされます。『Wolf64』は見た目を忠実に再現する移植というよりも、Commodore 64の限界からどこまで『Wolfenstein 3D』らしさを引き出せるかに挑戦した作品といえるでしょう。

※記載している内容は2026年8月16日時点のものです。

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