FM TOWNS/マーティーエミュレーター「津軽」をLinuxで扱いやすく!Qt6フロントエンド「Tsugaru_QT」が公開

FM TOWNS/マーティーエミュレーター「津軽」をLinuxで扱いやすく!Qt6フロントエンド「Tsugaru_QT」が公開

FM TOWNSとFM TOWNS マーティーに対応したエミュレーター「津軽」に、Linux向けのQt6フロントエンド「Tsugaru_QT」が登場しました。

●Tsugaru_QT公式GitHub
https://github.com/3d4m0t0/TOWNSEMU

●オリジナル版「津軽」公式GitHub
https://github.com/captainys/TOWNSEMU

2026年8月14日ごろ、海外掲示板Redditの「r/emulation」で一般向けに紹介されたもので、ソースコードがGitHubで公開されています。

バージョン表記は「Tsugaru20260522-qt 1.0.0」。オリジナルの津軽をベースに、一般的なメニューバー形式の操作画面や、ゲームごとのディスク設定、CHD形式、FluidSynthによるMIDI再生など、Linux上で利用しやすくするための機能が追加されています。

「津軽」にQt6の操作画面を追加

津軽は、CaptainYS氏が開発しているFM TOWNS/FM TOWNS マーティーエミュレーターです。FM TOWNS II MXの再現を目標としており、WindowsやmacOS、Linuxに対応。開発者の説明では、FM TOWNS向け市販ソフトの97パーセント以上が動作するとされています。

今回公開紹介されたTsugaru_QTは、この津軽をフォークし、Linux向けのQt6フロントエンドを追加したプロジェクトです。従来の「Tsugaru_CUI」と比較して、コマンドラインを使用せずに各種項目を変更しやすくなっています。

Qt6を使用した一般的なメニューバー形式の画面が採用されており、ゲームポートへ接続する機器、全画面表示、スプライトの転送速度などをメニューから設定できます。

ゲームごとにディスク設定を保存

Tsugaru_QTには、マウントしたCDごとに設定内容を保存する「ディスクプロファイル」機能が搭載されています。同じCDイメージをマウントして再起動すると、以前使用していた設定が自動的に読み込まれます。

フロッピーディスクドライブのFD0とFD1にマウントしていたイメージも記録され、次回の起動時に復元されます。後述するマウス統合機能の設定も、ディスクプロファイルの一部として保存されます。

ゲームを変更するたびに、CDやフロッピーディスク、入力機器などを設定し直す手間を減らせる仕組みです。

ゲスト側のメモリーを書き換えるマウス統合

マウス操作については、ゲスト側のメモリーへ座標を直接書き込む統合機能が用意されています。通常のエミュレーターでホスト側のマウスを操作した場合、ポインターの移動に遅れが発生したり、ホスト側とゲスト側のカーソル位置がずれたりすることがあります。

Tsugaru_QTでは、ゲスト側のカーソル座標を読み書きすることで、ポインター操作の遅延を抑えます。

マウスBIOSを使用していないアプリケーションについても、ゲーム内カーソルが保存されている物理アドレスを検索し、座標を書き換えることで統合できる場合があります。いくつかのタイトル向けには、あらかじめ設定されたプリセットも収録されています。

ただし、カーソル座標の位置や書き込み方法はソフトによって異なります。そのため、すべてのFM TOWNS用ソフトで利用できる機能ではありません。

CHD形式のCDイメージに対応

オリジナルの津軽では、CDイメージとしてISO、CUE、MDSなどの形式を利用できます。Tsugaru_QTでは、これらに加えてCHD形式がサポートされています。CHDは、ディスクイメージを可逆圧縮して保存できる形式です。複数のCD-ROMタイトルを管理する場合、ストレージ容量を節約しながらファイルを整理しやすくなります。

また、CD音源を使用するタイトル向けに、CDDAの先読みキャッシュも実装されています。

CD-ROMのデータトラックを読み込んでいる最中でも、CDDAによる音楽再生が途切れないようにする機能です。データとCD音源を並行して利用するFM TOWNSタイトルでは、再生の安定化が期待できます。

FluidSynthによるMIDI再生

MIDI出力には、ソフトウェアMIDI音源のFluidSynthを使用できます。利用するには、Linux側へFluidSynthのランタイムとSoundFontを別途インストールする必要があります。SoundFontはGS対応のものが推奨されています。

現時点で処理できるSysExはGS音源向けのものに限られているため、すべてのMIDI音源を完全に再現できるわけではありません。SoundFontは設定画面から指定できるほか、環境変数やLinuxで一般的に使用されるSoundFontフォルダーからも検索されます。

音声テンポやVSYNCの安定化も実施

Tsugaru_QTでは、エミュレーターの進行速度を実時間に合わせる処理も見直されています。標準設定では、実時間の経過に合わせてエミュレーションを待機させる、Tsugaru_CUIの「-YESWAIT」に相当する動作が有効になります。

処理が遅れた場合も、その遅れを一度に取り戻そうとして急激に高速化することはありません。これにより、音声のテンポが変化しにくくなり、エミュレーター側のVSYNCも安定すると説明されています。

X11とWaylandの両方に対応

動作環境はLinuxで、X11とWaylandの両方に対応しています。Wayland環境では、ゲームの実行中に画面スリープやスクリーンセーバーへ移行するのを防ぐ「idle-inhibit」も実装されています。

対応言語は以下の8言語です。

  • 英語
  • 日本語
  • 中国語・簡体字
  • 中国語・繁体字
  • 韓国語
  • ドイツ語
  • フランス語
  • スペイン語

英語と日本語はバイナリに組み込まれ、それ以外の言語はJSON形式の翻訳ファイルから読み込まれます。通常はLinuxのシステムロケールに合わせて言語が選択されます。

現時点ではソースコードからのビルドが必要

Tsugaru_QTの動作には、Qt 6、ALSA、OpenGL/GLUなどが必要です。GitHubではopenSUSE、Debian/Ubuntu、Fedora向けに、必要なパッケージのインストール例が掲載されています。

ビルドにはC++17対応コンパイラーとCMake 3.16以降を使用します。ユーザー単位でインストールするスクリプトと、システム全体へインストールするスクリプトも用意されています。ただし、現時点のGitHubには正式なリリースタグや配布バイナリが掲載されていません。基本的には、利用者自身がソースコードからビルドする必要があります。

リポジトリのバージョン表記も「Tsugaru20260522-qt 1.0.0」となっています。そのため、8月14日に新しいエミュレーター本体がリリースされたというより、開発されていたLinux用Qtフロントエンドが一般向けに紹介されたニュースとして捉えるのが適切です。

使用にはFM TOWNSのROMが必要

利用するには、FM TOWNSのROMセットが必要です。所有する実機から吸い出したROMを使用するほか、オリジナル版津軽の公式サイトで案内されているフリー互換ROMセットも利用できます。

ただし、FM TOWNS マーティーを再現する場合は、マーティー実機から吸い出した専用ROMが必要です。ROMファイルは、初期設定では以下のフォルダーへ配置します。

~/.config/townsqt/roms/

ゲーム用のCDやフロッピーディスクイメージは含まれていないため、利用者自身が適切に用意する必要があります。

LinuxでのFM TOWNS環境を使いやすくするプロジェクト

Tsugaru_QTは、FM TOWNSエミュレーションの中核部分を新たに作り直したものではありません。CaptainYS氏が開発する津軽をベースに、Linux向けの操作画面と、日常的に利用しやすくする機能を追加したフロントエンドです。

一方で、CDごとの設定保存、CHD対応、CDDAキャッシュ、FluidSynth、マウス統合、Waylandでの画面スリープ抑止など、追加された機能は単なる画面の置き換えにとどまりません。現時点ではソースコードからのビルドが必要ですが、LinuxでFM TOWNSやFM TOWNS マーティーのソフトを管理しやすい環境を探している人にとって、興味深い選択肢となりそうです。

via.Reddit

ABOUT US
アバター画像
retrogamer