『ポケモンスタジアム』をPCネイティブ化する「PokemonStadiumRecomp」が開発終了。GitHubをアーカイブ

『ポケモンスタジアム』をPCネイティブ化する「PokemonStadiumRecomp」が開発終了。GitHubをアーカイブ

NINTENDO64用ソフト『ポケモンスタジアム』を、ネイティブPCアプリとして動作させる非公式プロジェクト「PokemonStadiumRecomp」の開発終了が発表されました。

●PokemonStadiumRecomp公式GitHub
https://github.com/mstan/PokemonStadiumRecomp

●PokemonStadiumRecompリリースページ
https://github.com/mstan/PokemonStadiumRecomp/releases

●N64Recomp公式GitHub
https://github.com/N64Recomp/N64Recomp

2026年8月15日、開発者はGitHubのリポジトリをアーカイブ。現在は読み取り専用となっており、今後の不具合修正や新しいリリースは行わないと説明しています。ただし、公開済みの実行ファイルやソースコードが削除されたわけではありません。既存バージョンは引き続きダウンロードでき、ソースコードを利用したフォークも認められています。

エミュレーターを使わずネイティブPCアプリとして動作

PokemonStadiumRecompは、「N64Recomp」を利用して北米版『Pokémon Stadium』のプログラムを静的再コンパイルするプロジェクトです。プロジェクト名として「SS Anne」も使用されています。

N64Recompは、NINTENDO64用ソフトのバイナリをC言語のコードに変換し、PCなどのプラットフォーム向けにコンパイルできるようにするツールです。一般的なエミュレーターの中でゲームを動かすのではなく、『ポケモンスタジアム』を単体のPCアプリとして実行できるのが特徴です。

PokemonStadiumRecompでは、N64Recompに加えて、NINTENDO64のOSに相当する処理を担当する「N64ModernRuntime」と、グラフィック描画用の「rt64」が使用されていました。

ゲームのデータは配布物に含まれておらず、動作には利用者自身が所有する北米版『Pokémon Stadium』のバージョン1.0から用意したROMデータが必要です。バージョン1.1にあたるRev Aには対応していません。

Transfer PakやGBビルにも対応

本プロジェクトでは、単純にゲームを起動できるだけではなく、『ポケモンスタジアム』特有の機能もPC上で再現されていました。なかでも注目されるのが、NINTENDO64の周辺機器「64GBパック」に相当するTransfer Pak機能です。

ゲームボーイ版『ポケットモンスター』から吸い出したROMとセーブデータを設定することで、手持ちのポケモンを『ポケモンスタジアム』に登録できます。ゲーム側でセーブデータが更新された場合は、PC上のセーブファイルにも書き戻されます。

最大4人分のコントローラーとゲームボーイカートリッジデータを個別に設定でき、各プレイヤーのポートへ割り当てられる仕組みも実装されていました。対応タイトルとして挙げられているのは、ゲームボーイおよびゲームボーイカラー用の以下の作品です。

  • 『ポケットモンスター 赤』
  • 『ポケットモンスター 緑・青』相当の海外版
  • 『ポケットモンスター ピカチュウ』
  • 『ポケットモンスター 金』
  • 『ポケットモンスター 銀』
  • 『ポケットモンスター クリスタルバージョン』

なお、物理的なゲームボーイカートリッジをPCへ直接接続する機能ではありません。利用するには、所有するカートリッジから適切に吸い出したROMとセーブデータが必要です。

ゲームボーイソフトを遊べる「GBビル」も実装

『ポケモンスタジアム』に収録されている「GBビル」も動作します。GBビルは、64GBパックに接続したゲームボーイ版『ポケットモンスター』を、NINTENDO64上でプレイするための機能です。

PokemonStadiumRecompでは、『ポケットモンスター 赤・青・ピカチュウ』がゲーム開始から実際のプレイ画面まで動作し、セーブデータの読み書きやサウンド再生も確認されています。

GBビルの内部では、オリジナル版『ポケモンスタジアム』に組み込まれていたゲームボーイエミュレーターが使用されています。PokemonStadiumRecompでは、この内蔵エミュレーターを含むゲーム全体がPC用コードに変換されています。

4倍MSAAやスーパーサンプリングで画質を強化

グラフィック面では、標準で4倍MSAAが有効になっています。これにより、NINTENDO64特有のポリゴンのギザギザを抑えながら表示できます。内部解像度を実際のウインドウサイズより高くしてから縮小表示する、スーパーサンプリングにも対応していました。

内部解像度を上げた場合でも、2DのメニューやHUDがぼやけにくいように処理されています。ゲーム起動前には「SS Anneランチャー」が表示され、使用するROM、ゲームボーイカートリッジデータ、セーブデータ、コントローラーなどを設定できます。

ゲーム全体の動作検証は完了していない

プロジェクトのREADMEでは、以下の機能が動作確認済みとして挙げられています。

  • ゲームの起動
  • タイトル画面とデモ
  • ゲーム内メニュー
  • 「みんなでミニゲーム」
  • GBビル
  • Transfer Pakによるポケモンの登録
  • バトルの開始と終了
  • 最大4台のコントローラーとカートリッジデータの割り当て

一方で、「スタジアム」のカップ戦や「ジムリーダーのしろ」を最初から最後まで通してプレイする検証は完了していません。個別のバトルは動作するものの、複数のバトルを連続して進めた場合の勝敗判定や進行処理を含め、すべてが正常に完走できることは保証されていない状態です。

このほか、音声にノイズが混ざる場合があることや、メニュー画面に一部の表示不具合が残っていることも説明されています。リポジトリのアーカイブ後は、こうした問題に対する新しい修正は提供されません。

最終版はv0.4.7-beta

GitHubのリリースページでは、2026年8月15日に公開された「v0.4.7-beta」が最終バージョンとして掲載されています。このバージョンは新機能の追加ではなく、リポジトリをローカル環境に取得してビルドする際のセットアップ処理を修復するためのものです。

Windows用実行ファイルが起動することを確認する、20秒間のスモークテストも行われています。ただし、これはゲーム全体を通して動作確認したという意味ではありません。

開発者がN64Recompの基盤に懸念

開発終了の理由について、開発者は『ポケモンスタジアム』への興味を失ったわけではないと説明しています。

開発者は数か月にわたってN64Recompをフォークし、PokemonStadiumRecomp向けの変更を加えてきました。しかし、その作業を通じて、N64Recompの構造にはフォーク側の修正だけでは解決できない基礎的な問題があると判断したとのことです。

そのため、現在の基盤を使ったプロジェクトを今後も維持することはできないとして、開発終了を決めています。

ただし、これはPokemonStadiumRecompの開発者による評価です。N64Recompの公式プロジェクト自体が終了したわけではなく、N64Recompを利用するすべての再コンパイルプロジェクトに同じ問題が発生すると確認されたわけでもありません。

今回の発表は、あくまでPokemonStadiumRecompと、その開発者が管理するN64Recomp派生環境についての判断として見る必要があります。

ソースコードと既存リリースは引き続き公開

開発は終了しましたが、PokemonStadiumRecompのソースコードはGPLv3ライセンスで引き続き公開されます。リポジトリは読み取り専用になったものの、第三者がソースコードをフォークし、独自に開発を引き継ぐことは可能です。

開発者は、将来的に信頼できるNINTENDO64再コンパイル環境が登場した場合、『ポケモンスタジアム』を改めて作り直す可能性についても触れています。

Transfer PakやGBビル、4人分のコントローラー設定、画質強化まで実装されていただけに、開発終了は残念なニュースです。一方で、既存の実行ファイルとソースコードが保存され、プロジェクトの成果そのものは利用できる状態で残されます。

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