1970~80年代に登場したテキストゲームを、現代のWebブラウザで遊べるように移植する個人プロジェクトがRedditで紹介されています。
●Cygnus-X1.Net Text Games Terminal
https://www.cygnus-x1.net/index-games.html
●TREK73 ブラウザ版・作品解説
https://www.cygnus-x1.net/links/trek73/index.php
●TREK73 PHP版の機能と変更点
https://www.cygnus-x1.net/links/trek73/enhancements.php
●Skull Island ブラウザ版
https://www.cygnus-x1.net/links/skull-island/index.php
プロジェクトを手掛けているのは、海外サイト「Cygnus-X1.Net」を運営するJohn Patuto氏。HTML5やPHPを利用し、古いコンピューター向けに作られたゲームを、エミュレーターや実機を使わずに体験できる形で公開しています。
ラインナップには、1973年に登場した宇宙戦闘シミュレーション『TREK73』をはじめ、『Colossal Cave Adventure』や、Atari 130XE向けに作られた『Skull Island』などが含まれています。
なお、今回新たに確認されたのはReddit上でプロジェクトが紹介されたことです。各ブラウザ版の公開時期は異なり、『TREK73』のPHP版は2026年6月、『Skull Island』は同年7月に公開されています。
古いテキストゲームをブラウザから遊べる
このプロジェクトの特徴は、1970~80年代のテキストゲームを、現代のPCやスマートフォンのブラウザからすぐに遊べることです。ゲームの基本的なルールや処理、表示される文章はオリジナルを尊重しながら、ユーザーインターフェースは現代向けに作り直されています。
古いテキストゲームを実機で動かす場合、対応するコンピューターやエミュレーター、ソフトウェアのデータ、場合によっては当時の操作方法に関する知識も必要です。
一方、今回公開されているブラウザ版は、Webページを開いて文字でコマンドを入力するだけ。テキストゲームに興味はあっても、実行環境を用意するところで挫折していた人にとって、かなり手軽な入口になりそうです。
1973年の宇宙戦闘ゲーム『TREK73』
特に興味深いのが、1973年11月26日に登場した『TREK73』です。『TREK73』は、William K. Char氏らによってHP 2000 BASICで開発された宇宙戦闘シミュレーション。当初はHPのタイムシェアリングシステム上で動作し、ASR-33テレタイプ端末を利用して遊ばれていました。
ASR-33の通信速度は110ボーで、文字の表示速度は1秒間に約10文字。当時のプレイヤーは、紙に印字されていく戦況を読みながらコマンドを入力していたことになります。ゲームでは宇宙船を指揮し、敵艦との戦闘を行います。方向別のシールドやフェイザーの射界、反物質魚雷、探査機型兵器、敵側の戦術、さらには外交的な選択肢まで盛り込まれていました。
1973年のゲームとしては驚くほど細かな宇宙戦闘が再現されており、単純な数当てゲームや迷路ゲームとは異なる、本格的な戦術シミュレーションになっています。
今回のPHP版では、ゲームのコマンド体系や処理を再現するだけでなく、テレタイプ端末を思わせる一文字ずつの表示も採用されています。現代のブラウザ上で動きながら、当時の端末で遊んでいるような雰囲気も味わえる仕組みです。

紙テープや印刷されたプログラムリストで広まった作品
『TREK73』が作られた時代は、一般家庭にパソコンが普及するよりも前です。
オリジナル版は6本のBASICプログラムで構成され、変数を共有しながら順番に実行する仕組みになっていました。プログラムは紙テープや印刷されたソースコードの形で各地へ広まり、さまざまなコンピューターへ移植されていったとされています。
現在ならGitHubからソースコードをダウンロードできますが、当時はプログラムそのものを紙に印刷して持ち運ぶことも珍しくありませんでした。そうした時代のゲームが、50年以上を経てURLを開くだけで遊べるようになったという点も、今回の移植で面白いところです。
Atari 130XEで作られた『Skull Island』も復活
サイトでは『Skull Island』というテキストアドベンチャーも公開されています。これは1989年にAtari 130XE向けとして作られた作品を、ブラウザ向けに再構築したもの。プレイヤーは南太平洋で船が難破した人物となり、ジャングルを探索しながら島からの脱出を目指します。
危険な生物や謎の遺跡、魔法に関係する要素も登場するなど、冒険小説を読み進めるような内容になっています。オリジナル版を動かすにはAtari 8ビットコンピューターの実機やエミュレーターが必要ですが、ブラウザ版なら特殊な環境を用意する必要はありません。
『Colossal Cave Adventure』なども収録
Redditの投稿では、初期テキストアドベンチャーを代表する『Colossal Cave Adventure』もアーカイブに含まれていると紹介されています。このほかにも、SFやミステリーを題材にした複数のテキストゲームが用意されており、Cygnus-X1.Net内のゲーム用ターミナルからアクセスできます。
作品によって画面や操作方法は異なりますが、基本的には表示された文章を読み、「LOOK」「GO NORTH」といったコマンドや選択肢を入力して進めていきます。
現在のゲームと比べれば非常にシンプルに見えるものの、文字だけで世界や状況を表現する必要があるため、プレイヤーの想像力が重要になります。この不便さも含めて、当時のテキストゲームならではの魅力といえるでしょう。
オリジナルを残しつつ操作画面を現代化
制作者によると、移植ではゲームの基本的なロジックや文章をできるだけ忠実に残しながら、画面部分は新たに作り直しているとのことです。『TREK73』のブラウザ版はレスポンシブ表示に対応しており、PCだけでなくスマートフォンやタブレットからも利用できます。
また、ゲームの状態はPHPのセッション機能を使って保持されるため、ページを再読み込みしても進行中の戦闘が維持される仕組みになっています。データベースや専用のサーバーライブラリを必要とせず、ひとつのPHPファイルを中心に構成されている点も技術的に興味深いところです。
ただ昔の画面を再現するだけではなく、現代の環境で実際に遊べることを重視した移植といえます。
ソフトウェア保存の新しい方法になるか?
古いゲームを後世に残す方法としては、ROMイメージやディスクイメージの保存、エミュレーターによる実行、ソースコードの公開などが一般的です。一方、今回のようにゲームの処理をWeb向けに移植し、ブラウザから直接触れられるようにする方法には、「遊ぶまでのハードルを下げられる」という利点があります。
歴史的なゲームが存在していても、遊び方が分からなければ、多くの人にとっては単なる資料になってしまいます。URLを開くだけで実際に操作できる形にすることは、ゲームの仕組みや面白さを伝えるうえで大きな意味がありそうです。
ただし、Cygnus-X1.Netは公的な保存機関ではなく、個人が運営するプロジェクトです。『TREK73』のページでは非営利のオマージュであることや、各商標が権利者に帰属することが明記されていますが、アーカイブ全体における各作品の移植許諾や権利関係については、確認できる範囲に限りがあります。
利用や紹介にあたっては、それぞれのゲームページに掲載されている注意事項を確認したほうがよさそうです。
50年以上前のテキストゲームが、現代のスマートフォンやPCからすぐに遊べる今回のプロジェクト。レトロゲームの保存だけでなく、コンピューターゲーム黎明期の遊びを体験する教材としても興味深い試みではないでしょうか。
via.Reddit















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