Android向けニンテンドーDSエミュレーター『WatermelonDS 0.7.0』と『SeedlessDS 1.0.0-beta1』が、2026年8月8日に公開されました。どちらもSapphire Rhodonite氏が手掛けているプロジェクトですが、同じDSエミュレーターでもターゲットが異なります。
『WatermelonDS』は、これまで『melonDualDS』の名称で開発されていた高機能なDS/DSiエミュレーター。一方の『SeedlessDS』は、処理能力が低いAndroid携帯ゲーム機や2画面デバイスでも快適に動かすことを目指した軽量版という位置付けです。
●WatermelonDS
https://github.com/SapphireRhodonite/WatermelonDS
●WatermelonDS 0.7.0
https://github.com/SapphireRhodonite/WatermelonDS/releases/tag/0.7.0
●SeedlessDS
https://github.com/SapphireRhodonite/SeedlessDS
●SeedlessDS 1.0.0-beta1
https://github.com/SapphireRhodonite/SeedlessDS/releases/tag/1.0.0-beta1
melonDualDSが『WatermelonDS』に改名
『WatermelonDS』は、PCなどで広く利用されているニンテンドーDSエミュレーター『melonDS』と、そのAndroid移植版をベースにしたプロジェクトです。
これまでは『melonDualDS』の名前で開発されていましたが、正式版0.7.0の公開に合わせて『WatermelonDS』へと改名。アプリ名やアイコン、起動画面、UIなども新しいデザインに変更されました。
今回のアップデートでは、ROMリストやボックスアートの表示、RetroAchievementsのプロフィールやスコア表示なども改善されています。
単なる名前の変更ではなく、既存のmelonDS Android版から独立したプロジェクトとして、独自の方向性をより明確にするためのリニューアルという位置付けのようです。
RetroArch用シェーダーをすべてのレンダラーで利用可能に
WatermelonDS 0.7.0では、RetroArch用のシェーダープリセットを、利用可能なすべてのレンダラーで適用できるようになりました。
これにより、LCD風の表示、色補正、ピクセルスムージングなど、RetroArch向けに公開されている各種シェーダーを使って映像を調整できます。
高解像度ディスプレイを搭載したAndroid携帯ゲーム機では、オリジナルのDSらしい液晶表示を再現したり、反対に映像を滑らかに見せたりといったカスタマイズが楽しめそうです。
高解像度化を高速化する「Vulkan FastPath」
もうひとつの大きな追加機能が、実験的なVulkan描画モード「FastPath」です。
こちらは描画時の処理を軽量化し、とくに内部解像度を4倍、6倍、8倍などに引き上げたときのパフォーマンスを改善することを目的としています。
ただし、FastPathは現時点では非常に初期段階の機能です。ゲームによっては映像の乱れ、エフェクトの欠落、オブジェクトが正しく表示されないといった問題が発生する可能性があります。
安定性を優先する場合は、従来の通常レンダリングを利用することが推奨されています。
軽量版DSエミュ『SeedlessDS』が初公開
WatermelonDSと同時に、まったく新しいDSエミュレータープロジェクト『SeedlessDS』の最初のパブリックベータも公開されました。SeedlessDSという名前は、WatermelonDSの“種を取り除いた小さな兄弟”という意味で付けられたものです。
WatermelonDSがmelonDSをベースにした長期的なメインプロジェクトであるのに対し、SeedlessDSは処理能力が限られたAndroid携帯ゲーム機で、現在すぐに使える軽量な選択肢を提供することを目的としています。

DraSticのコアに新しいUIを組み合わせたエミュレーター
SeedlessDS 1.0.0-beta1は、Android向けDSエミュレーターとして知られる『DraStic r2.6.0.4a』のコアをベースにしています。
そこにKotlinとJetpack Composeで新たに作られたAndroid用フロントエンド、ROMライブラリー、設定画面、入力システム、セーブステート、チート機能、RetroAchievementsなどを組み合わせています。
主な機能は以下の通りです。
- 物理コントローラーによるUI操作
- 2画面Androidデバイスへの対応
- RetroAchievements、リーダーボード、プロフィール表示
- スクリーンショット付きセーブステート
- クイックセーブ/クイックロード
- チートデータベースとユーザーコード
- ゲームごとの個別設定
- 外部ランチャーからゲームを起動するIntent機能
- 画面入れ替えやレイアウト切り替えのボタン割り当て
タッチ操作だけではなく、ゲームパッドだけでアプリ内のメニューを移動できるように設計されているところも、Android携帯ゲーム機向けのエミュレーターらしい部分です。
2枚の画面をひとつの携帯ゲーム機として扱う
SeedlessDSがとくに重視しているのが、実際に2枚のディスプレイを搭載したAndroid端末への対応です。
一般的なAndroid向けDSエミュレーターにも、片方の画面を外部ディスプレイに表示する機能はあります。しかしSeedlessDSは、2枚のディスプレイをひとつの携帯ゲーム機として扱うことを前提に設計されています。
上下画面の拡大率、アスペクト比、位置、タッチ操作などをひとつのプリセットで管理できるほか、両方の画面を同じ描画処理から出力することで、表示タイミングのズレを抑える仕組みも採用されています。
『ソニック ラッシュ』のように、上下の画面をひとつの連続したフィールドとして使用するゲームでは、とくに重要な機能になりそうです。
現在はARM64端末のみ対応
SeedlessDS 1.0.0-beta1は、現時点ではARM64アーキテクチャを採用したAndroid端末のみ対応しています。また、まだ初期ベータであるため、ゲームによっては互換性や表示に問題が発生する可能性があります。RetroAchievementsや2画面表示についても、端末ごとの動作検証が必要な段階です。
さらに、現在使用しているDraSticのエミュレーションコアはプロプライエタリであるため、SeedlessDSは現時点では完全なオープンソースプロジェクトではありません。開発者は今後、独自に制作したUI、ライブラリー、入力システム、描画処理などを公開し、最終的には現在のコアをクリーンな再実装に置き換える方針を示しています。
将来は低スペックLinux携帯機にも対応予定
SeedlessDSは、将来的にLinux版を公開することも計画されています。ターゲットとしては『ANBERNIC RG35XX SP』クラスの低消費電力な携帯ゲーム機が挙げられており、Android以外の安価なレトロゲーム機でもDSエミュレーションを利用できるようになる可能性があります。
高性能なAndroid端末で画質や機能を追求するWatermelonDSと、低スペック機や2画面端末での軽快な動作を狙うSeedlessDS。今後は端末の性能や用途に合わせて、ふたつのエミュレーターを選べるようになりそうです。















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