PS2ゲームをタイトル別に“VR化”!『エースコンバット5』などに立体視とヘッドトラッキングを追加する「PenguinScreen2」が公開

PS2ゲームをタイトル別に“VR化”!『エースコンバット5』などに立体視とヘッドトラッキングを追加する「PenguinScreen2」が公開

PlayStation 2エミュレーター「PCSX2」をベースに、VR表示機能を追加した新プロジェクト「PenguinScreen2」が公開されました。

●PenguinScreen2公式GitHub
https://github.com/PenguinVRLab/PenguinScreen2

●PenguinScreen2 1.0-rc2リリースページ
https://github.com/PenguinVRLab/PenguinScreen2/releases/tag/v1.0-rc2

開発者は2026年8月15日、海外掲示板Redditの「r/emulation」でプロジェクトを一般向けに紹介。現在はLinux/SteamOS用の「PenguinScreen2 1.0-rc2」がGitHubで配布されています。なお、1.0-rc2のリリース日は8月3日です。今回は新バージョンの配信ではなく、開発者による一般向けの公開告知が行われた形となります。

単なる「VR空間の巨大スクリーン」ではない

PenguinScreen2には、PS2ゲームをVR空間内の仮想スクリーンに表示する「バーチャルシアター」機能が搭載されています。スクリーンは平面と曲面から選択でき、サイズやプレイヤーからの距離も調整可能です。この機能については、基本的にすべてのPS2タイトルで利用できます。

しかし、本プロジェクトの面白いところは、ゲーム画面をそのままVR空間に表示するだけではない点です。

対応タイトルでは、Vulkanレンダラーの描画処理に介入し、左右の目に異なる映像を表示する立体視に対応。ゲーム画面を単純に引き伸ばすのではなく、3D空間の奥行きを反映した立体表示を作り出します。

描画内容ごとに奥行きの処理を変えられるため、ゲームの背景やキャラクターには立体感を持たせながら、HUDやメニューはスクリーンと同じ深度に固定するといった調整も可能です。さらに、VRヘッドセットの向きをゲーム側のカメラ操作に反映するヘッドトラッキングにも対応します。

タイトルによっては、スティックによる視点操作を頭の動きに置き換えるだけでなく、PS2のメモリー上に存在するカメラ情報を直接書き換えることで、ゲーム内カメラそのものを動かしています。

最初に対応するのは3タイトル

1.0-rc2には、ゲームごとに調整された3種類のVRプロファイルが収録されています。

『ACE COMBAT 5 THE UNSUNG WAR』

コックピット視点でヘッドトラッキングを利用できます。VRヘッドセットを動かすと、その向きがゲーム内のカメラに反映される仕組みです。

立体視についてもゲームに合わせた個別調整が行われており、HUDが二重に見えないよう、左右映像の分離量などが変更されています。

『ESPN NFL 2K5』

一人称視点でのヘッドトラッキングに対応します。

頭を左右に動かすことでゲーム側の視点操作を行えるほか、入力のデッドゾーンや反応曲線、後方を確認するための処理なども個別に実装されています。ヘルメットやHUDについても、背景とは異なる奥行きで表示されます。

『TimeSplitters』

解析によって見つけ出したゲーム内のカメラ角度に対し、VRヘッドセットの動きを直接反映します。開発者によると、頭の動きをカメラ角度の変化量として1対1で適用する仕組みになっているとのことです。

ただし、現時点ですべてのPS2ゲームが立体視やヘッドトラッキングに対応するわけではありません。未対応タイトルでもバーチャルシアターは利用できますが、本格的なVR機能を利用するにはタイトル別のプロファイルが必要です。

ゲームを誤認してメモリーを書き換えない仕組みも導入

ゲーム内カメラを動かす機能では、エミュレーターからPS2のメモリーにデータを書き込みます。

そのためPenguinScreen2では、ゲームのシリアル番号とCRCを照合し、完全に一致するプロファイルだけを読み込む仕組みが採用されています。対応プロファイルがないゲームでは、メモリーへの書き込みは行われません。

また、プロファイル側でゲームの状態を毎フレーム確認し、メニュー画面やムービー中などではカメラ操作を停止します。開発者は、VR機能を無効にした場合は通常のPCSX2と同じ描画経路を使用すると説明しています。

20fpsのPS2ゲームを90HzのVR環境で表示

PS2タイトルの中には、毎秒20フレーム前後で動作するゲームも存在します。こうした映像を90Hzで動作するVRヘッドセットに表示すると、フレーム更新のタイミングが合わず、視点移動時に大きなガタつきが発生する場合があります。

PenguinScreen2では、この問題に対応するフレームペーシング処理も実装。低いフレームレートで動作するゲームでも、VRヘッドセット内で安定して見えるように調整されています。

Linux専用。Quest 3やSteam Deckで動作確認

現在のPenguinScreen2はLinux専用です。SteamOSまたはデスクトップLinuxにFlatpak形式でインストールします。動作にはVulkan対応GPUと、WiVRnなどを利用できるOpenXR対応VRヘッドセットが必要です。開発時にはMeta Quest 3が使用されています。

Steam Deckも動作確認済みですが、リリースノートでは無線接続時の性能は十分ではないと説明されています。Steam Deckで利用する場合は、USB Type-Cによる有線接続、または有線LANに接続したドック環境が推奨されています。

開発者のテスト環境では、GeForce RTX 4050 Laptop GPUを使用し、2.5K解像度で各ゲームが本来の速度を維持。GPU使用率は10~30パーセントだったと報告されています。ただし、これは開発者による測定結果であり、PCやVRヘッドセット、通信環境によって実際の性能は変わる可能性があります。

VRヘッドセットを接続せず、通常の平面表示のPS2エミュレーターとして起動することも可能です。

BIOSとゲームデータは自分で用意する必要あり

PenguinScreen2には、PS2のBIOSやゲームデータは含まれていません。利用者自身が所有するPS2本体から吸い出したBIOSと、所有するゲームから作成したディスクイメージを用意する必要があります。

また、開発者によると、対応する光学ドライブをPCに接続すれば、オリジナルのPS2ディスクを直接読み込むことも可能とのことです。

まだリリース候補版。今後の対応タイトルに期待

PenguinScreen2は、PCSX2に汎用的なVRフィルターを追加しただけのものではありません。ゲームごとに描画内容やカメラの仕組みを解析し、タイトルに合わせた立体視とヘッドトラッキングを実装するという、かなり手の込んだプロジェクトです。

一方、現在配布されているのは正式版ではなく、リリース候補版の1.0-rc2です。利用環境もLinuxに限定されており、導入にはFlatpakやWiVRnの設定が必要となります。対応タイトルも現時点では3本のみですが、『エースコンバット5』のコックピットを頭の動きで見回せるというだけでも、試してみたくなる人は多いのではないでしょうか。

PS2にはフライトゲームやドライビングゲーム、一人称視点のアクションゲームも多数存在します。今後、対応プロファイルが増えていけば、既存のPS2タイトルを新しい感覚で遊べる興味深い環境になりそうです。

via.Reddit

ABOUT US
アバター画像
retrogamer