Anbernicより、最新の携帯ゲーム機『RG Slide』が2025年6月20日より販売が開始されました。定価は2万8999円で、セールス期間中は1600円OFFで購入ができます。
この『RG Slide』の最大の特徴は、『PSP go』を彷彿とさせるスライド式のデバイスというところでしょう。液晶は4.7インチで解像度は1280×960ピクセル。リフレッシュレートは最大120Hzと、ここだけ見てもなかなかのハイエンドです。
また、CPUはUnisoc T820プロセッサーを採用。GPUはQuad-core Mali-G57(850MHz)を搭載しており、マシンそのものもかなりパワフルな仕上がりになっています。リリースに先がけて、本機のサンプルを提供していただきました。こちらでは、そのレビューをご紹介していきます。
過去最高の豪勢なパッケージ!?
この『RG Slide』の箱を開けて驚いたのは、そこそこ高価なスマートフォンかと思うぐらい豪勢なパッケージに入れられていたことでした。それだけでも、同社がどれだけこのマシンに力を入れているのかがよくわかります。
パッケージの中身は本体のほか、スクリーンプロテクターに説明書、USBケーブル、2色のスティックキャップとなっています。このスクリーンプロテクターも最近は省略気味になっていましたが、さすがハイエンド機種といったところでしょうか?


カラーバリエーション | ブラック、ホワイト |
ディスプレイ | 4.7インチ、1280×960、リフレッシュレート最大120Hz |
CPU | Unisoc T820プロセッサー |
GPU | Quad-core Mali-G57(850MHz) |
メモリー | 8GB LPDDR4X |
内蔵ストレージ | 128GB |
OS | Android 13 |
AI | ゲーム攻略アシスタント、リアルタイム翻訳、インテリジェント対話 |
外部ストレージ | 2TBまでのmicroSDカードに対応 |
バッテリー | 5000mAhポリマーリチウムバッテリー(最大約6時間使用可能) |
本体サイズ | 154mm×90mm×26mm |
重量 | 376グラム |
また、今回は本機と同時に専用のケース『ANBERNIC 保護カバー RG Slide 用』も送っていただきました。こちらは、本体をしっかりと保護してくれるだけではなく、中にケーブル類も入れておくことができるので、ついでに注文しておいた方がいいでしょう。
●ANBERNIC 保護カバー RG Slide 用(1599円)

RG Slideを触って気が付いた微妙なところ
この『RG Slide』を最初に触ったときの印象は、若干ポジティブリストよりもネガティブリストのほうが上回っていたという感じでした。もちろんいいところもあったのですが、最初に気になった部分からご紹介していきます。
まずは、大胆なスライド式デザインの本体から。この液晶部分をスライドさせたときの見た目がかなりクールです。とくに『PSP go』が好きな人ならばかなりドンピシャリなのではないでしょうか?
こちらのスライド機構ですが、横持ちにして画面を上に少し押し上げることでかなりの勢いで開きます。少々バネが強すぎるんじゃ? と感じてしまうほどの勢いで「ガシャーン!」と音がするので、若干怖く感じるかもしれません。その逆も同様に、勢いよく閉じることができます。
……ま、これはこれでよしということで。

ぶっちゃけ、それよりも気になったのがあまりにも分厚すぎる本体でした。『iPhone 16 Pro』と比較すると3台分ぐらいはありそうな厚みです。スライド機構を実現するためには必要な厚みなのかもしれませんが、それが目的だとしたら若干本末転倒な感じがしますね。

それに伴い、本体自体もそこそこの重量になっています。実際に測ってみたところ、376グラムであることがわかりました。IPS液晶に交換した初代ゲームボーイが電池を入れた状態で347.5グラムなので、それよりも重くなっています。

もうひとつ、実際に触っていて気になったのが、このボタンの配置です。本機で参考にしているのが『PSP Go』だと思いますが、そちらと比較しても操作感はあまりよくありません。理由はいくつかありますが、まず頻繁に使用するスタートやセレクトボタンの位置が中央にあるため、本体を持っているときに若干距離を感じます。
また、全体的に手に馴染むというよりは、四角いものを持っているような違和感が少しあります。まー、この辺りもデザインを優先したことのトレードオフですが、気になる人は気になってしまうかもしれない部分です。
アナログスティックは相変わらず小ぶりのため、こちらをメインに操作するときにどうしてもピーキーな感じがします。細かいエイムが必要なゲームをプレイするときは、少し疲れてしまうかもしれません。

また、相変わらず技適マークが付けられておらず日本国内ではWi-Fiなどのネットワーク機能は利用出来ません。しかし、こちらは解決方法があり、USB Type-Cに対応したLANアダプターを利用することで有線によるネットワーク機能が使えるようになります。
ネットワーク機能としてはアップデートやストアの利用、AIなど本機では必須ともいえる機能がいろいろとあるので、ぜひ解決してほしい部分でもありますね。

ついでにもうひとつネガティブリストを追加するとするならば、ゲームのROMデータなどを入れるためのmicroSDカードの抜き差しがしづらいというところです。指の爪だけではなかなか出し入れすることができず、ピンセットのようなものでmicroSDカードを押して出し入れしなければいけませんでした。
もう少し取り出し口に大きめの溝を付けるなど余裕があればよかったのですが、こちらもある程度ギリギリまで突き詰めたデザインの結果なのかもしれません。
とはいえ、こちらも開発者モードを有効にした後で、USBデバッグモードをONにすることで、USB経由で直接PCとやりとりができるようになるので、そこまで大げさに意識する必要はないでしょう。

ここが良かったよRG Slide
逆に、この『RG Slide』で良かったところは、やはりパワフルなマシン性能です。PS2やセガサターンなども、ある程度問題なくプレイ出来ます。また、Android端末なので、もちろんストアで配信されているアプリも遊ぶことができます。
実際にいくつかのゲームをエミュレーターで遊んでみましたが、いずれも快適にゲームをプレイすることができました。パフォーマンスとは関係ありませんが、とくにPSPのゲームを遊ぶと、より雰囲気が出て楽しい気分になります。いずれにせよ、遊べるエミュレーターの幅が広いのはありがたいところですね。







コントローラーとしては微妙に感じたボタン配置ですが、Androidのホーム画面ではR1とL1ボタンを押すことで左右の画面切り替えがサクサクできるので、これはこれでかなり快適に感じます。

Androidのホーム画面には複数のエミュレーターが並んでいますが、それらを個別で起ち上げたり管理するのはめんどいという人向けに、エミュレーターの種類は限られるものの『RGLauncher』と呼ばれるランチャーも用意されています。
こちらは端末のクイック設定でオンにすることで、利用できるようになります。『RGLauncher』に関しては、従来までのAnbernicのマシンで採用されてきたものとまったく同じなので、1度でも触れたことがある方ならばすぐにセットアップができると思います。


想像以上に面白かったのが、「Anbernic AI」とも呼ばれる、独自開発のAIアシスタント機能でした。機能としては、「AIスクエア」と「AI翻訳」、「AIゲーム攻略アシスタント」の3種類が用意されていますが、「AIスクエア」以外はかなり使えそうな印象です。

「AI翻訳」は機能をONにしておくことで、任意のテキストを日本語に翻訳することができるというもの。スクリーン上に表示されている英語などのテキストを翻訳してくれるので、特にテキスト量の多いアドベンチャーゲームなどで活躍してくれそうです。この翻訳の表示も別レイヤーのように表示され、読み終えた後は閉じることができます。


日本語で会話を楽しみながらゲームの攻略情報などを収集することができるのが、「AIゲーム攻略アシスタント」です。よくあるAIと同じようなもので、精度についてはある程度疑問はあるものの、いろいろな情報を教えてくれるのは面白いですね。
ちなみに、これらの「Anbernic AI」を利用するときは、ネットワーク接続が必須となります。

酸いも甘いもわかった上で購入すべし
スライド式のインパクトが強く、なおかつスタイリッシュな見た目になっていることから、そちらにばかり目が行ってしまいがちですが、こちらでご紹介してきたように、実際はいろいろと気になるところもあります。それらをすべて把握して納得したうえで、購入を検討することをオススメします。
とはいえ、マシン自体はかなりパワフルで最新のAI機能も利用出来ることから、かなり楽しめるデバイスであることは間違いありません。少しでも気になったならば、公式サイトをチェックしてみましょう!
