話題のレトロゲーム互換機『POLYMEGA(ポリメガ)』レビュー! そこにあったのはPCのエミュとは異なるデジタルライブラリーの理想郷だった

話題のレトロゲーム互換機『POLYMEGA(ポリメガ)』レビュー! そこにあったのはPCのエミュとは異なるデジタルライブラリーの理想郷だった

紆余曲折もあり、ようやく我が手元にも届いたレトロゲームのマルチエミュレーター互換機『POLYMEGA(ポリメガ)』。本機は、PlayStaionやセガサターン、PCエンジンCD-ROM2、NEO GEO CD、メガCDなど、おもにディスクメディアを採用したレトロゲームにも対応しているところが特徴のゲーム機となっています。

いろいろあって到着からしばらく放置してみましたが、なんとなく軽い気持ちで3月11日の深夜よりインストールを開始したところ、気が付けば時計の針は朝の4時を回っていました。その日の朝方に見た夢にも『POLYMEGA』が登場し、ディスクのインストールをしていたという。いったいなぜそんなに夢中になったのか? PCなどのエミュレーターとは一体なのか違うのか? 今回はそうした『POLYMEGA』の持つ魅力にも触れた形でレビューをお届けしていきます。

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POLYMEGAのパッケージの中身

筆者が注文したのは、アルティメットバンドルと呼ばれるものです。現在は販売されていませんが、デラックスバンドルにさらにそれぞれのコントローラーが追加されたものといった感じなのですが、実際に届いたのはデラックスバンドルのほうでした。こちらは、元々別の人が注文したものが迂回されて送られてきたためこうなっています。

こちらのレビューでは、その他のユニットには触れず(まだ触ってない)、主にベースユニットを中心にご紹介していきます。

■POLYMEGAのスペック

CPUIntel CeleronR G4900T
メモリー2GB DDR4 RAM
インターフェイスHDMI 1.4ポート、USB2.0×2、Polymega™拡張バス
ネットワークギガビットイーサネット、Realtek RTL8822BE Wi-Fi/Bluetoothコンボモジュール
ストレージ32GB NanoSSD(オンボード)
拡張ストレージM.2 2280 SSD、Micro SDXC (背面SDポート)
光学ドライブ8X CD/DVDスロットイン光ディスクドライブ
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▲こちらが届いたベースユニット。
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▲POLYMEGAに読み込ませたディスクが傷付いたというのがSNSなどで話題になったこともあってか、注意書きが同梱されていました(裏は英語)。
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▲パッケージを開けたところ。
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▲箱から本体を取り除くと、その下にはコントローラーやケーブル類が収納されていました。
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▲ベースユニットの同梱物。本体にコントローラー、コントローラー接続用のワイヤレスアダプター、電源ユニット、HDMIケーブル、説明書といった感じ。
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▲コントローラーはマットな質感で握りやすい。
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▲ワイヤレスコントローラーは、USBで充電が可能。

『POLYMEGA』本体前面には、ドライブスロットとふたつのUSBポート、左端にディスクのイジェクトボタン、右端に電源ボタンが設置されています。右側面の出っ張りは、モジュール取り外すためのボタンです。背面側には、電源とHDMI、LANポート、MicroSDカードを差し込むためのスロットが用意されています。

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本体底面部分には、外部拡張スロットが用意されています。ネジを外して、別途購入したM.2 2280 SSDを装着することが可能です。今回購入したのは、発熱が少なそうなことから『Samsung 980 1TB PCIe Gen 3.0 ×4 NVMe M.2』をチョイス。ヒートシンクなどは取り付けずに、そのまま装着しています。

ちなみに、SSDの取付けねじは、ねじ山が潰れやすいという話題が出ていましたが、特にそんな印象はありませんでした。気になる人は、秋葉原のネジ専門店などに持っていき、ベストなアイテムを用意してもらうのもいいのではないでしょうか。今回は元に付いていたままで取り付けています。

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▲プラスドライバーでネジを外すと、SSD用のスロットが現れます。
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▲今回購入したのは、こちらのmsung 980 1TB PCIe Gen 3.0 ×4 NVMe M.2』
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▲SSD自体は、さらに中のネジを外してスロットに差し込みネジで押さえつけることで取り付けることができます。

POLYMEGAを3日間触って気が付いた9つのポイント

基本的にこの3日間は、ゲームプレイはさほどしておらず、「ああ、普通に動くね」程度の軽い動作チェックのみしかしていません。実際にゲームを遊んでいるときに気が付いたことなどは、別途ご紹介していく予定です。

というわけで、主にインストールがメインの話になりますが、そこで気が付いたポイントがいくつかあったのでご紹介していきます。

①決定がBボタンの違和感

最初に違和感を覚えたのは、決定ボタンにBボタンが割り当てられていることでした(同梱されているコントローラーの場合)。システムでもボタンの割当などの項目は見当たらず、AボタンとBボタンのスワップ機能なども用意されていません。慣れの問題とはいえ、これぐらいは設定出来てもいいのではないかと思える部分でもあります。

【追加情報】

その後「設定」の「コントローラーの設定」の中にある「地域ボタンスワップ」のチェックを外すことで、Aボタンを決定にできることがわかりました。

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▲つまり、システム的にはデフォルトがAボタンが決定ですが、最初にチェックが入っているのでBボタンが決定になっている模様!?

②本体は手垢が付きやすい

『POLYMEGA』本体は黒がベースですが、そのせいもあってか、手で触ると手垢がやや目に付きやすい印象です。気になる人は、クロスなどを用意してこまめに拭くようにしたほうがいいかもしれません。

③Wi-Fi接続できるものの技適マークはなし

ネットワークは有線と無線の両方が選べますが、どこを探しても技適マークは見つからなかったため、有線での接続一択となりそうです。ちなみに、現時点では(2022年3月14日)、ネットワークを利用するのは本体のアップデートぐらいなので、必要なときにだけ有線で繋げればいいのではないでしょうか。

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④何度も再起動がかかる初回のアップデート

すでにこれまで何度かシステムのアップデートも行われているため、初回はパッチを当てていく必要があります。しかし、これが差分をまとめてアップデートするのではなく都度都度アップデートしていくような感じで、何度か再起動が必要になります。別にこれがいいとか悪いとかの話ではありませんが、少し気になる部分でした。

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⑤ちょくちょく接続が切れるコントローラー

コントローラー自体は、マットな手触りで質感もいい感じです。そのため、手垢も付きにくい印象でした。これはコントローラーのできとは関係ないですが、何度かUSBケーブルを差したままの状態で落としてしまい、ややUSBポートが曲がってしまいました。動作的に問題はないものの、みなさんも置き場所には注意した方がいいでしょう。

特にインストール中に気が付いたことですが、わりと頻繁に接続が切れてしまいます。おそらくコントローラーを触っていない時間が長いと、自動で接続が切れる設定になっているからだと思われますが、複数のゲームを連続でインストールしているときは少しだけ不便に感じるところかもしれません。

また、こちらもコントローラーの機能ですが、本体の電源が切れているときにポリメガのロゴマークを長押ししても電源が入る仕組みになっていないところも、気になったポイントです。

⑥ディスクのインストールは思ってたよりもずっと速かった

ものによっては何時間もかかってしまうと耳にしたこともあった、『POLYMEGA』へのゲームのインストール。PlayStation 5などでクソ長いインストールになれていたこともあってか、思ってたよりもずっとサクサクインストールできる印象です。

ちなみに、インストールの手順はこんな感じです。

  1. ディスクをPOLYMEGAに挿入
  2. ディスクが読み込まれメニューの上部にゲームの情報が表示されたらXボタンを押す
  3. 「コレクションに追加してインストール」を選択
  4. 「はい」を選択
  5. インスール完了まで待つか他のゲームを遊んだりするときは「バックグラウンドでインストール中」を選択
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▲ディスクが正しく読み込まれると、上部のゲームの情報が表示されます。
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▲「コレクションに追加してインストール」を選択。
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▲インストール開始後も「バックグラウンドでインストール中」を選べば、他のゲームを遊ぶこともできます。

⑦データベースにないソフトもインストールできるが文字数制限あり

『POLYMEGA』の弱点として、以前はデータベースに存在しない、あるいは認識されないゲームのインストールはできなかったようですが、現在は自分で名前を入力したり、あるいはデータベースから該当するゲームを見つけて設定したりしてインストールすることが可能です。

しかし、この自分で名前を入力する場合は、ひとつ注意があります。たとえば、PlayStaionの『ファイナルファンタジーI・II プレミアムパッケージ』は、どちらのディスクもデータベースには存在しません。単体のソフトとして通常版も発売されているため、データベースから名前を設定することもできますが、自分で「ファイナルファンタジーII」と入力しようとすると文字数制限で途中で表示がかけてしまい、「ファイナルファンタジーI」としか表示されなくなります。

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⑧謎の音楽が流れてる

デフォルトの状態では、メニューなどを表示しているときに謎の音楽が流れ続けます。別にこれ自体は悪くないものの、ずっと聞いているとうざくなってくることも。そんなときは、「システム」の「音声設定」から「システム音楽」のチェックマークを外すことをオススメします。

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⑨外部ストレージのSSDは1TBでも十分すぎ!?

とりあえず、自宅にあったPlayStaitonとセガサターン、メガCD、PCエンジンCD-ROM2、NEO GEO CDのディスクをインストールしてみました。結構な枚数インストールしたつもりでしたが、ゲームとしては188タイトル分。それでも、外部ストレージの使用状況は2割程度に収まっています。膨大なコレクションを持っている人ではない限り、普通の使い方なら1TBもあれば事足りると思われます。

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▲188本インストールしても、この程度の使用量。

POLYMEGAには自分だけのゲームライブラリーを作り上げていく麻薬的な魅力がある

デジタルデータが持つ本質的な魅力のひとつに、“元のデータから劣化せずコピーできる”というものがあります。これは良い使い方をすれば有用なものとなりますが、使い方によっては負の側面も持ち合わせています。

90年代後半に、CDの音楽データを1/10サイズまで圧縮できるMP3という技術が登場しました。それまで音楽は多数のCDが収納できるラックから取り出し、プレイヤーで聴くというスタイルでしたが、多数の音楽をPCで保存して聴けるようになり、ライフスタイルも大きく変化しました。その後、iPodやiTunesが登場し、現在は音楽をデジタルライブラリーで管理するのはもはや当たり前になってきました。

MP3など音楽の圧縮技術は、たしかに元の音源と比較していると劣化している部分もありますが、音楽を手軽に聴けるようになるという意味では許容範囲だったということですね。

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▲2000年代前半には、iTunesなどで多数の音楽をデジタルライブラリー化するのが一般化。最近はそれがさらに進んで、サブスクで音楽自体を所有しないというところまで来ています。

こうした動きは他にもあり、iPadが登場したときは所有している本を裁断してスキャナーで取り込み、PDFに圧縮してリアルなスペースを開放するという、いわゆる“自炊”と呼ばれるスタイルが流行りましたが、現在ならいきなりKindleなどで購入するという人も多いことでしょう。

デジタルデータの負の側面としては「漫画村」のような違法なサイトや、Warezといった違法なアプリデータのアップロードなども残念ながら広まることになってしまいました。

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▲本もKindleなどのデジタリライブラリーを活用することが増えてきました。

ゲームも同じような流れにありますが、この『POLYMEGA』の素晴らしいところはひとつのマシンで体系化された自分だけのデジタルライブラリーを作ることができるというところです。単にゲームをエミュレーターで動かすという点ならば、PCでもいいじゃんという話になりますが、実際にそれらをPCでやる場合、何かしらの方法でゲームをリッピングし、さらに自分でライブラリーも管理する必要があるなど、それなりのリテラシーが必要かつ作業自体もかなり煩雑なものとなります。

レトロゲームの場合、厳密にいうと実機とエミュレーターではかなりずしも同じ動きにはならないため劣化していないとは言い切れませんが、『POLYMEGA』にはiTunesのようなゲームのデジタルライブラリーを作り上げていくことができるという大きな魅力があります。

これは『レトロフリーク』でも同様ですが、コレクションにはスタンプラリーや穴埋め的な要素があり、自分のライブラリーが増えていくとそれがだんだん楽しくなっていくというわけですね。

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▲デジタルライブラリーを充実させていくという行為は、1度味わってしまうと麻薬的な魅力がある。

それで、ちょっと軽い気持ちで始めた『POLYMEGA』へのソフトのインストールがやめられなくなってしまい、ついつい3日連続でひたすら自宅のゲームをインストールし続けてしまうことになってしまいました(笑)。忙しいときにOSのセットアップを始めてしまうというような行為に近いものがありますが、そうした作業が好きな人は同じようにハマってしまうかもしれません。

というわけで、長々と書いてしまいましたが、CDメディアに対応した自分だけのゲームライブラリーの理想郷を作り上げることができるという意味でも、この『POLYMEGA』は満足のいく仕上がりになっています。発売元のPlaymajiはビジネス下手で、そこがマイナス点ではありますが、もう少しお手軽に入手できるような状況になったときは、手に入れてみるのいいのではないでしょうか?

ABOUT US
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。